臨牀透析 33巻7号 (2017年6月)

透析患者の侵襲性治療

本扉

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序説 大平 整爾
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本号でいう「侵襲性治療」とは,従来からのいわゆる「手術」に加えて,各種のカテーテルを用いたたとえば経皮的血管拡張術(PTA)などの手技を含めて総称するものである.往時を知る者にとって医療の進歩はある意味でめざましく時に隔世の感を抱くが,腎不全患者に対する侵襲性治療も然りであり,過去には控えられてきた高い難易度でハイリスクの施術が試みられて一定の成績をあげている.しかし,そうはいっても腎不全患者への侵襲性治療には,未だ乗り越えられていないさまざまな障害が横たわっていることも事実である.「侵襲度」の高い治療法として従来から狭義の手術が取り上げられてきたが,今回は化学療法とESD も取り上げることとした.侵襲度に高低はあるにせよ,両者は時ならず手術に替わって採用されることのある療法であり,治療選択に際して十二分な配慮を要するからである.本増刊号では,腎不全外科の現況を概観しつつ,将来展望を試みるものである.

目次

第Ⅰ部 総論 扉

1.腎不全外科の特徴 大平 整爾
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血液透析にバスキュラーアクセスの作製,腹膜透析に腹膜カテーテルの留置は治療上必須であり,その後にはそれらの管理修復がきわめて重要となる.

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創傷は,外力により皮膚をはじめ組織の連続性が破綻した状態と定義され,その治癒機転の違いにより一次または二次治癒として閉鎖していく.

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腎不全患者は出血傾向を有することを十分に認識し,外科医にもそのことを理解してもらうよう努める.

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透析患者の外科手術は比較的安全に施行できるようになった(待機手術では).

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栄養投与量は,総エネルギー,たんぱく質,脂肪,糖の順で決定する.

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麻酔科医が行う「バランス麻酔」を中心に述べる.麻酔薬の進歩により,透析患者に対する麻酔は健常人とほぼ同様に行うことができるようになってきた.

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透析患者では腎排泄型薬物の排泄が遅延するため適切な減量が必要であるが,分布容積は変化しないので初回投与量は減量しない.

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透析患者の腹部緊急手術の死亡率は高い.

【コラム】ICU症候群 大平 整爾
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ICU は,重篤な症状の病気や緊急を要する外傷の治療のときなど命の危機に瀕しているときに治療を行う特別な医療環境である.種々の救命用の器材と救急医療経験を積んだ人材が配備されており,あらゆる重篤な患者に対応できるように考慮されている.ICU は,現代医療各領域の成績を向上していったことに大きな功績があった.受術者の多くは,受けようとしている手術や処置などに対して,人によって大小の差違はあるにせよ,種々の不安と恐怖とを心に抱いている.手術関係者は術前から当該患者の身体的な状態だけではなく,精神のあり様(動揺)に配慮する必要がある.

第Ⅱ部 各論 扉

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肺癌の治療は組織型と病期によって外科治療,放射線治療,化学療法を組み合わせて行い,非小細胞癌と小細胞癌で治療が異なる.

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血液透析乳癌患者に対する手術は基本的に安全に施行可である.

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透析患者の消化器系腫瘍の発症頻度は高い.

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透析患者の胃癌では疾患特異的生存率は非透析患者と差がないものの,他病死が非常に多く,根治性と安全性のバランスを考えた術式を選ぶべきである.

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透析患者の消化管手術は非透析患者と比してハイリスクであると考えられるが,適切な周術期管理により多くの手術が安全に施行可能となっている.

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被囊性腹膜硬化症は腹膜透析(PD)療法の最終合併症であり,これを克服することが長期PD 療法にとっての課題である.

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透析患者における急性腹症では,健常者と異なる特異的疾患を念頭に置く必要がある.

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透析患者の鼠径ヘルニア発症要因は,透析導入の高齢化,るい痩,栄養状態不良による組織脆弱化,腹膜透析による腹腔内圧上昇である.

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腹膜透析離脱の原因に,カテーテル関連合併症は重要な因子の一つであり,良好なPD の継続を妨げるものである.

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透析アミロイド症の主要症状は骨関節症状である.

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重症下肢虚血の患者の下肢血流を評価せずに安易に趾先でも切開や切断することは,創傷の拡大を招くことがあるため,注意を要する.

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透析患者に対する整形外科的手術は合併症などのリスクが高く,内科との連携が不可欠である.

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末梢動脈疾患(PAD)では,跛行肢なのか重症虚血肢なのかを判断することが必須である.

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透析患者の心疾患のほとんどは,全身動脈硬化の一部分症状と捉える必要がある.

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透析患者では,電解質異常,体液量の変化,透析時の血行動態の変化より不整脈が出現しやすい.

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バスキュラーアクセス(VA)病変の血管内治療(PTA)では,3 カ月以内に繰り返すPTA は保険償還が不能であることから,「長期血流維持」のPTA が要求されるようになった.

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長期使用を目的とした留置カテーテルの割合は,高齢者,長期透析患者,合併症を有する患者の割合の上昇に伴い,増加しつつある.

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透析患者への外科的侵襲は,易感染性,易出血性,創傷治癒遅延など末期腎不全に関わるリスクが伴う.

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腎移植は,高齢レシピエントが増えており,術前検査で潜在的感染症,虚血性心疾患を含む心機能評価を入念に行う必要がある.

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常染色体優性多発性囊胞腎(ADPKD)はもっとも頻度の高い遺伝性腎疾患で,腎不全の進行とともに著明な腎腫大を呈する.

7.眼科領域 長谷川 亜里 , 加賀 達志
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白内障手術は,より高い視機能を期待できる付加価値眼内レンズの開発など,技術が進歩している.

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鼻出血・慢性副鼻腔炎における観血的治療の概要と,血液透析患者における注意点を説明した.

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原発性副甲状腺機能亢進症に対する術式は,侵襲性の小さいfocused parathyroidectomyが広く普及している.

10.産婦人科領域 橋本 和法
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透析中妊娠の周産期予後は飛躍的に改善していると考えられるが,産科合併症は依然として高率に認められる.

11.脳神経外科領域 岡本 右滋
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脳内出血に関しては,血腫が増大する傾向が強く,手術時も止血に難渋することが多い.再出血の頻度も高く,術後の脳浮腫に対する点滴治療が制限される.

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透析患者の場合,腎排泄性の抗癌薬はもちろん,肝代謝性の抗癌薬であっても配慮が必要な場合がある.

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侵襲的な治療では,身体に管を留置したり傷跡が残ったりする.透析患者は通常の透析治療に加えてさらに身体的な負担・影響が大きく,同時に精神的な負担も大きくのしかかる.「ただでさえ,透析を受けるのが辛いのにこのうえ,さらに痛みや苦痛を伴うなら,もう死んだほうがましだ」などと口にする患者もいる.また,その家族からも「見ているのが辛い.これ以上,痛い思いはさせたくない」と訴えられることもある.患者だけでなく,その家族にとっても,侵襲的な治療を受けることの精神的苦痛は計り知れないほど大きい.

和文索引

奥付

基本情報

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臨牀透析
33巻7号 (2017年6月)
電子版ISSN:2433-247X 印刷版ISSN:0910-5808 日本メディカルセンター

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