連載 日本の高齢者―介護予防に向けた社会疫学的大規模調査・3
高齢者の保健行動と転倒歴―社会経済的地位との相関
松田 亮三
1
,
平井 寛
2
,
近藤 克則
3
,
斎藤 嘉孝
4
,
「健康の不平等」研究会
1立命館大学産業社会学部
2日本福祉大学COE推進室
3日本福祉大学社会福祉学部
4明治学院大学社会学部
pp.231-235
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100053
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
本稿では,日本の高齢者における保健行動・転倒経験とSESとの関連を,AGESプロジェクト[Aichi Gerontological Evaluation Study(愛知老年学的評価研究)プロジェクト]のデータを用いて検討する.
保健行動は,利用可能な資源の差異や心理的環境などと並んで,健康の社会的格差が生じる理由の1つとされている1~4).欧米での研究では,保健行動―不健康な食事摂取,肥満(体重過多),活動性の低さ,飲酒問題など―について,教育歴・所得・職業といった社会経済地位(socioeconomic status: SES)との関連が指摘されており,教育歴が短い人,所得の低い人,そして非熟練労働者等の非ホワイトカラー層で相対的に不健康につながる行動が多いとされている5~8).しかしながら,中国ではむしろSESが上昇するにつれてより不健康な健康行動が増えるという分析が示しているように9),政治・社会・経済・文化などの異なる社会において,SESと保健行動との関連が同じであると想定することはできない.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.