超音波検査が病変範囲の決定に有用であった左側頭部の好酸球性血管リンパ球増殖症の1例

A case of angiolymphoid hyperplasia with eosinophilia on the left temporal region in which ultrasonography was useful in determining the extent of the lesion

要約　68歳，男性．2年前に出現した左側頭部の紅色丘疹が緩徐に増大し当科を受診した．左側頭部に約4 cm大の可動性に乏しい広基有茎性で弾性軟，表面平滑な常色腫瘤を認めた．病理組織学的には，膠原線維の増生，リンパ濾胞構造の形成，好酸球の浸潤，毛細血管の増生と血管内皮細胞の内腔への突出を認めた．以上の所見から好酸球性血管リンパ球増殖症と診断した．超音波検査を用いてモザイクパターンを指標に切除範囲を決定し，外科的切除，双葉皮弁での再建を実施した．術後9か月の時点では再発なく経過している．治療法としては再発率の低い外科的切除が選択されることが多いが，境界不明瞭な病変が多いこともあり，切除しても再発率は約40%に達する．超音波検査所見も少数ながら報告されており，超音波検査を活用することで病変の範囲を推定し外科的切除後の再発率を下げうる可能性がある．