胸部外科 74巻5号 (2021年5月)

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当科では,上行大動脈にエントリーを認めないStanford A型急性大動脈解離には全弓部大動脈置換術を施行する方針である.2019年4月から従来のelephant trunk(ET)法からFrozenix(日本ライフライン社,東京)を用いたfrozen elephant trunk(FET)法に変更した.本稿では,ET法とFET法の手術成績を比較・検討した.

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異時性肺癌に対する外科治療の良好な成績から,耐術可能であれば外科治療が推奨されており1),また,肺癌再発に対する再生検を目的とした肺切除も積極的に施行されている.一方,このような症例で肺切除の結果,非悪性疾患と診断されることもしばしばである.われわれは,原発性肺癌術後の新規孤立病変に対して肺切除を行い,非悪性疾患であった症例について,文献的考察を加えて報告する.

まい・てくにっく

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肺門部腫瘍または術中血管損傷により,心囊内で肺動静脈の確保が必要な場合の手技である.左肺動脈は右肺動脈と比べ距離が短いため,血管長軸方向への十分な視野展開がポイントである.確実な確保のためのポイントは,Botallo靱帯とMarshall’s foldの2点である1).

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人工血管非吻合部仮性瘤は,まれではあるが遠隔期の合併症として散見される.われわれは,真性弓部大動脈瘤に対する弓部大動脈人工血管置換術後に生じた,胸骨侵食を伴う人工血管分枝の非吻合部仮性瘤に対し,血管内治療を施行して良好な結果を得たので,文献的考察を加えて報告する.

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近年,画像診断技術の向上やCT検診の普及に伴い,小型の肺腫瘍に対する縮小手術が増加しているが,その際に複合亜区域切除を考慮すべきこともしばしばである.われわれは,右下葉の小型肺癌に対してS6b,S8a,S9aの3亜区域による複合亜区域切除を完全鏡視下に施行した1例を経験したので報告する.

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悪性胸膜中皮腫は比較的まれな疾患であるが,近年増加傾向にある1).一方,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は腫瘍細胞から産生されることがあり,G-CSF産生腫瘍として肺癌症例での報告が散見される2).われわれは,白血球増多を示し血清G-CSFが高値であった悪性胸膜中皮腫の1例を経験したので,報告する.

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筆者が師事した三井清文先生は筑波大学呼吸器外科の初代チーフであり,後進教育に熱心で,診療・研究ではアイディアに溢れていた.この術式は三井先生の提唱によるものである.

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はじめに 肺切除後は呼吸機能が低下し,開心術を行った場合は人工心肺の影響による肺へのダメージが加わり,人工心肺や人工呼吸器からの離脱が困難になる可能性がある.また肺切除を施行した側に縦隔が偏位するため,心臓および大動脈が通常とは異なる位置となり,さらに肺切除後の死腔に代替内容物が充満することで,視野確保に工夫を要することが多い.われわれは,右肺全摘出後の僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対し,右開胸による僧帽弁形成術を行い,良好な結果を得たので報告する.

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はじめに 心臓手術後にたこつぼ心筋症(TC)を発症することはまれである.われわれは,僧帽弁置換術後急性期にTCが強く疑われた症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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はじめに 高齢者に対する心臓血管外科手術はフレイリティや複数の慢性疾患をもつことを考慮し,可能な限り低侵襲で行う(低侵襲心臓手術:MICS)必要がある.われわれは,大動脈弁閉鎖不全症(AR)による重度心不全のためdobutamine(DOB)投与中の高齢者に対し,胸骨上半切開(UHS)で大動脈弁置換術(AVR)を施行し,良好な結果を得たので報告する.

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はじめに 心臓血管腫は心臓腫瘍全体の約3%を占める良性腫瘍であるが,失神や突然死などの症例が報告がされている1).われわれは,腫瘍からの出血で心タンポナーデを発症し,緊急手術となったまれな症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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はじめに 近年ペースメーカ(PM)感染の発生はまれであるが,感染した場合にはリードの処理が問題となる.われわれは心外膜へ植え込んだPM感染に対し,PM本体の摘出およびリード切断による一部摘除を行ったが,残存リードの感染が持続し,結果的にリードの全抜去を余儀なくされた1例を経験したので報告する.

