- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
このところ,毎日受け取るEメールの数が急増しています.このEメール普及の背景として,その利便性やコストに加えて,SDGs(sustainable development goals)の一環で地球に優しいペーパーレスの通信方法とも考えられます.医局や大学内のほか,研究班,学会,製薬企業や出版社など各方面から役割を頂いていることを実感できてありがたい限りですが,Eメールの整理を1〜2日でも怠れば,未読メールがすぐに100〜200通を超える状況になります.溜まりに溜まったメールの確認はまるで宝探しのようで,手間の掛かる憂鬱な作業です.迷惑フォルダー内に大切なメールが振り分けられていることもあり,メールの見過ごしで送信元に多大な無礼を働いたり,返信の〆切を過ぎて青ざめることも珍しくありません.海外からの英文メールも増えました.もちろん,私自身もEメールのメリットは十分に享受しています.多くの人とタイムラグなしで,しかも時間を気にせず一斉に送受信でき,文面コピーや転送も簡単ですので,ビジネス面での効率は圧倒的に良くなりました.メール整理が苦手なためにフォルダー内が混沌としておりますが,過去のやり取りはデータで保存されます.ただし,うっかり送信する相手を間違える,あるいは下書きメールをそのまま送る失態を幾度も経験し,送信ボタンを押すときは独特の緊張感が漂います.さらに,手軽なゆえに些細なことをすぐEメールで愚痴って共感を求めたり,勢いに任せて急な依頼メールを送ってしまうこともあります.受け取る側はきっと迷惑千万でしょう.登録した覚えのない相手から届いたEメールは,詐欺や偽装への警戒も必要です.Eメールに対して従来の郵便は,英語でsnail mail,つまりカタツムリメールと呼ばれています.最近は郵便の到着がさらに長くなり,利便性ははるかに劣りますが,味気ないEメールより丁寧に感じるだけでなく,時間に追われるせわしなさから解放された気持ちになるのは私だけでしょうか.
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.