現代のカルテ
平穏無事に終つた臨時国会
永田町山人
pp.40
発行日 1962年10月1日
Published Date 1962/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202419
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臨時国会が終つて政界はこのところようやく静かになつてきた.もともと例年ならば7,8月はいわば夏休みの形で,議員たちは選挙区への手当て(早く言えば選挙の事前運動)に大わらわだつたり,箔をつけるための外遊をしたり,国会は閑古鳥が鳴く静けさだ.しかし今年は7月1日に参議員選挙があつたために,国会法で定められた"議会を構成するため"の臨時国会を開かなければならないので,例年のような夏休みはできなかつた.したがつて臨時国会は全くお義理に開いたようなもので,せいぜい5日間もあれば審議できる程度の法案しかなく,それを延延と1カ月の会期を費したのだから,全くバカげた時間の浪費ということになる.一部の良心的な議員からは,会期が長すぎると最初に反対もあつたが,ブラブラと1カ月の会期を過ごしていれば,相当額の手当がもらえるとあつては一部の反対論など簡単に葬り去られたのも,当然のことだつた.だから今度の臨時国会ほど名物のモメごともなく,乱闘もなかつた国会は,近年珍らしい.乱闘がなかつたといえば聞こえはいいが,ぜんぜん無気力のためというのでは,大して自慢にもならない平穏国会ということになろう.
会期を長くしたという理由はもう一つある.前にあげたように,夏休みは選挙区の手当をしなければならない.この手当てを怠れば次の選挙には落選しなければならないこともあるのだから,議員によつては,国の政治以上に大事にする人もある.
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