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私は,子どもの頃から数多くの挫折を経験してきた人間だと思っています.それは,学業や部活動だけでなく,現在の職場においても同じような経験があったのではないかと,今になって冷静に振り返ることが多々あります.挫折をすると,いつも自分を責めたり後悔したりしてしまいますが,挑戦し続けるからこそ挫折は避けられないものであり,それを乗り越えられたからこそ,今の自分があるのだと自信をもって言えるようになりました.「挫折は人を大きくし,強くする」とよく言われますが,その言葉は本当にそのとおりだと感じています.多くの挫折を経て,現在の職業である理学療法士として後悔のない人生を送りたいと,自分の夢や成し遂げたいことを探求し努力し続ける目標ができました.
これらの挫折の背景には,必ずと言っていいほど人とのかかわりがありました.私の人生における最大のターニングポイントは,大学時代に出会った恩師の教授との出会いです.恩師とのかかわりのなかで挫折も経験しましたが,恩師は決して私を見捨てることなく,いつも励まし押し上げてくれる存在でした.私は当初,平凡に一般的な病院で働き続けるつもりでしたが,恩師から大学院進学を勧められ,数年間総合病院で実務経験を積んだ後,大学院進学を決意しました.大学院で出会った教授との出会いもまた,私の人生における第二のターニングポイントとなりました.その後,信州大学医学部附属病院へ転職し,そこでのスタッフや環境との出会いが第三の大きなターニングポイントとなりました.重症度の高い患者さんが多い臨床現場,学会発表での反省や論文のreject,スタッフ教育場面での考え方の相違や臨床場面での意見の衝突など,さまざまな挫折は今でも経験しますが,常に刺激となり成長の糧となっています.私の人生には一度きりではなく,何度も小さなターニングポイントがあったのだと感じています.
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