帯状疱疹様の配列を呈したbullous dermatomyositisの1例

A case of bullous dermatomyositis presenting herpes zoster-like array

要約　50歳，男性．初診1か月前から瘙痒を伴う皮疹が体幹，手背に出現し，前医でステロイド外用および内服するも改善しなかった．その後，発熱，呼吸困難が生じたため当院紹介受診した．初診時にはヘリオトロープ疹，Gottron徴候，Vネックサインとともに左側腹部から背部にかけて水疱を伴う浮腫性紅斑が帯状に集簇していた．血液検査ではアルドラーゼ，KL-6，フェリチン上昇，抗MDA5抗体が陽性であった．水疱性紅斑は，病理組織学的に真皮上層の浮腫を伴う表皮下水疱であった．以上より抗MDA5抗体陽性のbullous dermatomyositisと診断した．ステロイドパルス，エンドキサンパルス療法を施行するも，急速進行性間質性肺炎の急性増悪により，初診2か月後に呼吸不全で永眠した．自験例のように抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎でも水疱形成がみられるため，早期に特異自己抗体を測定し，bullous dermatomyositisでみられやすい内臓悪性腫瘍だけでなく，急速進行性間質性肺炎などの重篤な合併症の有無を評価すべきである．