焦点
AX時代のAIデバイドに挑む看護教育—パラダイムの転換と学びのリビルド
永井 翔
1
1人間環境大学看護学部
pp.596-603
発行日 2025年10月25日
Published Date 2025/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.004718950660050596
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看護教育の臨界点:生成AIショックが突きつける変革の必然
看護教育は今、AX(AI Transformation)の激流に直面している。AXとは、AI(人工知能)の活用によって社会や組織の在り方、学習、働き方などを根本から変革していくことを指す。
生成AIが学習の前提を根底から覆しつつある現在、看護教育の現場では前例のない混乱が生じている。ChatGPTをはじめとする生成AIは、レポート作成から国家試験対策まであらゆる学習場面に浸透し、特に課題や記録に追われる学生にとっては、もはや「使わない」という選択肢が現実的ではなくなった。こうした状況下で、教員の多くは生成AI使用そのものを取り締まろうと試み、一方で学生はその統制から逃れる形であの手この手で利用を続ける。統制と回避行動のイタチごっこが繰り広げられる教室では、単なる技術導入という問題を超えて、従来の教育論ではとても対応しきれない新たな危機を示している。

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