徹底分析シリーズ 麻酔とテクノロジー
巻頭言
内藤 祐介
1
1奈良県立医科大学 麻酔科学教室
pp.1067
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320111067
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- 文献概要
近年の医療分野におけるテクノロジーの進化は著しく,安全性の向上,医療コストの削減,医療従事者の負担軽減に大きく寄与している。麻酔・集中治療領域も例外でなく,非侵襲的モニタリング,機械学習によるリスク予測,クローズドループシステムによる自動制御など,最先端の技術が臨床に導入されて久しい。このような革新の時代において,麻酔科医には単なる「機器の使用者」ではなく,その原理や限界を理解し,責任をもって「使いこなす存在」であることが求められている。
今月号の徹底分析シリーズでは,テクノロジーを製品として単に紹介するのではなく,「テクノロジーとは何か」という本質的な問いに立ち返り,麻酔科医はこれにどう向き合い,いかに活用すべきかについて,多角的に考察することにした。特に近年のテクノロジーの基盤となっている機械学習は,情報リテラシーの格差が大きく,専門的な知識が障壁となっている分野の一つである。そこで本特集では,初学者にも概念的な理解が得られるよう,専門用語や数式を極力排除した解説をしてもらった。加えて,機械学習は大規模なデータベースを前提とする技術ではなく,中規模・単施設のデータでも十分に応用可能であることを強調している。医療テクノロジーに関する知識を「教養」として身につけ,臨床の現場で活かす力へと変えてほしい。
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