FOCUS
腹壁瘢痕ヘルニアにおけるボツリヌス毒素を使用した治療の可能性
蛭川 浩史
1
Hiroshi HIRUKAWA
1
1立川綜合病院外科
pp.623-631
発行日 2025年5月20日
Published Date 2025/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800050623
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はじめに
腹壁瘢痕ヘルニアは,開腹術後の10〜15%に生じるとされ,最も多い合併症の一つである1,2).創感染があった場合は20%を超えるとされている3).
海外では近年,腹壁瘢痕ヘルニア修復術に対し,偏移し萎縮した筋層に対しボツリヌス毒素(Botulinus toxin:BTX)を注入することで,筋層を伸展させ欠損部の縫合閉鎖を促進する方法の安全性と有効性が次々と報告されている4)が,わが国ではまだ認可されていない.本稿では,BTXを用いた腹壁瘢痕ヘルニア修復術の現状と展望について解説する.

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