術前診断しえたEBウイルス関連リンパ球浸潤胃癌に腹腔鏡補助下胃全摘術を行った1例

A case of laparoscopic total gastrectomy for EB virus-associated lymphocyte-infiltrated gastric cancer diagnosed preoperatively

要旨

症例は71歳，女性．ふらつき，黒色便を主訴に当院受診した．血液検査でHb 8.0 g/dLと貧血で，上部消化管内視鏡検査で胃体上部小彎後壁に約3 cmの粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた．生検でGroup 4，腺癌の診断で当科紹介となった．術式決定のため，内視鏡を再検し生検を施行．明らかな悪性所見なし．血液検査でLDH，CEA，CA19-9，sIL2-Rは正常であった．EUSで第3層を主座とするhypoechoic lesionとして描出された．初回病理標本に対し追加で行った免疫染色でEBER-ISH陽性で，EBウイルス関連胃癌の診断．腹腔鏡補助下胃全摘術，D2郭清を施行した．術後病理結果はcarcinoma in lymphoid stroma，pT3（SS），N2，M0，pStageⅢAであった．術前診断しえたEBウイルス関連リンパ球浸潤胃癌に腹腔鏡下手術を行った1例を経験したので報告する．