脳卒中発症後の身体活動量低下により，心臓外科手術後の運動耐容能改善が難渋した1例

A case who had difficulty improving exercise tolerance after cardiac surgery due to decreased physical activity after stroke

要旨　【目的】脳卒中発症後に身体活動量が低下し，多疾患・重複障害を有した心臓外科手術後患者に対する理学療法経過および考慮すべき視点を報告する．【方法】70歳台後半男性，脳卒中発症後に重度大動脈弁狭窄症および狭心症が判明した．脳卒中発症前の生活空間アセスメントは92点であったが，発症後45.5点と身体活動量が低下していた．脳卒中発症4か月後に大動脈弁置換術および冠動脈バイパス術が施行され，術後は早期離床と身体活動量の向上，日常生活活動の拡大を図った．【結果】術後合併症を生じず，術前以下の運動機能に陥ることなく日常生活活動は自立し，術後21日に自宅退院した．しかし，心肺運動負荷試験から運動耐容能改善は難渋していた．【結論】脳卒中発症後に身体活動量が低下した多疾患・重複障害を有する心臓外科手術後患者には，身体活動量向上の視点と個別性を踏まえた長期的アプローチの検討が重要である．