画像診断 40巻12号 (2020年9月発行)

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特集　Value based medicine時代の心血管画像診断

序説高瀬　圭 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1161-1161

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超高齢社会の到来と，それに伴う医療経済の変化に直面している現在において，持続可能で国民の幸福に効率的に寄与する医療体制の構築が求められている．レベルの高い医療を提供しながらも，無駄を省き，コストを減らし，医療の効果が経済的視点からも妥当で納得できるように，医療行為を評価し直す必要に迫られている．

超高齢社会における医療と循環器画像診断植田　琢也 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1162-1166

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わが国では，2016年に高齢化率が27.3％となり，超高齢社会を迎えた．疾患構造や経済的基盤などの社会構造が大きく変化する中，医療方針の転換に迫られている．我々画像診断医も，高齢者医療では医療全体から循環器医療をとらえる必要がある．

ISCHEMIA 試験の衝撃と虚血診断－不要不急のカテーテル治療と，心臓カテーテル医が語りたがらない不都合な現実－岩田　曜 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1167-1174

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ISCHEMIA試験の主旨を理解するため，いくつかの重要な臨床試験の流れを踏まえて安定冠動脈疾患の考え方を概説する．わが国において不要不急の冠動脈カテーテル治療が数多く行われている問題を抽出し，安定冠動脈疾患の診療のあるべき姿について提議し，ISCHEMIA試験の真の価値について考察する．

Value based medicine時代の心臓CT 真鍋　徳子 , 常田　慧徳 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1175-1182

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冠動脈CT angiography（CCTA）＋心筋負荷パーフュージョンCT（CTP）＋遅延造影撮影を行い，包括的な“冠動脈評価＋虚血評価＋心筋症評価”が可能となることで，より詳細な責任血管同定ができ，医療費削減，診断から治療までの時間短縮が可能となる．

Value based medicine時代の心臓MRI 木藤　雅文 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1183-1193

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心臓MRIは，心臓の形態・機能，心筋組織性状，組織灌流，4D flowなどを一度に検査することが可能であり，心不全・様々な心筋症の診断や予後に関する情報を得ることが可能である．本稿では，心臓MRIの最近の動向や，value based medicine時代における役割について概説する．

Value based medicine時代の心臓核医学木曽　啓祐 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1194-1204

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心臓核医学検査は非侵襲的に機能的虚血を精度高く評価でき，長らく安定冠動脈疾患の治療適応や効果判定に利用されてきた．特に虚血量低減効果が高い症例は予後改善が良好であることが近年報告されており，本法による治療効果判定の重要性が再認識されている．

冠動脈CTの検査法とFFR-CTの基本高木　英誠 , 大田　英揮 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1205-1216

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冠動脈CTに関する撮影や解析の技術は，この10年で急速に進歩し，診断能や予後予測に関するエビデンスが構築された．さらに，数値流体力学をCTに応用し，冠血流予備量比（FFR）を非侵襲的に取得可能になった．このFFR-CTは2018年より保険償還の対象となり，新たな冠動脈診療のツールとして期待されている．

FFR-CTによる心筋虚血評価とPCIの適正化横井　宏佳 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1217-1226

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FFR-CTのエビデンスがわが国の臨床現場に外挿可能であるかを検討するために，当院においてPMDA承認後の2017年9月より保険償還前の2018年12月まで臨床評価を行った．冠動脈疾患が疑われ冠動脈CTを施行した症例で，有意狭窄病変を認めなかった侵襲的冠動脈造影の施行率は，FFR-CT導入前56%から導入後8%へ86％有意に低下した．導入前後の1年間で冠動脈疾患が疑われ冠動脈CTを施行した症例で，FFR-CTは冠動脈CTの25%に施行され，PCI，心臓核医学検査の件数に変化は認めなかったが，冠動脈造影が55%減少し，侵襲的FFR/iFRが35%減少し，PCI症例当たりのステント本数は10%減少した．医療経済的分析では12%の医療費の削減効果を認めた．当院での臨床使用経験から，FFRCTはわが国における慢性冠症候群に対する適正な虚血評価とPCIの適正化に有益であると結論する．

カテーテルによるFFR計測と冠動脈治療松尾　仁司 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1227-1234

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部分冠血流予備量比（FFR），瞬時血流予備量比（iFR）はカテーテル検査室内で用いられている虚血指標である．多くの前向き無作為割り付け試験およびレジストリー研究から，FFR，iFRにて虚血陰性であれば至適薬物療法での治療を選択するのが妥当であり，虚血陽性の病変では血行再建を行うことが，患者の予後改善につながるのみでなく，医療経済的にも優れた方法であることが証明された．

すとらびすむす

“蒙古の怪人”をみて発信力や表現力について考えてみた石神　康生 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1157-1157

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コロナ禍で外出も自粛がちとなり，自宅で漫然と晩酌を続ける習慣がついてしまった．運動不足も加わって，せっかくジム通いで落とした体重も増えてきた．そこで，エアロバイクを購入した．単調な運動は音楽や動画がないと続けにくい．昭和のヒット曲やプロレスを視聴しながら，気持ちだけは少年時代に戻ってペダルをこいでいる．

画像診断と病理

粘液線維肉腫原嶋　十考 , 中川　純一 , 原田　太以佑 , 坂本　圭太 , 工藤　與亮 , 中里　信一 , 清水　亜衣 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1158-1159

