特集 新時代に備える病院のあり方
巻頭言
渋谷 健司
1
1東京大学医学系研究科国際保健政策学
pp.17
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210396
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2016年は激動の年であった.英国のEU離脱や米国の大統領選挙結果は,「何が起こるかわからない」という衝撃をもたらした.不確定な要素の大きい時代に求められる態度は,いたずらに不安を煽ることではなく,また,根拠のない楽観論を振りかざすことでもない.
2017年は診療報酬・介護報酬のダブル改定に向けた議論,医師の需給や偏在対策,支払基金改革など多くの重要案件が並行して進む年になるだろう.もちろん,こうした短期的な制度変更に対応することは必要である.しかし,パッチワーク的な制度改正による部分最適を繰り返してきた日本の社会保障制度は,長期的な視点に基づく変革が必要であり,単なる負担増と給付削減による現行制度の維持ではなく,価値・ビジョンを共有し,保健医療を再構築する時期に来ている.
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