特集 日本の食を守れるか?
中国産冷凍餃子事件における行政の対応を検証する
②自治体の対応―東京都の場合を中心に
桜山 豊夫
1
,
富樫 哲也
1
,
中村 憲久
1
,
奥澤 康司
1
1東京都福祉保健局
pp.851-855
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101432
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本年1月30日の夕方,東京都では輸入冷凍餃子が原因と疑われる健康被害の発生について,都民への注意喚起を目的として報道発表を行った.千葉県,兵庫県,JT,日本生協連,厚生労働省においても時を同じく,輸入冷凍餃子による中毒事件について公表した.いわゆる「ギョーザ事件」の最初の報道発表である.
WHO(世界保健機関)でMEP(マラリア根絶計画)を指揮された宮入正人博士は,MEPが失敗に至った経緯の分析の中で,根絶に成功したPEP(天然痘根絶計画)と比較しながら,失敗例からこそ学ぶものが多いと述べられていたが,今回の輸入冷凍餃子による中毒事件に関しても,失敗とまでは言えないものの,対応に反省すべき点があるのは事実であり,これらの点を検証していくことが,今後の健康危機管理への対応に資することになると考える.筆者らは当時,東京都福祉保健局健康安全室において,事件の対応に当たったが,東京都の対応を中心に報告するとともに,その検証を試みる.
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