特集 子どもを護る―社会的不利への介入と支援
子どもを護る母子保健の現状と課題―子どもを護る観点から
小林 美智子
1
1大阪府立母子保健総合医療センター発達小児科
pp.187-196
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102049
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母子保健活動の原点と時代変遷
わが国の公衆衛生活動を地道だが中心的に担ってきたのは,歴史的に保健機関である.
わが国の発展や保健水準の向上とともに,保健課題は変遷してきた.だが,どの時代にもどの課題でも,自らの力だけではその社会の中では自身の健康を護ることができない人が,地域には少数派としていつも存在している.その人たちの健康を護ろうと支援をしてきたのは,保健機関の保健師である.その活動は,ともすれば理論的根拠に乏しいと見なされ,理解を得られないこともあった.だが理論は不明確でも,経験と使命感と感性に基づく活動である.それは草の根的で,一人を護るにも時間とエネルギーを要するものであった.だが保健師は支援だけに終わることなく,そこに未解決の保健課題を見出し,解決策を試行錯誤で見出して社会システムの進化を提起してきた.
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