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脊髄性筋萎縮症(SMA)の遺伝学的検査—治療の現状と今後
齋藤 加代子
1
,
横村 守
2
1東京女子医科大学
2東京女子医科大学ゲノム診療科
pp.1262-1265
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110530121262
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はじめに
脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)は脊髄前角細胞の変性・消失による筋萎縮と進行性筋力低下を特徴とする下位運動ニューロン病である.その97%は小児期発症であり,特に重症のI型は,現在のような治療薬のない時代には人工呼吸管理なしでは2歳までに90%以上が呼吸不全で死亡する重篤な神経変性疾患であり,長い間,治療法のない疾患として,入院や在宅においてケアを受ける疾患であった.そのようなSMAにおいて,5年間に3種類の疾患修飾治療(disease-modifying therapy:DMT)が保険収載され,治療と発症予防が可能となり,発症前に治療を受けた児が順調に成長・発達している.その背景と疾患重篤性ゆえに新生児マススクリーニング(newborn screening:NBS)を期待するのは必然である.わが国でも,SMAのNBSプログラムへ導入の検討がなされ,症状顕在化の前の投与により症状発現の抑制,軽減化が可能となり,公費事業化に向かっている.本稿では,確定診断としての遺伝学的検査とDMTの現状と今後について述べる.

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