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韓国で行われた国際産業衛生学会(ICOH)について(5月31日〜6月5日),今回は私自身の発表や継続参加している分科会を中心に報告します.月曜日(DAY2)の午後に,民医連との共同研究“Life and work of people aged 40 and younger with type 2 diabetes(T2DMU40 study):A cross-sectional study focused on socioeconomic status and health literacy”を発表しました.低所得層の多い若年2型糖尿病に肥満や合併症の罹患が進行している状況を,昨年のヘルスリテラシー学会報告の内容に加え,よりSES(社会経済状況)部分を強調し,雇用状態と健康の関連にも触れて発表しました.座長の堤明純先生(北里大学)からの「このような格差が発生する原因として考えられる背景は?」との質問には,収入の少なさや不安定な雇用などの経済的な理由により通院が困難であったり中断しやすい状況があること,教育やリテラシーの状況を考えると格差が世代を超えて受け継がれることなどが予想されるとお答えしました.またフロアから「この状況に対してどのような対策が考えられるか」と質問があり,糖尿病学会だけでなく,公衆衛生やプライマリケア関連など日本の様々な分野の学会で報告してきたこと,そこでの議論から考えると解決法は1つではなく,糖尿病専門外来のみならずプライマリケア(一般内科),小児科など外来の場,学校教育,産業保健などそれぞれの場でできることがあること,これらが協力・連携する必要があると述べました.
ICOHには約35の科学分科会がありますが,2002年に恩師武藤孝司先生(前・獨協医科大学)とアムステルダムの学会に参加して以来,継続して参加しているのはScientific committee of Health Services Research and Evaluation in Occupational Health(SC of HSR & EOH)で,主に産業保健サービスの評価とエビデンスについて議論しています.3年に一度の世界会議の間に1〜2回の分科会を開催するなど非常にアクティビティが高い科学分科会ですが,設立して20年が経過し初期メンバーの多くが定年退職の時期を迎えています.本学会では,若手の研究者を増やし活動を継続していくために,事務局体制,IT戦略,次回分科会の候補,長い分科会のネーミングの変更〔EOHS:Evaluation(Effectiveness)of Occupational Health Services〕などが議論されました.学会は約20年で世代交代の時期を迎えます.その時議論されることが国内外であまり変わらないことを興味深く感じました.基調講演の演者だったDr.Ivan Ivanov(WHO)とも名刺交換しましたが,このようなVIPともコミュニケーションをとれることが分科会の魅力です.ドイツのWolf Kristen氏とは,来年開催のIUHPE(ブラジル)での職域ヘルスプロモーションのシンポジウム開催の可能性について議論しました.学会との関わりが単に自分の発表をする,講演を聴くという関わりから変わってきています.
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