発行日 2017年3月10日
Published Date 2017/3/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2017168276
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症例は63歳男性で、右無機能腎および腎硬化症による慢性腎臓病に対して59歳時に腹膜透析(PD)を導入した。60歳時、遷延する微熱と血圧低下を認め、尿毒症性心膜炎と診断した。PDのみでは十分な物質交換が得られないと判断し、血液透析へ移行した。血液透析への移行後から慢性的な腹水貯留を認めた。63歳時、腹痛を主訴に受診した。多量の腹水貯留に対して穿刺ドレナージを行い、腹痛は改善した。ドレナージにより一時的に腹水は減少するも再び増加し、腹水貯留を繰り返した。難治性腹水に対し、腹水排出と腹腔内洗浄を目的にPDカテーテルを挿入した。1日1回の腹腔内洗浄と腹水の排出を継続し、腹部症状なく状態は安定して経過した。第32病日に右季肋部痛、第33病日に暗赤色の血便、さらに翌日から持続する嘔気嘔吐を認めた。腹部CTにて被嚢性腹膜硬化症(EPS)を強く疑った。対症療法により症状が軽快した。第51病日、突然の強い腹痛を訴えショック状態となった。急性汎発性腹膜炎として緊急開腹術を行い、EPSとして矛盾しない所見であった。根治的治療に至らず、第56病日に死亡した。
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