特集 第16回社会医学研究会
シンポジウム
健康の権利と公共の利益
吉田 克己
1
1三重大学医学部公衆衛生学教室
pp.846-852
発行日 1975年12月15日
Published Date 1975/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205115
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1.はじめに
第16回社会医学研究会が熊本で開催されるに当たって,世話人の野村茂教授(熊本大学医学部公衆衛生)は,研究会の主題として『法と健康』という課題を設定された.このことは,本年度の研究会総会の開催案内や総会に当たっての野村教授のあいさつにもみられたように,この点が社会医学研究における今日的な大きな課題であることを示している.それは,「たとえば,各種の公害訴訟や医事法制への関心の高まり,『刑法改正』をめぐる世論の高まり,予防接種のあり方などの衛生行政と関連法規をめぐる再検討の動きなど,法律(ないしは法学)から健康の視点への接近が具体的な形で活発に行なわれつつある.社会科学との協力を積極的に追求する社会医学研究会にとって,このテーマはきわめて今日的な課題と考えられる」(研究会総会開催案内より)ということや,
「本会はその発足当初より社会医学の研究には社会科学の方法論や成果をとり入れる必要があり,研究会にも社会科学者の参加を得るように努めるべきだとの考えをもって今日に至っている.
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