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Anesthesiology
Editorial:
Huang Z. When memory meets pain:divergent neural signatures of sedative agents. Anesthesiology 2025;143:253-4.
Article:
Vogt KM, Simmons MA, Reddy SN, et al. Effects of sedative doses of propofol, dexmedetomidine, and fentanyl on memory and pain in healthy young adults:A randomized, controlled, single-blind crossover study using functional magnetic resonance imaging at 7 Tesla. Anesthesiology 2025;143:313-29.
■鎮静と鎮痛の密接な関係
医学生がしばしば「鎮静と鎮痛の違いは何ですか?」「麻酔と鎮痛は何が違うのですか?」などと質問するが,両者は異なった概念である。鎮静とは意識レベルを低下させることで,不安やストレス,過覚醒状態を緩和させるものである。一方,鎮痛は文字どおり痛みを取るもので,意識の変化を伴うものではない。違いは自明と思っても,意外と完全には納得してくれない場合もある。鎮静にはベンゾジアゼピンやプロポフォール,デクスメデトミジンなどが使用されるが,鎮痛作用を増強するようなものもある。モルヒネなどのオピオイドは鎮痛作用に加え,鎮静作用も有する。薬物の作用は,鎮痛と鎮静を明確に切り分けられないところに難しさがあるのかもしれない。
麻酔や集中治療において,鎮静と鎮痛は密接な関係にある。『日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン』(日集中医誌 2014;21:539-79)では,鎮痛優先戦略が強調されている。「鎮静=鎮痛」ではなく,意識が低下していても痛みは感じている可能性がある。鎮痛が不十分なまま鎮静を深めれば,患者は「苦痛を伴った無反応状態」となる可能性がある。麻酔では,鎮静や鎮痛などのためにそれぞれの役割に対して特性のある薬物を組み合わせるというmultimodal general anesthesiaという概念がある(Brown EN, et al. Multimodal general anesthesia:Theory and practice. Anesth Analg 2018;127:1246-58)。理論的な麻酔や鎮静,鎮痛を行うには,これらの複雑な薬理作用メカニズムに迫る必要がある。

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