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誰も考えようとしなかった癌の医療経済

誰も考えようとしなかった癌の医療経済
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筆頭著者 國頭 英夫 (著) 田中 司朗 (監修)

日本赤十字社医療センター化学療法科部長/京都大学大学院医学研究科臨床統計学講座特定教授

中外医学社

電子版ISBN

電子版発売日 2023年7月3日

ページ数 253

判型 A5判

印刷版ISBN 978-4-498-14846-8

印刷版発行年月 2023年7月

DOI https://doi.org/10.18886/9784498148468

書籍・雑誌概要

m3.com連載「Cost, Value and Value trials」を書籍化
医師にとっては「医療経済」という言葉を縁遠いものと感じるかもしれない.実際,薬価がいくら高額になっても医師の給与に影響せず,患者にすら影響は少ない.しかし「命のためなら無限にコストを注ぎ込む」ことは結局のところ次世代の犠牲を強いることになる.m3.comの人気連載「Cost, Value and Value trials」を書籍化した本書では,医療の費用対効果分析やその問題点について詳説する.

目次

Chapter 1  医薬品の費用対効果分析 総論
       “Value”を重視した治療開発のために医師が考えるべきこと

Chapter 2  Value評価の潮流 その1
       効果が大きくない薬ほど、「大規模試験」で高い薬価に?

Chapter 3  Value評価の潮流 その2
       新薬の“benefit”を定量的に評価するには

Chapter 4  Value trialsの概念
       ほぼ同等:「まぁまぁこのくらいでいいんじゃない?」

Chapter 5  Low-dose abiraterone
       「投与法の工夫で高額薬も4分の1の量で十分な効果」

Chapter 6  Low-dose abirateroneに賛否両論
       「低用量」の研究を巡る大論争

Chapter 7  Low-dose EGFR-TKI
       「通常量」は治療に必要な量よりも高く設定されてしまっている可能性も

Chapter 8  経口薬の問題点 その1
       経口分子標的薬とコカ・コーラの相互作用

Chapter 9  経口薬の問題点 その2
       良好なadherenceに相関する唯一の因子は「臨床医とのコミュニケーション」

Chapter 10 低用量治療の位置づけ
       低用量治療研究はあくまでも「研究」である

Chapter 11 低用量治療「研究」の目指すもの
       「個々の患者に合わせて」のスローガンを「単なる念仏」にしないための検証

Chapter 12 術後化学療法の治療期間 総論
       「術後治療」の欠点:張り合いがなく無駄が多い

Chapter 13 術後化学療法の治療期間 大腸癌
       「5年生存率で0.4%の差」に意味はあるのか?

Chapter 14 乳癌術後治療の投与期間
       「やらなくてもいい治療をしないようにする」努力

Chapter 15 非小細胞肺癌に対する術前術後治療
       術前治療なら「効果」を判定できる、有効例には術後治療不要?

Chapter 16 切除可能非小細胞肺癌に対する
       “adjuvant value trial”デザイン回帰不連続デザインはランダム化試験の代わりになるか

Chapter 17 Real world benefit その1 症例選択規準の緩和
       オリンピック選手しか参加できない研究?

Chapter 18 Real world benefit その2 観察研究での外的妥当性検討
       RCTのデータだけではまだ「仮承認」止まり?

Chapter 19 分子標的薬の中止研究
       「一生飲み続けねばならない」薬なのか?

Chapter 20 免疫療法剤の中止研究
       日本の臨床研究の真価が問われる

Chapter 21 G-CSFのvalue trials
       誰のための骨髄抑制対策

Chapter 22 バイオシミラー
       やっぱり「大体同じ」でいいじゃない?

Chapter 23 価格と効果の乖離 その1
       高い新薬には「それだけのこと」があるのか?

Chapter 24 価格と効果の乖離 その2
       効果が高くても低くても値段は高い

Chapter 25 価格と効果の乖離 その3
       モノに見合う適正な価格を目指して

Chapter 26 外部からの規制によるコスト削減
       「お上」の介入は是か非か

Chapter 27 Desperation oncology
       「失うものは何もない」と考えてしまうと

Chapter 28 Desperation oncology対策 その1
       「希望」と「無益」の狭間で医者も患者も悩む

Chapter 29 Desperation oncology対策 その2
       貧乏人のどケチ大作戦

Chapter 30 費用対効果分析の問題点 その1
       「比較」だけでは全体像は見えない

Chapter 31 費用対効果分析の問題点 その2
       みんな等しく同じ「1年」なのか

Chapter 32 費用対効果分析の問題点 その3
       それでもやはり「進歩」は「進歩」ではないのか

Chapter 33 なぜにコストのことを考えるのか
       経済なき道徳は寝言である

監修の言葉:財政健全化から価値の創出へ〈田中司朗〉
索引

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