学会印象記
—第12回日本地域理学療法学会学術大会—対話から広がる地域理学療法の可能性
根来 拓弥
1
1北出病院リハビリテーション科
pp.1492
発行日 2025年12月15日
Published Date 2025/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590121492
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対話から生まれる実践
本学術大会では,「理学療法士に『しか』『なら』『でも』できること—地域に根差した地域理学療法を自分ゴトとして考える」をテーマに,議論よりも「対話」を通じた新たな発想の創出を重視し,対面開催にこだわる意義が強調されていました.発表者のみならず参加者一人ひとりが交流を通して新たな気づきを得てほしいという主催者の思いが込められており,理学療法士の役割や活動範囲が地域住民の健康増進に寄与する実践にまで拡大していることを実感しました.退院後の支援体制や地域診断(地域評価),多職種連携の重要性があらためて示され,地域理学療法学の必要性を再認識しました.
シンポジウム「地域に根ざした健康増進支援の実践—多様な生活環境・地域課題に応じた理学療法の展開」では,地域課題の的確な把握と解決策の検討の重要性が繰り返し強調されました.住民特性や地域環境,情報格差といった多様な要因を踏まえ,地域診断の情報をどのように活用するかが鍵であると学びました.市町村の取り組みでは,運動のみならず栄養を含めた健康増進活動が展開され,住民の声を反映した実践的な工夫が印象に残りました.また,地域の範囲や目標,投入可能な人的・時間的・経済的資源を考慮し,ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチを組み合わせた包括的支援が望ましいという考えに深く共感しました.
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