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80歳台，男性．右膝外側に腫瘤を自覚，増大傾向を示し，近医受診．皮膚生検では粘液性の排液を認め，確定診断には至らなかったが悪性腫瘍が疑われたため当院紹介受診．MRIで右大腿右腹側の皮下脂肪織内を主座として，53×25×53mm大の比較的境界明瞭，分葉状の腫瘤を認め，腫瘤により外側膝蓋支帯や外側広筋は深部に圧排されていた．T1強調像では大部分が筋と等信号で，一部に淡い高信号を認めた．T2強調像では強い高信号を示し，内部に索状・網状の低信号を伴っていた）．造影MRIでは不均一に造影され，一部はT2強調像での低信号に一致するような索状・網状の造影効果を認めた．粘液腫様基質を有する肉腫が疑われ，腫瘤周囲にはT1強調像で筋と等信号，T2強調像で高信号の筋膜に沿うような線状・網状の領域が広がり，造影MRIで同様の淡い造影効果を認めた．

ここが知りたい！

画像診断2020 年5月号特集「腎・泌尿器の画像診断update」有田　祐起 , 片平　和博 , 竹内　充 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1238-1241

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Q1　T2強調像の推奨空間分解能は0.7×0.4mmとありますが，収集ピクセルサイズでしょうか，再構成ピクセルサイズでしょうか?　先生のご意見とご施設でのパラメータをご教授いただけないでしょうか．

Q2　術後病理と術前MRIをレビューするカンファレンスで，MRIで描出されていない有意癌の症例をたびたび経験します．MRIに基づく狙撃生検だけでは有意癌を逃してしまう可能性があるので，現段階では，系統的生検は必須という理解でよろしいでしょうか?

Q3　VI-RADSでは拡散強調像が優位シーケンスだと思いますが，拡散強調像の病変に対するオブリーク断面は歪んでしまいます．オブリーク拡散強調像はどの程度標準的なのでしょうか?

CASE OF THE MONTH

Case of October 堀　章裕 , 重里　寛 , 大須賀　慶悟 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1243-1243

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症例　60歳台，男性．主訴：特記すべき主訴なし．現病歴：検診の胸部CT検査で，偶発的に指摘された．既往歴：軽度前立腺肥大．初回の単純CTを示す．考えられる診断名は？

解答応募用紙は，https://gakken-mesh.jp/html/pc/pdf/case-web.pdf からダウンロードできます．

The Key to Case of August 佐藤　力 , 東山　央 , 大須賀　慶悟 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1244-1246

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症例　10歳，女児．主訴：右眼瞼下垂．現病歴：生来健康で3歳児検診まで異常はなかった．3歳以降，身長の伸びが悪く，4年程前から右眼瞼が下垂傾向であった．徐々に増悪傾向であり，近医を受診，当院眼科紹介受診となった．既往歴：特記事項なし，初診時血液検査：特記事項なし．

General Radiology診断演習

モザイクと石灰化黒川　遼 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1247-1250

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3年前に胸部不快感を自覚．持続するため精査加療目的に当院を受診．気管支喘息があるため造影剤を使用できず，単純CTを施行した．血算，生化学検査にて特記すべき異常所見はないが，Ca，P，甲状腺ホルモン，副甲状腺ホルモンなどは未計測．あなたの診断は？

Picked-up Knowledge from Foreign Journals

子宮内膜症高濱　潤子 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1252-1254

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子宮内膜症は日常ありふれた疾患であり，わが国では1990年代から病変の把握のためにMRI検査が広く臨床に応用されている．卵巣の内膜症性嚢胞のMRI診断はすでに確立されているが，症状と内膜症性嚢胞の大きさや形態に乖離を認めることが多い．その原因は，癒着や腹膜深部に進展する深部内膜症の存在によるものが大きいと考えられる．・深部内膜症のMRIによる分類：その記載法と手術療法へのインパクト・MRIで認められるkissing ovaryを含む卵巣の位置と術中内膜症の重症度との相関・内膜症性嚢胞の脱落膜化とseromucinousborderline tumorのMRIによる鑑別

投稿　症例

脊髄動脈瘤破裂により頭蓋内くも膜下出血を呈した1 例新井　鐘一 , 植木　香奈 , 重川　誠二 , 金　義昭 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1255-1258

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頭蓋内の非外傷性くも膜下出血の原因の多くは脳動脈瘤の破裂（約80％）によるもので，その他の頭蓋内病変としては脳動静脈奇形，脳腫瘍，もやもや病，脳動脈解離，脳静脈洞血栓症，中枢神経限局性血管炎，可逆性脳血管攣縮症候群，可逆性後頭葉白質脳症，脳アミロイド血管症などが挙げられる．一方，脊椎疾患も頻度は少ないながら存在し，大半は脊髄動静脈奇形あるいは動静脈瘻がその原因といわれている．今回，我々は，急性期脳梗塞の入院加療中に特発性脊髄動脈瘤の破裂により頭蓋内くも膜下出血を発症した1例を経験した．頭蓋内くも膜下出血の原因として，脊髄動脈瘤はきわめて稀な疾患であると考えられる．脊髄動脈瘤の形成の機序，発生頻度，画像所見，治療方針について文献的考察を加えて報告する．

Refresher Course

間質性肺炎を診断する上で知っておくべき知識澄川　裕充 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1259-1268

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間質性肺炎は様々なタイプがあり，その診断にはCT 画像が重要であり，またCT で初めて発見されることも多い．本稿では，間質性肺炎を診断するためのポイントを簡潔に示す．

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目次 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1155-1155

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英文目次 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1156-1156

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編集顧問・編集委員 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1160-1160

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写真一覧 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1235-1235

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Information 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1236-1236

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投稿規定 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1269-1269

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Back Numbers 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1270-1271

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奥付 40巻12号 , 2020年9月 , pp.1272-1272

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基本情報

画像診断
40巻12号
(2020年9月発行)

電子版ISSN：2432-1281 印刷版ISSN：0285-0524 Gakken

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