胸部外科 71巻1号 (2018年1月)

特集 進化した大動脈基部置換術

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1968年にBentallとDe BonoがBentall手術を報告して以来,大動脈基部置換手術は大きく進歩を遂げてきた.Bentall原法のアキレス腱であった遠隔期冠状動脈再建部瘤化を解決するためのCarell patch法やgraft interposeの手法(Cabrol法,Piehler法),異種大動脈基部による置換術,自己肺動脈弁による基部置換(Ross手術),特に組織破壊性の高度な基部

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大動脈基部再建術は,1968年にBentallとDe Bonoが,valved composite graftを作成しはじめて大動脈基部置換を行い1),その後,現在にいたるまで広く普及した手術術式である.問題点として,冠状動脈再建部からの出血や仮性動脈瘤があったが,modified Bentall法が行われるなど出血に対するいろいろな工夫が行われ,現在の安定した良好な手術成績が得られるようになった

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大動脈基部置換術は,従来コンポジットグラフトによるBentall手術が標準術式であったが,最近では自己弁温存手術が大動脈弁輪拡張症(AAE)/大動脈弁閉鎖不全症(AR)のみならず,急性大動脈解離の緊急手術にまで適応を拡大している.これまで当科では,手術手技の標準化による自己弁温存手術の再現性確立をめざしてきた1).本稿では,われわれの自己弁温存手術症例の手術成績と基部geometry解析によるAR

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大動脈基部置換術において,Bentall手術が手術成績や遠隔成績においてもっとも信頼しうる術式であることは論をまたない.しかし,人工弁にまつわる合併症を回避すべく,近年は若年者の大動脈基部病変を中心に自己弁温存の基部再建術が行われてきている.さらに以前であれば温存できなかった,弁変性のある症例に対しても各種弁形成術を併用し良好な結果が報告されてきている.当科においても術前の大動脈弁の形態や年齢を考

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大動脈基部拡大に対する自己弁温存基部置換術は,良好な長期成績が報告されており,有効な治療法として適応拡大がなされている1).大動脈弁に内在する問題があり,手術適応となる大動脈弁逆流(AR)がある場合に,併存する軽度~中等度のValsalva洞拡大に対して,弁形成に加えて大動脈基部を置換することは有用と思われる.僧帽弁形成術と同様の,弁輪縫縮による接合面積の増加が期待できるからである.しかし,僧帽弁

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上行大動脈に解離が及ぶStanford A型急性大動脈解離(AAD)はきわめて予後不良で,症状の発現から1時間あたり1~2%の致死率があると報告されている1).発症直後から経時的な変化を起こし,広範囲な血管に病変が進展するため心タンポナーデ・心筋梗塞・脳虚血・対麻痺・下肢虚血などの種々の病態を示すことが多い.大動脈基部への解離進展もしばしば見受けられ,基部再建術を行うことも増えてきている.基部再建

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大動脈弁輪拡張症に対する人工弁付きグラフトによるBentall手術は,1968年にBentallらにより確立された手術術式で,人工弁と人工血管をあらかじめ縫合したコンポジットグラフトにより基部置換術を行うものである1).その後,Cabrol法2),Pieler法3),Button法(Carrel patch法4,5))などの冠状動脈再建法が発表され,遠隔成績も向上し,現在もっとも普及し標準化された

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同種心臓弁・血管を用いた大動脈置換術は,歴史的には人工弁や人工血管が開発される前の1950年台まで遡る1)が,希少性と長期保存が困難であったため当時の使用は限定的であった.欧米では1975年にO’Brienらにより凍結保存技術が開発され,凍結保存同種心臓弁(以下,ホモグラフト)の利点を維持した状態で長期保存が可能となり,一般的な治療法として行われるようになった2).弁置換術全体の約2%にホモグラフ

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大動脈弁形成術はこの20年間で発展を遂げてきた.その中心となるテクニックは自己弁温存基部置換術であり,一つがremodeling法1),もう一つがreimplantation法2)である.基部拡大とそれに伴う大動脈弁逆流(AR)に対して,reimplantation法と弁尖の形成術,あるいはremodeling法とsutureまたはbandによるannuloplastyが報告されている3~5).し

まい・てくにっく

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適応は限られる.当科では,中皮腫の手術,胸郭形成の際の肋骨切除と肋間筋弁を気管支断端に被覆する肺切除術症例の一部のみである.当該肋骨は完全切除している.年間数例程度の手術手技であるが,しっかりと覚えておき,効率的かつ短時間で遂行する必要がある.

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家族性高コレステロール症ホモ型の若年女性に対する胸腹部人工血管置換術である.家族性高コレステロール症はもっとも頻度の高い遺伝性疾患とされるが,そのほとんどがヘテロ型であり,ホモ型はきわめてまれとされている.

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手術支援ロボット[da Vinci Surgical System(DVSS):Intuitive Surgical社,Sunnyvale]の最大の利点は,三次元視野下に関節を有する自由度の高い鉗子を用いて巧みな手術操作ができるところであり,従来の内視鏡手術の欠点を補う新たな低侵襲手術として呼吸器外科分野でも普及してきている1,2).本邦では厚生労働省の薬事審議会が2009年11月にda Vinc

連載 胸部外科発展の軌跡―パイオニアの原著と足跡を綴る (第25回)

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補助循環の基本は心不全の負荷を軽減し,供給エネルギーを増加させて心臓機能の回復を図るものである.その機械的手段として人工心肺の活用に基づく体外循環法のextracorporeal membrane oxygenation(ECMO),大動脈に挿入したバルーン付きカテーテルによる大動脈内バルーンパンピング(IABP)が注目され,さらに特異な外科手術として拡張左室の収縮能を改善する左室形成術が検討され

連載 行ってきました! 海外留学 (第40回)

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筆者は東京大学卒業後に同大学呼吸器外科に入局し,同大学院を卒業して呼吸器外科専門医取得後の卒後12年目に同教室の中島淳教授のご支援をいただき,2014年3月から3年間,米国マサチューセッツ総合病院(MGH)外科で研究留学の機会を得た.

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α-fetoprotein(AFP)は肝細胞癌や胚細胞性腫瘍,一部の消化管悪性腫瘍で高値を示す.Carcinoembryonic antigen(CEA)は腺細胞を含む臓器の悪性腫瘍や長期の喫煙で高値を示す.われわれは術前よりAFP,CEA高値を認め,他悪性腫瘍を認めず肺腫瘍切除によりAFP,CEA値の改善,良好な経過を得た肺原発肝様腺癌の1切除例を経験したので報告する.

胸部外科医の散歩道

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現在,日本では数多くの学会,研究会が開催されている.日本外科学会,日本胸部外科学会,日本循環器学会,日本脈管学会,日本成人病(生活習慣病)学会,日本整形外科学会,日本リウマチ学会,日本骨折治療学会など,また日本内科学会,日本内分泌学会などの多数の臨床系の学会もあれば,日本解剖学会,日本生理学会,日本薬理学会,日本病理学会,日本生化学会などの基礎的部門での学会も多数あり,本当に複雑に交差しているので

基本情報

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胸部外科
71巻1号 (2018年1月)
電子版ISSN:2432-9436 印刷版ISSN:0021-5252 南江堂

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