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Anesthesiology
Articles:
・Xiao MZX, Khan JS, Dana E, et al. Prevalence and risk factors for chronic postsurgical pain after cardiac surgery:a single-center prospective cohort study. Anesthesiology 2023;139:309-20.
・Rosenberger DC, Pogatzki-Zahn EM. Chronic post-surgical pain - update on incidence, risk factors and preventive treatment options. BJA Educ 2022;22:190-6.
・Richebé P, Capdevila X, Rivat C. Persistent postsurgical pain:pathophysiology and preventative pharmacologic considerations. Anesthesiology 2018;129:590-607.
■遷延性術後痛の発生には多くの要因が関与し,その発生頻度も高い
遷延性術後痛chronic postsurgical pain(CPSP)は重大な問題であり,20〜30%の患者に術後6〜12か月にわたって慢性痛があると報告されている。2019年にInternational Classification of Disease, Eleventh Revision(ICD-11)によって,CPSPは以下のように定義された。「手術や組織損傷後に出現したり,その強さが増す痛みであり,治癒過程が終了しても,イベント後3か月以降も持続するもの」であり,「痛みは手術/組織損傷部位に局在するか,その部位の神経支配領域へ投射されるデルマトームへの関連痛である」こと,「事前から存在する痛みの状態や,感染症,悪性腫瘍の痛みなどの他の原因を除外できる」こと,「しばしば神経障害性疼痛の特徴をもつ」ことである。
CPSPの頻度は術式に関係している。術後3か月を超えて痛みがある確率は,報告によって大きく異なるが,乳房切断術で20〜50%,開腹による腸管手術で17〜21%,股関節置換術で7〜23%,開胸手術で61〜70%と報告されている。高度の痛み〔痛み評価スケール(NRS)で>5/10〕については,乳房切断術で5〜10%,開胸手術で10%,股関節置換術で6%と報告されている。ヘルニア根治術や胆囊摘出術では,鏡視下手術によってCPSPの頻度が低下する。
CPSPの発生には術前,術後の要因も関与している。術後の長引く強い急性痛も重大な要因である。術前の慢性痛(特に手術部位),ストレス,不安なども重大な要因である。女性や,肥満,若年者もリスク要因である。
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