特集 子どもを護る―社会的不利への介入と支援
子どもの社会的不利に対する社会政策―イギリスのシュア・スタート
埋橋 玲子
1
1同志社女子大学現代社会学部現代こども学科
pp.183-186
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102048
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シュア・スタート(直訳:確かな出発)とは,イギリスのイングランドで実行されている就学前の子どもとその家族を対象とした,貧困と社会的排除の解消を目的とする,政府主導のプロジェクトである.前労働党政権のもと,1997年政権交代後の1999年にシュア・スタートは始まった.労働党への政権交代以前,すなわち1979年から1997年に至るまでの保守党政権下では,貧困に対する政府の認識が示されず,貧困問題は政策課題としては取り上げられていなかった.労働党政権は貧困問題に対し正面から取り組んだこと,まずはこの点に関し,シュア・スタートの意味するところは大である.
シュア・スタートは省庁横断的プロジェクトであるため,その統括機関として1998年に当時の教育雇用省にシュア・スタート・ユニット(事務局)が設置された.シュア・スタート・ユニットはシュア・スタートの政策実行評価を求め,2001年にシュア・スタートの評価を行うNESS(シュア・スタート全国評価/National Evaluation of Sure Startの略称)がロンドン大学のメリッシュ・エドワード教授を主幹として立ち上げられた.NESSは5部門(実施状況・地域分析・影響・対費用効果・地域評価支援)に分かれ,多くの評価調査を行っている.
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