症例検討 薬物の副作用:薬は毒である
巻頭言
中木 敏夫
1
1帝京大学医学部 薬理学講座
pp.433
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100091
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一粒, 一アンプルの医薬品は現代科学の粋を集めたハイテクの結晶であり文明の利器である。火に始まって原子力,飛行機, コンピュータに至るまで, 文明の利器は正しく使用して初めて人類のためになるが, 一方では誤った使用により甚大な被害をもたらす。
医薬品の正しい使用法が容易でない理由は, 投与される対象の人体についてわれわれはごく一部しか理解していないことである。したがって, 麻酔を安全に行うことができ, また術後にも悪影響を与えないことを望んでも, 現実にはさまざまな問題が生じることはやむを得ない面がある。それでもなお,そのような状況下で最善を尽くすことが医師には求められる。
一見戸惑うような有害作用について記載していただいた。マンニトールによる高カリウム血症, 加熱人血漿たん白による低血圧, 抗菌薬による低血圧,ロクロニウムによるアナフィラキシーを今回は扱う。これらに遭遇する頻度は不明であるかもしれないが, 症例検討として1 回読んでおけば頭の片隅に残り, いざというときの対応に役立つと確信する。
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