増大号 超実践! 病理で迫るがんゲノム医療—検査から治療まで
3章 知っておくべきバイオインフォマティクスについて
公共データベースの実際の操作方法
雨宮 健司
1,2
1山梨県立中央病院ゲノム解析センター
2山梨県立中央病院検査部ゲノム検査科
キーワード:
COSMIC
,
OncoKBTM
,
CIViC
Keyword:
COSMIC
,
OncoKBTM
,
CIViC
pp.1145-1156
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200690101145
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
がんゲノム医療は近年,目覚ましい発展を遂げ,個別化医療実現への道を切り拓いている.次世代シークエンサー(next-generation sequencing:NGS)技術の進歩により,がん組織から網羅的な遺伝子変異情報を取得することが日常臨床でも可能となり,その結果は,がんの診断,治療選択,予後予測,そして創薬研究へと幅広く応用されている.NGS検査によって検出されるバリアントは多岐にわたり,その臨床的意義を正確に解釈することは,がんゲノム医療の実践において極めて重要な課題である.個々のバリアントが疾患に与える影響,治療薬への反応性,予後との関連性などを評価するためには,膨大な科学的知見と臨床データに基づいた情報源が不可欠となる.
本稿では,がんゲノム医療において特に重要性の高い公共データベースであるCOSMIC(catalogue of Somatic mutations in cancer),OncoKBTM(oncology knowledge base),CIViC(clinical interpretations of variants in cancer)の3つを中心に,その概要,特徴,そして実際の操作方法を,その他の公共データベースとともに概説する.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.