予防と臨床のはざまで
第33回国際産業衛生学会インプレッション
福田 洋
1
1順天堂大学大学院医学研究科先端予防医学・健康情報学講座
pp.394
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209832
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2022年2月6日〜10日に第33回 国際産業衛生学会2022(The 33rd International Congress on Occupational Health 2022: ICOH2022)が開催されました(公式サイト:https://icoh2022.net)。1906年にイタリアで発足後、100年以上の歴史のある産業衛生分野最大の国際学会です。前回は2018年にアイルランドのダブリンで開催され、世界中から産業衛生に関わる専門職が集まり、ギターの陽気な歌声が響くテンプルバー地区も楽しめました。しかし今回はコロナ禍ということもあり、もともと開催予定地だった2021年のオーストラリア・メルボルンから一転して、2022年に完全オンラインでの開催となりました。印象的だったのは、会期の延期の判断が非常に早かったことで、2020年の半ばには延期・開催方法変更の連絡が届きました。
学会のテーマは“Sharing solutions in occupational health through and beyond the pandemic”。新型コロナウイルスは、企業活動そのものや産業衛生にも多大な影響を与えました。今まで学会で議論されてきた新規の化学物質、グローバル化、人口移動、高齢化、生活習慣病の増加、社会心理ストレスの増大などの労働のリスクに加えて、この新しい感染症が世界中に与えた大きなインパクトに、いかに企業や産業保健が立ち向かい対応していくのかを議論する、そんなメッセージを含むテーマだと思います。
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