臨牀透析 33巻3号 (2017年3月発行)

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透析医療に携わる看護職の人材育成とチーム創り

看護基礎教育の今後の展望斉藤　しのぶ 33巻3号 , 2017年3月 , pp.227-234

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看護系人材養成は,平成4年(1992年)制定の｢看護師等の人材確保の促進に関する法律｣により数的には安定した供給がはかられるようになり,平成28年(2016年)現在,看護系人材養成を行う学校･養成所の入学定員は6万5,000人を超える数となった.しかし離職者数,潜在看護師数は約87万人にものぼり,看護基礎教育課程において辞めない人材,生涯学習し続ける姿勢の獲得が課題の一つとなっているといえる.また,介護･医療費等社会保障の急増が懸念される2025年に向けて,今後看護系人材は地域包括ケアシステムのなかで看護の視点に立って役割を発揮する人材を養成することも課題となっている.これら課題を踏まえ,今後,看護系人材養成のあり方について検討が必要な段階にきている.

看護における継続教育の方向性江田　柳子 33巻3号 , 2017年3月 , pp.235-243

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日本看護協会の発表した｢継続教育の基準ver.2｣は専門職である看護職が,個々に能力を開発,維持･向上し,自らキャリアを形成するための指針である.また,個々のキャリア形成を支援する組織にとっては,看護職が一定水準以上の継続教育を受けられるよう,組織の教育提供体制および教育内容を充実するための指針である.｢継続教育の基準ver.2｣では,｢継続教育における今日的課題｣や｢継続教育の基準作成上の基本的考え方｣に関する項目を加えている.本稿では,対象別にみた継続教育の実際と今日的課題として,日本看護協会の動きを踏まえ,福岡県看護協会における継続教育の実際を紹介する.

慢性腎臓病(CKD)看護における継続教育の意義内田　明子 33巻3号 , 2017年3月 , pp.245-252

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看護者が看護の責任を果たすためには,自己の能力の維持･開発のための継続学習が求められている.透析看護分野においては,速い変化に適切に対応し合併症を防ぎ長期生存を実現するための知識･技術が必要であり,また慢性腎臓病(CKD)患者の看護には,ハードな治療的セルフケアを支援するため患者の身体的･精神的･社会的･スピリチュアルな側面に関わる知識･技術･感性が求められている.CKD看護者は,臨床看護の実践の経験や学会が開催する研修会,自己の生活体験など多くの場面を主体的継続教育の場として認識すべきである.日本腎不全看護学会は継続教育を提供する役割の実践によって,CKD看護の質の向上に寄与したいと考えている.

日本腎不全看護学会の教育の取り組み大坪　みはる , 三村　洋美 33巻3号 , 2017年3月 , pp.253-261

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当学会の発足して以来,教育事業として｢腎不全看護に関する理論及び応用の研究,調査を行い,それについての発表,知識･情報の提供や交換により腎不全看護に関する向上を図り,もって人々の健康と福祉に貢献するとともに世界における学術の発展に寄与する｣という目的を具現化すべく取り組みを行っている.大きな目標としてはわが国の｢腎不全看護の質向上｣を掲げて教育研修を行っている.本稿では,教育委員会の教育事業の変遷と近年の教育プログラムについて解説し,今後の展望について論じる.

医師が看護師の人材育成に望むこと　必要な知識、技術、資質を自ら探り、習得する能力の獲得小松　康宏 33巻3号 , 2017年3月 , pp.262

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透析看護における人材育成プログラムのあり方下山　節子 33巻3号 , 2017年3月 , pp.263-270

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公益社団法人日本看護協会は,法律改正に伴い2012年に｢継続教育の基準ver.2｣を発表した.基準ver.2は,継続教育の概要や人材育成プログラムのあり方を示した.透析医療を取り巻くニーズは多様化しており,透析現場の看護師の人材育成も重要課題である.透析看護における人材育成プログラムのあり方としては,透析看護の特徴や看護職の背景を踏まえた教育方法や学習内容などの工夫が必要である.また,日本腎不全看護学会や日本看護協会などが主催している継続教育を活用した人材育成にも積極的に取り組むことが求められている.さらに透析看護の質向上をはかるためには,透析療法指導看護師(DLN)や看護管理者の育成が課題となる.

実践報告　透析現場の新人看護職員をどう育成するか萩原　千鶴子 33巻3号 , 2017年3月 , pp.271-278

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新人看護職員研修が努力義務化されたことに伴い,施設の規模や機能にかかわらずすべての施設に新人看護職員に必要な研修制度を整備することが求められるようになった.当法人でも｢新人看護職員研修ガイドライン｣を参考に新卒看護師に対応できるよう,従来の教育プログラムや研修体制などの見直しを行った.こうした研修整備の取り組みは,｢みんなで新人の成長を支援する｣組織文化の醸成につながった.当法人の取り組みをまとめた.

