日本看護協会機関誌「看護」 77巻11号 (2025年8月発行)

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特集1　2025年CNR・ICN大会リポート

扉 77巻11号 , 2025年8月 , pp.21-21

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国際看護師協会（ICN）の会員協会代表者会議（CNR）が2025年6月7～9日、次いでICN大会が「世界を変える看護の力！」をテーマに同月9～13日に開催されました。いずれも開催地はフィンランドのヘルシンキ。また、今年ICNが、国際レベルで世界中の看護学生とキャリア初期の看護師の声を届けようと、「看護学生・キャリア初期の看護師同盟（SECN同盟）」を設立。ICN大会に併せてSECN同盟の会議が開かれ、日本看護協会も代表者を派遣しました。

メッセージ

2025年の会員協会代表者会議（CNR）を振り返って山本　則子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.22-23

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6月7～9日に行われた国際看護師協会（ICN）会員協会代表者会議（CNR）に日本看護協会代表として参加した山本則子副会長より、CNR参加の目的と意義を説明し、報告内容や意見交換の概要を示します。さらに参加して抱いた日本の看護に関する所感について述べます。

報告1

会員協会代表者会議（CNR）報告鈴木　恵巨 77巻11号 , 2025年8月 , pp.24-26

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6月7～9日に行われた国際看護師協会（ICN）会員協会代表者会議（CNR）で議論された主な議事内容について説明し、第2副会長に就任した手島恵氏をはじめ、新たに選出された会長・理事、さらには看護と看護師の定義が改訂された背景や、ヘルシンキ共同声明の概要などを紹介します。

報告2

第30回ICNヘルシンキ大会平野　由美 77巻11号 , 2025年8月 , pp.27-30

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2025年6月9～13日にヘルシンキ（フィンランド）で開催された、第30回ICN大会の模様を紹介します。はじめにICN大会に参加する意義について説明した上で、開会式や、日本看護協会事業に関連したテーマで行われた4つの講演とシンポジウムについて、その概要を報告します。

報告3①

メインセッション「Advancing Nursing Practice：Seize the Moment（看護実践の進歩：瞬間をつかむ）」森山　美知子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.31-32

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6月12日に開催されたメインセッション「Advancing Nursing Practice：Seize the Moment」の登壇者である森山美知子氏が、自身と他登壇者の発表について概要を報告します。また、ICN大会全体を通して捉えた世界における看護の潮流や日本の看護への思いを述べます。

報告3②

Policy leadership in action（ポリシーリーダーシップの発揮）の発表報告虎頭　恭子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.33-34

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6月11日に行われたシンポジウム「Policy leadership in action」について、登壇者の一人である虎頭恭子氏が自身の発表とシンポジウムの概要を報告します。同シンポジウムはICNの研修Global Nursing Leadership Institute ^TM（GNLI）修了生の初企画であり、GNLIにおける学びについても紹介します。

報告4

2025年度インターナショナル・アチーブメント・アワード　真田弘美氏が日本人初受賞平野　由美 77巻11号 , 2025年8月 , pp.35-35

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第30回ICN大会では、真田弘美氏が日本人で初めてインターナショナル・アチーブメント・アワードを受賞しました。真田氏のこれまでの功績や授賞式でのコメントを紹介します。

ICN SECN同盟日本看護協会代表者からの参加報告

世界とつながる若手看護職の声―ICN学生大会および看護学生・キャリア初期の看護師同盟（SECN同盟）会議参加報告住谷　友結 77巻11号 , 2025年8月 , pp.36-37

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ICNが国際レベルで世界中の学生およびキャリア初期の看護師の声を届けることを目的に設立したICN SECN（Student and Early Career Nurses）同盟。ここでは、2025年2月から2027年5月1日までの任期で日本看護協会により代表者に選出された住谷友結氏から第30回ICN大会の参加報告を行います。

特集2　2024年度看護職員の賃金に関する実態調査解説

扉 77巻11号 , 2025年8月 , pp.41-41

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日本看護協会では、政策提言や重点事業の基礎データを得るため、前回の「2012年病院勤務の看護職の賃金に関する調査」から約12年ぶりとなる大規模調査を実施しました。

