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障害者雇用の現状と課題:法定雇用率引き上げと職業リハビリテーションの重要性
「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」第5条では,事業主の責務として,障害者に対して雇用の場を提供することが求められており,民間企業における障害者の法定雇用率は年々上昇している1).また,リハビリテーションの現場でも障害があっても社会参加を望む声を聞くことが多く,復職や再就職といった職業リハビリテーションを行う必要性が増加している.一般就労(障害者雇用枠)での支援は,障害者の能力や適性に応じた職業生活を送ることを目的とすることから多岐にわたる.
障害者雇用促進法では障害者雇用率を設け,常時雇用する従業員数が40人以上の事業主に対して一定割合以上の障害者雇用を義務づけている.2026年度に障害者法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられることに伴い,企業は法定雇用率の達成を見据えて雇用を進めているが,法定雇用率達成のためには,さらなる企業の取り組みが必要である.2024年(令和6年)の調査2)では,身体障害者は36万8,949人(対前年比2.4%増),知的障害者は15万7,795人(同4.0%増),精神障害者は15万717人(同15.7%増)と,いずれも前年より増加しており,特に精神障害者の伸び率が大きい.また,その一方で,障害者を1人も雇用していない企業(0人雇用企業)は3万6,485社であり,未達成企業に占める割合は57.6%となっている.公的機関の法定雇用率は民間企業よりも高く設定され,2024年度の法定雇用率は2.8%(教育機関は2.7%)であり,その中でも教育委員会の法定雇用率未達成が課題となっている.今後,法定雇用率の引き上げに伴い,企業の障害者雇用への意識がさらに高まることが期待されているが,課題は山積しているといっても過言ではない.

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