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編集後記
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pp.966
発行日 2025年9月10日
Published Date 2025/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530090966
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四半世紀も前の話で恐縮ですが,私の美術史学生時代の卒論執筆は実に孤独な作業でした.テーマを19世紀英国ラファエル前派の旗手ロセッティの「ベアタ・ベアトリクス」に定めたものの,ゼミ仲間のテーマはバルテュス(20世紀フランス),琳派(桃山時代後期の日本)など時代も国も多様性に富みすぎていたうえに皆シャイで,互いに積極的な意見を言い合う雰囲気は皆無でした.いきおい,自宅に閉じこもり文献を読むばかりの日々を過ごし,最終的に対象に入れ込みすぎた論文を提出した私は指導教授に客観性の大切さについて苦言を呈され,微妙な「B」判定とともに卒業となったのでした.
連載「デジタルアウトリーチの進化が切り拓く新たな可能性」第2回は,るー先生に学術系VTuberのゲストの皆様とともに実施いただいた配信をベースにご執筆いただきました(アーカイブをご視聴のうえお読みいただくのもお勧めです!).リスナーが気軽に専門的な科学情報に触れ,コメント参加もできるVTuber配信の高い学習効果を知り,まさに科学コミュニケーションの新しい地平を見る思いです.ゾンビ先生が現世のゼミでされている「学生が研究論文の途中経過を配信し,リスナーにリアクションをもらう」取り組みも新鮮で,自身の論文作成のビターな日々に思いを馳せました.今後の学術系VTuberの先生方の展開を楽しみにしております!

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