解説

2024年度看護職員の賃金に関する実態調査解説堀川　尚子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.42-49

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約12年間で病院勤務看護師の基本給の増加は約6,000円で、税込給与総額の増加は手当等によるものが多い。

ベースアップ評価料は約7割の病院、約4割の訪問看護ステーションが算定しているが多くは手当として支給。

業務量や業務内容に対して現在の賃金が「見合わない」という不満は、看護職の離職意向につながりかねない。

特集3　看護職副院長の職務と役割

扉 77巻11号 , 2025年8月 , pp.61-61

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看護職副院長は1989年にわが国に誕生したのち、36年が経過。今では500床以上の病院の51.2％で看護職が副院長に就任しており^★1、看護職の「病院経営への関与」が大規模病院を中心に急速に進んできています。このように看護職の副院長への登用が増加傾向にある中、看護職副院長に期待されること、求められる能力とはいったい何でしょうか。

論考1-① 看護職副院長に期待すること

看護の視点が病院経営を左右する時代に北川　喜己 77巻11号 , 2025年8月 , pp.62-63

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病院長の立場から、看護管理者が副院長として経営参画する必要性と看護職副院長に期待する役割について考えます。本稿では、患者に最も近い存在である看護師の視点が病院の経営に反映される意義と、多職種のまとめ役として、さらには「地域の見守り役」としての役割発揮について期待を述べます。

論考1-② 看護職副院長に期待すること

現場に即した意思決定の実現鎌田　修博 77巻11号 , 2025年8月 , pp.64-64

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病院長の立場から、看護管理者が副院長として経営参画する必要性と看護職副院長に期待する役割について考えます。本稿では、看護職副院長のいる病院のメリットや、求められる要素などを解説します。

論考2

「人」をつなぐ看護の力を、副院長としても発揮する半場　江利子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.65-69

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本稿では、京都市立病院で看護職副院長が誕生した背景と経緯について述べた上で、これまでにどのような取り組みを実践し、組織の経営に寄与してきたかを解説。さらに、その取り組みを通じて看護職の副院長として求められる能力と、今の時代において “看護職” だからこそできることを考えます。

論考3

看護職副院長が抱える課題と今後の展望について田渕　典子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.70-73

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大学病院と地域密着型の病院での副院長職ならびに、日本看護職副院長協議会の会長を務めた筆者の経験を通じて、病院を取り巻く状況を踏まえ看護職副院長として対応しなければならない課題を示すとともに、協議会に期待される役割について述べます。

かお

データに基づいた伴走型サービスで産む人の安心をうむ関　まりか 77巻11号 , 2025年8月 , pp.3-5

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関まりかさんは、2022年に大学院での研究成果を基に起業。妊婦に「パーソナル助産師」という専属の助産師が付き、ウェアラブル端末から得たデータ等に基づいて妊娠合併症等の予防に必要な活動量を達成するための生活プランニング、オンラインの定期面談、チャットの相談で心身の悩みに答えるサービスを提供しています。また、その起業経験を子どもたちに伝える活動にも尽力しています。今回は起業までの経緯と現在の活動、今後の展望をうかがいました。

日本看護協会

会長の手帳―災害支援ナースの献身的な支援活動に敬意と感謝を表します秋山　智弥 77巻11号 , 2025年8月 , pp.10-10

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　会長に就任してはや1カ月が経過しました。鹿児島県トカラ列島の地震活動の活発化は依然として心配な状況です。危険を承知の上で、住民の方々の健康管理や心身のケア、現地の看護職の負担軽減に大きな役割を果たしている災害支援ナースの活躍ぶりには本当に頭が下がるとともに、心から誇りに感じます。どうか、住民の皆さま、また、避難されている皆さま、そして災害支援ナースの皆さまが無事でありますように。

副会長活動ダイジェスト任　和子 , 山本　則子 , 勝又　浜子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.11-11