実践報告　透析現場の中堅看護職員をどう育成するか　クリニカルラダーを活用した中堅看護師育成宮本　紀子 33巻3号 , 2017年3月 , pp.279-285

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昨今,看護の領域において認定や専門制度が取り入れられている.これらの制度により,特定の看護分野における熟練した技術と知識を用いた高い水準の看護実践を行い,看護の質向上を目指す人材育成が進んでいる.透析分野も2005年より認定制度がスタートしたが,取得者はまだ少なく臨床現場で実践能力を高める人材育成は欠かせない.中堅看護師は,看護提供の中核的存在であり認定看護師同様に,看護の質向上や職場環境に大きな影響を与える存在である.臨床における中堅看護師育成にはその特性を理解し,支援体制を構築する必要がある.自施設の透析室中堅看護師がやりがいを感じ,創造性と自主性を発揮し改善や改革に取り組む支援体制について報告する.

栄養士からみた透析看護師への期待　患者さんに向けて語りかけてほしいこと市川　和子 33巻3号 , 2017年3月 , pp.286-287

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臨床工学技士が看護師の人材育成に望むこと山下　芳久 33巻3号 , 2017年3月 , pp.288

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実践報告　透析現場の中途採用看護職員をどう育成するか田原　恒 33巻3号 , 2017年3月 , pp.289-297

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中途採用者の教育では,教育スケジュールを基本としながらも,各個人に合わせてフレキシブルな調整が必要である.そして,指導する側はマニュアルに沿った一貫した指導を多職種で行うことが重要である.管理者の役割としては,部署のビジョンを明確にして伝えることである.また,定期的な面接を行うなどの振り返りが必要となる.

専門医の｢360度評価｣について西　慎一 33巻3号 , 2017年3月 , pp.299-300

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実践報告　透析現場の看護管理者をどう育成するか　中小規模透析専門病院における看護管理者教育の実際丸山　祐子 , 舩越　哲 33巻3号 , 2017年3月 , pp.301-307

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本邦の透析医療は80%以上を中小規模透析施設で担っているが,これら中小規模施設においては看護管理者教育のシステムの構築を行う余裕がないのが現実である.そこで当院では,看護管理者教育のうち理論や概論の習得には院外研修を活用し,院内ではチーム医療の実践やプロジェクトリーダーを担うことでマネジメントスキル向上につなげている.既存の院外研修会や院内のプロジェクトを意図的に活用し,学ぶ機会を作ることが次世代の管理者を育成する現管理者の責任であると考える.また,透析専門施設の特性を踏まえた教育の視点と工夫が求められ,これは管理者が鍛錬し蓄積した技術･知識･話術によりスタッフや患者の信頼を得ることが基本になると思われる.

症例による透析患者の画像診断　難治性腹水で発症した腹膜透析歴1年3ヵ月の被嚢性腹膜硬化症の1例巽　亮子 , 角田　隆俊 33巻3号 , 2017年3月 , pp.309-313

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症例は63歳男性で、右無機能腎および腎硬化症による慢性腎臓病に対して59歳時に腹膜透析(PD)を導入した。60歳時、遷延する微熱と血圧低下を認め、尿毒症性心膜炎と診断した。PDのみでは十分な物質交換が得られないと判断し、血液透析へ移行した。血液透析への移行後から慢性的な腹水貯留を認めた。63歳時、腹痛を主訴に受診した。多量の腹水貯留に対して穿刺ドレナージを行い、腹痛は改善した。ドレナージにより一時的に腹水は減少するも再び増加し、腹水貯留を繰り返した。難治性腹水に対し、腹水排出と腹腔内洗浄を目的にPDカテーテルを挿入した。1日1回の腹腔内洗浄と腹水の排出を継続し、腹部症状なく状態は安定して経過した。第32病日に右季肋部痛、第33病日に暗赤色の血便、さらに翌日から持続する嘔気嘔吐を認めた。腹部CTにて被嚢性腹膜硬化症(EPS)を強く疑った。対症療法により症状が軽快した。第51病日、突然の強い腹痛を訴えショック状態となった。急性汎発性腹膜炎として緊急開腹術を行い、EPSとして矛盾しない所見であった。根治的治療に至らず、第56病日に死亡した。

重度の左心機能低下と改善を繰り返した1例中島　豊 , 加藤　亜唯 , 小向　大輔 , 柴田　真希 , 宇田　晋 33巻3号 , 2017年3月 , pp.314-320

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人生最終段階における医療への患者の希望表明　望ましい命の終焉を迎えるために大平　整爾 33巻3号 , 2017年3月 , pp.321-323

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基本情報

臨牀透析
33巻3号
(2017年3月発行)

電子版ISSN：2433-247X 印刷版ISSN：0910-5808 日本メディカルセンター

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