徹底分析シリーズ アナフィラキシーを再考する
スガマデクスおよび抗菌薬によるアナフィラキシー—無事に導入や手術を終えた“そのとき”に
折原 雅紀
1
Masaki ORIHARA
1
1群馬大学医学部附属病院 集中治療部
pp.894-899
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320090894
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スガマデクスは,ロクロニウムやベクロニウムといったステロイド構造を有する非脱分極性筋弛緩薬の拮抗薬である。日本では2010年に臨床使用が開始され,その強力かつ迅速な筋弛緩拮抗作用により,短期間で利用が拡大した。スガマデクスの登場により麻酔管理の質は大きく向上した一方で,普及とともにスガマデクスによるアナフィラキシーの報告数も増加している。
また抗菌薬も周術期に頻用される一方で,アナフィラキシーの原因となることが多い。β-ラクタム系抗菌薬を中心に,過敏反応の既往や交差アレルギーの可能性をふまえた慎重な対応が求められるが,術前投与であることから麻酔導入後の急変として認識されやすい点にも注意が必要である。
本稿では,スガマデクスや抗菌薬に特異的なアナフィラキシーの特徴に加え,それらへの対応についても,薬物の構造的背景や発症機序に関する知見を交えながら概説し,麻酔科医が周術期に留意すべき点を整理したい。

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