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「経済財政運営と改革の基本方針2025」等について議論

　6月19日（木）に開催された社会保障審議会医療保険部会に出席しました。今回、「経済財政運営と改革の基本方針2025（骨太の方針2025）」等の政府方針が報告され、医療・介護分野での賃上げの明記を受け、医療従事者の処遇改善を求める意見が相次ぎました。私は、物価高騰下で経営が厳しい医療機関や訪問看護ステーションの実情を踏まえ、看護職を含む人材確保のため、明記された賃上げの確実な実施を強く訴えました。2024年度の看護師基本給が1.1％増に留まり、他産業との格差が拡大していることから人材流出の懸念も共有しました。加えて、「規制改革実施計画」に盛り込まれたオンライン診療の推進では、「D to P with N（医師－患者間の遠隔診療を看護師が支援するモデル）」にも触れ、看護師がICT支援や生活支援を通じて地域の療養を支えている重要性を説明しました。今後も、安全性と有効性を担保した対面診療との適切な組み合わせのもとで、現場の実態に即した制度設計が求められます。

専務理事からのワークリポート中野　夕香里 77巻11号 , 2025年8月 , pp.12-13

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2025年度第4回常務理事会（7月11日）

　2026年5月の「看護の日」イベントをめざし、「忘れられない看護エピソード～いのち・暮らし・尊厳をまもり、支えるプロフェッショナル～」の募集^★1を開始しました。所定の手続きにより厳正に審査を行い、最優秀賞に選ばれた1作品についてはアニメーション・漫画化し、当イベントなどで広く公開していく予定です。看護職は、医療の視点だけではなく、生活の視点を持ち “人” をみる専門職です。日々実践している看護から、看護職の専門性や魅力を発信することは、次世代を担う若い人の理解と関心を喚起するのみならず、看護職が共感しあらためて矜持を持って実践に取り組むこと、また、社会における看護のブランディングにもつながるものと思います。ぜひ、多くの看護職からのご応募をお待ちしています。

常任理事のマンスリー通信井本　寛子 , 木澤　晃代 , 田母神　裕美 , 松本　珠実 , 橋本　美穂 , 淺香　えみ子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.14-15

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9月25日に「母子のための地域包括ケア病棟推進会議」を開催

　国は、少子化等に伴い、分娩取扱施設の集約化・重点化を進めています。同時に、妊娠前～出産～産後・子育て期における支援策の強化に向けた検討も行っており、助産師にはさらなる専門性の発揮が期待されています。本会は、助産師の役割発揮ができる体制整備として2021年度から「母子のための地域包括ケア病棟」を推進。関連して、国の示した「周産期医療の体制構築に係る指針」（第8次医療計画）には、「分娩を取り扱う医療機関は、（略）産科区域の特定（院内助産・助産師外来や医療機関における産後ケア事業の実施、また母子保健や福祉に関する事業と連携する機能を包括的に実施する機能をもつ病棟の概念を含む）などの対応を講ずることが望ましい」と明示されました。「母子のための地域包括ケア病棟推進会議」では地域でのリーダーシップが期待される周産期母子医療センターの看護管理者の皆さまに、周産期医療を取り巻く国の動向や好事例施設の取り組みについて情報提供する機会を設けました。ぜひご参加ください。

日本看護協会　TOPICS

令和8年度診療報酬改定要望書を提出―看護職員の処遇改善と看護管理体制の強化を！岩澤　由子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.16-19

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　令和8年度診療報酬改定は、2040年ごろの社会を見すえて国でまとめた「新たな地域医療構想」の考え方に沿うものとなる。2040年に向けては、生産年齢人口の急激な減少、医療と介護の複合ニーズを抱える85歳以上高齢者の増加、地域差のいっそうの拡大が進む。そのため、医療機関等がそれぞれの機能・役割を適切に発揮することで、入院医療から外来・在宅医療、介護との連携を推進し、地域で質の高い医療提供体制を維持することが強く求められる。

日本看護協会　看護研修学校の窓から

クリティカルケア学科の紹介富阪　幸子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.54-54

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クリティカルケア認定看護師の特徴

　救急看護と集中ケアの2つの領域を学習することで、部署や診療科を限定することなく、対象を広く “急性期にある患者” として捉えられるようになります。特定行為研修で医師の思考プロセスを学び、これらの知識・技術を基盤に、認定看護師の強みである指導力と相談力を発揮し、複雑化した看護問題の解決につながる実践を行います。

