書籍を検索します。雑誌文献を検索する際には「雑誌文献検索」を選択してください。
経済学を知らずに医療ができるか!? 医療従事者のための医療経済学入門
筆頭著者 康永 秀生 (著)
金芳堂
電子版ISBN
電子版発売日 2021年5月3日
ページ数 176
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-7653-1834-1
印刷版発行年月 2020年8月
書籍・雑誌概要
今、医療サイドに求められているのは、将来の医療財政危機と医療体制崩壊を回避するための医療の無駄、守るべき医療を明らかにすることです。医療の質を維持しつつ医療体制をスリム化し、国民の命と健康をあずかる医療を死守するための方策を考え、実践しましょう。それらを実行するためにはまず医療従事者こそ医療経済学を学ぶべきではないでしょうか。ただ、ほとんどの医療従事者は経済学について学ぶ機会に恵まれていません。
本書では、経済学の予備知識がゼロでも、通読できるように書かれています。医療従事者が知っておくべき医療経済学の基礎知識を、今こそ身につけて、日常臨床を医療経済の視点から再考してみてください。
目次
Ⅰ 基礎編
1 高等学校「政治・経済」レベルの経済学の基礎知識
1-1 自由主義の経済学
(1)古典派経済学
(2)価格の自動調節機能
1-2 マルクス経済学と社会主義体制
(1)マルクス経済学
(2)社会主義体制
(3)マルクス経済学に対する評価
1-3 修正資本主義
(1)ケインズ革命
(2)大恐慌と修正資本主義
(3)修正資本主義に対する批判
(4)日本の財政赤字
1-4 新自由主義
(1)小さな政府・大きな政府
(2)フリードマンの新自由主義
1-5 市場の失敗
(1)市場メカニズム
(2)市場の失敗の原因
2 今さら人に聞けない医療介護制度の基礎知識
2-1 社会保障制度の概要
(1)社会保障制度とは
(2)国民負担率
2-2 医療保険制度
(1)公的医療保険
(2)医療費の支払い方式
(3)医療機関へのかかり方
2-3 医薬品の諸制度
(1)医薬品の位置づけ
(2)薬機法
(3)薬価制度
2-4 介護保険制度
(1)家族の役割とその限界
(2)介護保険制度の概要
(3)介護保険サービスの実際
(4)地域包括ケア
3 医療経済学の基礎
3-1 医療サービスの特殊性
(1)医療サービス需要の不確実性
(2)必需財と奢侈財
(3)探索財・経験財・信頼財
(4)公共財と私的財
3-2 医療サービスにおける情報の非対称性
(1)保険の理論
(2)医師誘発需要
3-3 モラル・ハザード
(1)モラル・ハザードとは
(2)患者自己負担引き上げの影響
3-4 医療分野の規制
(1)規制と規制緩和
(2)医療サービスにおける規制の根拠
Ⅱ 応用編
4 国民医療費
4-1 国民医療費抑制政策
(1)国民医療費の年次推移
(2)医療費抑制政策が必要とされる理由
4-2 先進各国の医療比較
(1)先進各国の医療費の比較
(2)先進各国の健康指標の比較
4-3 医療費増加の要因
(1)医療費増加の要因とされてきたもの
(2)人口高齢化の影響
5 医療の無駄
5-1 過剰な検査・治療
(1)大型医療機器の非効率配置
(2)ガイドラインに基づく画像診断
(3)過剰な治療
5-2 過剰な薬剤使用
(1)かぜに対する抗菌薬
(2)ポリファーマシー
(3)後発医薬品
(4)認知症治療薬
5-3 多すぎる病院
(1)病床数と平均在院日数
(2)地域医療構想
6 医療技術の効果と費用
6-1 エビデンスに基づく医療
(1)EBMに対する誤解
(2)エビデンスがない医薬品9
6-2 医療技術の費用効果分析
(1)費用効果分析とは
(2)費用効果分析の政策応用
(3)費用効果分析に対する批判
6-3 高額医薬品の問題
(1)オプジーボ騒動
(2)高額薬価の記録更新中
6-4 予防医療と医療費
(1)「予防で医療費削減」のウソ
(2)予防で医療費を減らせない根拠
(3)日本における議論の整理
7 医師不足問題
7-1 医師数に関連する諸問題
(1)患者数と医師数
(2)外科医は要らなくなる?
(3)出生数が減れば産科医は減る?
(4)将来医師数は過剰に
7-2 医師の配置の非効率
(1)医師数増加が地域格差を助長
(2)なぜ医師は都市に集中するのか?
(3)医師の地方勤務を強制できるか?
(4)医師偏在対策
(5)医師の働き方改革
(6)地域医療構想とのリンク
7-3 医師のタスクシフティング
(1)タスクシフティングとは
(2)アメリカにおける医師補助職
(3)日本でのタスクシフティング
8 貧困の問題
8-1 貧困の定義
(1)絶対的貧困と相対的貧困
(2)潜在能力
8-2 貧困問題への対策
(1)日本の貧困問題
(2)生活保護制度
8-3 子どもの貧困と医療費の問題
(1)子どもの貧困の影響
(2)貧困が少子化の原因の一つ
(3)子育て支援策
(4)子供医療費助成の弊害
9 持続可能な医療システム構築
9-1 現状の医療費抑制政策の問題点
(1)財政主導の医療費抑制政策の限界
(2)政府による規制の在り方
9-2 医療のアクセス・質・費用
(1)アクセスを制限し質・費用を担保する
(2)現場の医療者にできること
9-3 社会的共通資本
(1)社会的共通資本とは
(2)社会的共通資本としての医療
(3)宇沢理論の表層的引用は慎むべき
(4)宇沢理論の具現化に向けて
索引
著者プロフィール