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はじめに 大動脈弁輪拡張症(AAE)に対する自己弁温存大動脈基部置換術(VSRR)は現在,確立された手技といえる.VSRRの手技の一つであるreimplantation法はDavidらにより報告され,当初はストレート人工血管を用いて行われた1).ストレート人工血管を使用したreimplantation法は,20年にわたる優れた長期成績が報告されている2).その後,De PaulisらがGelweave Valsalva(Terumo社,東京)を使用したreimplantation法を報告し,新しく設計された人工血管はValsalva洞の膨らみを容易に作り出すことができたため,多くの施設に普及した3).しかしながらGelweave ValsalvaはValsalva洞の自然なかたちを完全に模倣するものではなく,圧がかかると球状にふくらみ,また心室-大動脈接合部に対して垂直な交連部を欠く形態となっている.Gelweave Valsalvaを使用したreimplantation法も良好な成績が報告されているものの4),人工血管の交連部での拡大は逆流の再発を引き起こす可能性があることが報告されている5).J Graft Shield Neo(Japan Lifeline社,東京)は,内層および外層の二つの層を有する平織りダクロン製人工血管である.J Graft Shield Neo Valsalva(J-G Valsalva)は,Gelweave Valsalvaと同様に,縦方向の折り目をつくりValsalva洞の膨らんだ部分を形成している.Gelweave Valsalvaとの違いは,疑似Valsalva洞の縦ヒダがない直線部分にある(図1).再建された新しいValsalva洞がどのようなかたちをとるべきかはいまだ議論の対象であるが,J-G Valsalvaは,疑似Valsalva洞に直線部分を有し,そこへ本来の交連部を固定することができる.結果として,不完全ではあるものの,圧がかかった場合に本来のValsalva洞に近似した形態となる.われわれは,この新しい特徴を有するJ-G Valsalvaを用いたVSRRを経験したので報告する.

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はじめに 瘤化を伴わない大動脈内血栓は比較的まれな疾患であり,末梢塞栓症の原因として重要である.われわれは,右上肢急性動脈閉塞症を契機に発見された上行弓部大動脈内巨大血栓に対してisolation法を用いた弓部大動脈置換術を行い,良好な結果を得たため報告する.

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はじめに 瘤化のない胸部大動脈に血栓を生じることはまれである1).生じた血栓は脳梗塞や心筋梗塞,腸管梗塞などの塞栓症の原因となり,時には致死的になることがある.大動脈血栓症を生じる原因にはさまざまあるが,担癌患者や化学療法後に生じることが報告されている.われわれは,食道癌術前化学療法中に上行大動脈血栓症を認め,手術により合併症なく摘除でき,良好な結果を得ることができたので報告する.

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はじめに 急性大動脈解離において,臓器灌流障害は急性期死亡や合併症の主たる原因となる.腸管虚血では,早期の診断および血行再建が重要である.われわれは,腹部臓器灌流障害を合併したStanford A型急性大動脈解離に対し,central repairに先行して上腸間膜動脈(SMA)バイパス術を行い,救命した1例を経験したので報告する.

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はじめに Valsalva洞動脈瘤破裂は,左右シャントによる心不全のため早急に手術となることが多い.病型や合併疾患により治療法は異なるが,破裂部の修復は直接閉鎖や破裂側でのパッチ閉鎖が主体である1).われわれは右Valsalva洞から右室へ破裂したValsalva洞動脈瘤に対して,二重パッチ閉鎖を行い,良好な結果を得た症例を経験したので報告する.

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はじめに 外傷性肋骨骨折では保存的治療が行われることが多く,外科的治療を要することは少ない.われわれは骨片が胸腔内に鋭角に突出していた外傷性肋骨骨折に対して,肺損傷予防のために骨片を摘除した症例を経験したので,報告する.

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はじめに 悪性疾患を既往に有する患者の胸部CT上で孤発性肺結節を認めた場合,転移性肺腫瘍の可能性を考える必要がある.また,その画像所見が境界明瞭な円形結節で経時的に増大を認めた場合は,転移性肺腫瘍をより強く疑う.われわれは,悪性黒色腫術後3年目に孤発性肺結節を認め,外科的切除を施行したところ,特発性肺内血腫の診断にいたった症例を経験した.一般に肺内血腫の多くは胸部外傷後にみられるが,特定の誘因を欠く特発性肺内血腫は非常にまれであり,報告する.

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医師になってからもう何年経ったのだろう?

胸部外科医の散歩道

弓道のはなし 杉尾 賢二
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私が弓道を始めたのは大学に入ってからだが,性に合っていたのか,順調に四段まで昇段し,多くの試合に出場して個人的にも多くの栄冠を得た.卒業後は,母校である九州大学医学部弓道部のOB会長を長年務めた.2012年に大分大学に赴任後,医学部弓道部の顧問となり,現在に至っている.

基本情報

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胸部外科
74巻5号 (2021年5月)
電子版ISSN:2432-9436 印刷版ISSN:0021-5252 南江堂

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