日本看護協会　都道府県看護協会事業だより

能登半島地震被災者の健康支援に取り組んで小林　千鶴 , 和田　正美 77巻11号 , 2025年8月 , pp.55-55

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　令和6年1月能登半島地震、同年9月奥能登豪雨災害が発生しました。全国の多くの看護職やボランティアの方々からご支援いただき心から感謝申し上げます。

日本看護協会　国際情報のページ

ICN 第2副会長に手島恵教授選出される齋　里美 77巻11号 , 2025年8月 , pp.56-57

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はじめに

　2025年国際看護師協会（ICN）理事選挙において、本会から2期目候補者として擁立していた手島恵氏（東京医療保健大学副学長／看護学研究科長／教授）が2025～2029年の理事として見事、再選出、第2副会長に就任した。日本が所属する選挙区、西太平洋・アジア地域では、今期も定数2人に対して、日本、台湾、中国の3つの看護師協会から理事候補者が擁立されるという激戦であったが、これまでのICN理事としての実績、真摯な選挙運動および精力的なアピールが実を結んだ。

ICN新しい理事体制に手島　恵 77巻11号 , 2025年8月 , pp.58-58

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ICN初の男性会長

　2025年6月13日、ヘルシンキで開催された第30回国際看護師協会（ICN）大会の閉会式において、第30代会長が公表されました。それに先だって開催された会員協会代表者会議（CNR）で投票が行われ、9日にホセ・ルイス・コボス・セラーノ氏が選出されたことが明らかになりました。選挙前のコボス氏との個人的な会話では、「自分は歴史上はじめての男性看護師の会長になる」と話していましたが、会長選出後、いっさいその話はしなくなりました。興味深いことに、日本看護協会も同じ時期、総会で秋山智弥氏が会長に選出され、世界と日本で男性が看護協会長として選出されたのです。これは、看護という職業が男性、女性というジェンダーを超えたプロフェッションになってきていることの証のように考えますが、皆さまはどのようにお考えになりますか。

2025年ICM評議会報告軍地　茉利子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.59-59

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ICMとは

　国際助産師連盟（以下：ICM）は117カ国136の助産師協会が加盟する、100万人以上の世界の助産師を代表する国際組織で、世界の助産師職能団体を支援、強化するために活動している。日本看護協会（以下：本会）は1955年からICMに加盟し、世界の助産関連情報を国内での政策提言などに活用したり、日本の助産・助産師の国際的なプレゼンス向上のための活動を行っている。

【連載】映画と、生きるということ（21）

心の機微をユーモラスに描く　『アパートの鍵貸します』宇梶　智子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.74-75

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　舞台は1950年代のニューヨーク。主人公は大手保険会社に勤める独身で平社員の〈バクスター〉。彼の自宅アパートの鍵は、社内の課長たちとバクスターの間で忙しなく行き来しています。なぜなら、課長たちが浮気相手との密会場所に使用しているから。それと引き換えに、課長たちは人事部長の〈シェルドレイク〉にバクスターの係長昇進を薦めていました。

【連載】看護と経営事例から学ぶマネジメント（18）

［実践編⑫］在院日数短縮・入退院支援加算の算定率向上・新規患者獲得をめざす鳥海　和輝 77巻11号 , 2025年8月 , pp.76-79

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急性期病院の入院が「要介護度悪化」につながることも

　前号で、DPC病院では、入院患者を期間Ⅱまでに退院させることが病院経営にとっても、患者のADL・QOLなどの点からも非常に重要であること、さらに期間Ⅱまでの退院に向けて、後方病院や介護施設などとの連携を進める必要があることを確認しました。今回は、このうちの「急性期病院から回復期病院などへの早期転院」に焦点を当てて、その重要性を考えてみます。

