特集 「食育」の時代へ
小児期からの食教育環境の重要性
藤沢 良知
1
1武蔵丘短期大学
pp.354-357
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100295
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飽食時代の食生活のひずみ
私たちの食生活は,ひとことで言うと貧しさから豊かさへ,和風から洋風へ,家庭料理から加工食品へと実に大きな変化を見せている.このような現象を食生活の合理化,食文化の向上と言って,手放しで喜べるであろうか.最近は平均的には,子どもたちの食生活は改善されているようにも思われるが,一方では,栄養や食物に対する関心が薄れ,嗜好本位の加工食品偏重の食生活に陥り,そのため子どもの健康にまで影響を与えてきている.
例えば,欠食,孤食といった食事のとり方の乱れ,肥満児,体力のない子どもの増加,子どもの生活習慣病の話題,また,よくかめない子どもの増加など,いわば飽食の中の食のひずみ現象が目につくようになった.これでは望ましい食習慣は育たないばかりか,子どもの心も育つはずがないように思われる.厚生労働省が昨年12月に2001年の出生児を継続観察した,21世紀出生児縦断調査1)によると,子どもの食事で心配なことがある者は80.3%で,その内容は表1のとおり,落ち着いて食べない(例えば,遊びながら食べる),食べる量にムラがある,好き嫌いが多い,朝食を食べないことがあるなどが挙げられている.第3回(前回の)調査に比べ,増加傾向が見られる.
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