【連載】能登半島の災害から学ぶべきこと（4）

能登半島地震の災害関連死① 上田　耕蔵 77巻11号 , 2025年8月 , pp.80-83

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　災害関連死は災害ごとに違う様相を見せます。能登半島地震の特徴は、①後期高齢者比率増：福祉施設支援の課題、②地理的問題：自衛隊空白地、③医療職員不足：災害拠点病院の機能低下です。さらにマスコミの災害関連死の捉え方に問題を感じました。概念の見直しも必要と思われます。

column　能登半島地震を振り返って被災下でも守り続けてきたこと閨　利志子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.84-84

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　2024年1月1日、最大震度7を観測した令和6年能登半島地震を経験し、1年半が過ぎようとしています。当時、地域包括ケア病棟の看護師長として、困惑しながらもケアし、これまで大切に守り続けてきたことについてお話ししたいと思います。

column　災害に強い人工透析部をめざして白山　早苗 77巻11号 , 2025年8月 , pp.85-85

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透析機器はすべて停止

　2024年１月１日の能登半島地震当日、人工透析部では看護師9名、臨床工学技士1名が通常通りの透析業務を行っていました。16時10分、自施設が震度6強の揺れに襲われたとき、独歩21名、護送8名の患者が透析中でした。地震の揺れと同時に、透析機器が揺れて停止し、警報音が鳴り響きました。揺れが収まったときには、壁や天井が一部破損し、粉塵で室内は一面真っ白になり、出入口前の天井から水が滝のように流れ出ていました。返血は不可能となり、一斉に緊急離脱（穿刺針を残した状態で回路を外す）を行い、患者を独歩、護送の順で正面玄関まで避難誘導しました。

【連載】People-Centered Care 市民とともに歩むナースたち（9）

「天使の保護者ルカの会」　亡くなった子どものことや気持ちを語り合う場づくり石井　慶子 , 蛭田　明子 , 堀内　成子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.86-89

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　流産・死産・新生児死など、妊娠中や出産直後に子どもを亡くす体験を、ペリネイタル・ロスと呼びます。聖路加国際大学「天使の保護者ルカの会」（以下：ルカの会）は、このような体験を持つ両親への支援を目的として2004年から活動しています^1）。活動のメインである「お話会：天使の保護者ルカの会」（以下：お話会）には、医療者（助産師資格を有する大学教員）と体験者がスタッフとして協働する形で運営にかかわってきました。20年前の開始当初から現在に至るまで、国内でこうした体制をとるペリネイタル・ロスの支援活動は珍しい取り組みです。

【連載】患者の望む在宅医療を実現する退院支援「PASセルフケアセラピィ」の活用（20）

ケア困難患者に対するPASセルフケアセラピィ―⑧適応障害を有する人へのセルフケアの推進宇佐美　しおり 77巻11号 , 2025年8月 , pp.90-93

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適応障害とは

　適応障害は、特定のストレスに対する心理的な反応が通常の範囲を超えてしまうことで生じる精神疾患で、厚生労働省の統計によれば、年々増加傾向にあり、特に働き盛りの20代から40代に多く見られています。職場の環境変化など、さまざまなライフイベントがきっかけとなり、発症要因のストレスは明確に特定できるものの、症状はその人の社会生活に著しい支障を来します。

【連載】医療安全TOPICS（178）

「第15回産科医療補償制度再発防止に関する報告書」より　第3章テーマに沿った分析「子宮収縮薬について」小林　牧子 , 極樂寺　美八子 , 堀田　慶子 77巻11号 , 2025年8月 , pp.94-95

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日本医療機能評価機構産科医療補償制度の再発防止委員会では、複数の事例分析から見えてきた知見を踏まえた再発防止策を提言する「再発防止に関する報告書」を作成・公表しています。今号では、「第15回産科医療補償制度再発防止に関する報告書」の「第3章テーマに沿った分析」の内容を紹介します。

医療行政なるほど塾

電子処方箋の普及に向けて新たな目標示すクラウドベースの電子カルテと一体的に導入「社会保険旬報」編集部 77巻11号 , 2025年8月 , pp.96-97

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厚生労働省の「『医療DX令和ビジョン2030』厚労省推進チーム」は7月1日、電子処方箋の普及に向けた新たな目標と具体策を示しました。患者の医療情報を共有する電子カルテと一体的な導入を進める方針を示し、遅くとも2030年にはすべての医療機関への導入をめざすとしています。

SPECIAL BOOK GUIDE

『令和7年版看護白書―災害時におけるこれからの看護』 77巻11号 , 2025年8月 , pp.38-39

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看護界における〈最新・最重要のデータと情報〉を集約して発信する『看護白書』。令和7年版では、医療法・感染症法改正に伴い、2024年4月より「災害・感染症医療業務従事者」として法制度等に基づく新たな仕組みとなった「災害支援ナース」について解説するとともに、同年に能登地方で発生した災害に対する支援活動を、災害支援ナースや関係機関等の看護職ら自身が振り返り、整理します。

JNA INFORMATION

2025年度日本看護協会が提供する研修 77巻11号 , 2025年8月 , pp.50-53

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2025年度研修分類3　「143．倫理カンファレンスのあり方・進め方」組合せ研修（OD＋RT）について

　日本看護協会では、2024年度から研修の新たな提供方法として、リアルタイム研修（演習）の受講に先立ち講義部分をオンデマンド視聴する “組合せ研修” を企画しています。今年度は、13本を開催予定です。その中の新規企画3本のうち、「倫理カンファレンスのあり方・進め方」について紹介します。

WHO NEWS

看護現場の葛藤が導いた大学院留学―エモリー大学で学んだこと聖路加国際大学WHO看護開発協力センター 77巻11号 , 2025年8月 , pp.60-60

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多様な価値観と実践を学ぶために

　私はSasakawa看護フェロー^★1として、アメリカ南部アトランタにあるエモリー大学ロリンス公衆衛生大学院に留学し、2025年5月に行動社会健康教育学専攻の修士課程を修了した。

厚生行政ウォッチング

《2025.6.16～2025.7.15》株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン Gem Med編集部 77巻11号 , 2025年8月 , pp.98-99

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医療・看護

6月19日➡厚生労働省が「入院・外来医療等の調査・評価分科会」（令和7年度第4回）を開催。かかりつけ医機能のあり方などを議論した。

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目次 77巻11号 , 2025年8月 , pp.8-9

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Information 77巻11号 , 2025年8月 , pp.40-40

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日本訪問看護財団からのお知らせ 77巻11号 , 2025年8月 , pp.100-100

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看護faxご注文票 77巻11号 , 2025年8月 , pp.101-101

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読者faxシート 77巻11号 , 2025年8月 , pp.102-102

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読者プレゼントBOOKS＋ 77巻11号 , 2025年8月 , pp.103-103

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次号予告・編集後記 77巻11号 , 2025年8月 , pp.104-104

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基本情報

日本看護協会機関誌「看護」
77巻11号
(2025年8月発行)

電子版ISSN：2437-0193 印刷版ISSN：0022-8362 日本看護協会出版会

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第4位コンサルテーションのプロセス野末聖香日本看護協会機関誌「看護」 76巻 5号 pp. 88-91 (2024年3月20日) 日本看護協会出版会
第5位扉日本看護協会機関誌「看護」 77巻 15号 pp. 17-17 (2025年11月20日) 日本看護協会出版会
第6位 B課程認定看護師教育の現状と課題の整理山西雅子日本看護協会機関誌「看護」 77巻 15号 pp. 22-28 (2025年11月20日) 日本看護協会出版会
第7位 B課程認定看護師教育の見直しが求められる背景や見直しの経緯と意義木澤晃代日本看護協会機関誌「看護」 77巻 15号 pp. 18-21 (2025年11月20日) 日本看護協会出版会
第8位急性期におけるリハビリテーション・栄養・口腔ケアの重要性と看護職の役割青山寿昭日本看護協会機関誌「看護」 77巻 5号 pp. 52-56 (2025年3月20日) 日本看護協会出版会
第9位東京大学ナーシングデータサイエンス（NDS）講座開設早尾弘子日本看護協会機関誌「看護」 77巻 5号 pp. 15-17 (2025年3月20日) 日本看護協会出版会
第10位医療チームにおける心理的安全性辰巳陽一日本看護協会機関誌「看護」 75巻 2号 pp. 64-69 (2023年1月20日) 日本看護協会出版会