画像診断 45巻1号 (2024年12月発行)

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特集　ビギナーのための胸部画像診断 ―Q&Aアプローチ― 2025

序説西本　優子 45巻1号 , 2024年12月 , pp.9-9

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髙橋雅士先生が企画された2014年7月号（Vol.34 No.8）特集『ビギナーのための胸部画像診断 ―Q&Aアプローチ―』は，多くの読者に好評を得て2016年に単行本となり，現在まで愛読される必携の書となりました．

1 胸部画像診断の基礎　1）解剖　Q1. CTにおける肺区域の読み方を教えてください．室田　真希子 , 佐藤　功 45巻1号 , 2024年12月 , pp.11-13

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● 中枢より気道を追って区域を同定する．

● 末梢では気管支だけでなく，血管の広がりも追う．

● 肺葉や区域の端まで追う．

1 胸部画像診断の基礎　1）解剖　Q2. 二次小葉って何ですか？ HRCT（TSCT）読影に必要な解剖を教えてください．髙橋　雅士 45巻1号 , 2024年12月 , pp.14-17

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● 二次小葉とは，“小葉間隔壁や胸膜に囲まれ，内部に3～5本の終末細気管支の集簇を有する，大きさ10mm程度の肺のユニット”である．

● 小葉（細葉）中心性分布の基本は，“肺内の粗大構造に接しない”，“分布が三次元的に均等”である．

● 肺胞隔壁性間質の病変では，肺野透過性の低下・蜂巣肺や牽引性気管支拡張などの構造改変（一部の間質性病変では），リンパ路性間質性病変では既存構造の顕在化が基本である．

1 胸部画像診断の基礎　2）用語　Q3. 浸潤影，コンソリデーション，すりガラス影について教えてください．　負門　克典 45巻1号 , 2024年12月 , pp.18-19

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● 浸潤影は，胸部単純X線写真のill-defined opacityに対応する肺吸収値上昇を表現する記述用語として使用する．

● コンソリデーションとすりガラス影は，CT肺野条件での肺吸収値上昇を背景の気管支・肺血管を目安として表現する記述用語として使用する．

1 胸部画像診断の基礎　2）用語　Q4. 網状影，牽引性気管支拡張，蜂巣肺について教えてください．負門　克典 45巻1号 , 2024年12月 , pp.20-21

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● 網状影は，多数の細かな線状影によって形成される網目状の病変である．

● 牽引性気管支拡張は，非可逆的な線維化による気管支壁の不整・肥厚を伴う拡張を指す．

● 蜂巣肺は典型的には，胸膜下領域に集簇した境界明瞭で壁を共有する嚢胞構造である．UIPの確実所見であり，他の線維化所見が存在する場合にのみ，注意して使用される必要がある．

1 胸部画像診断の基礎　2）用語　Q5. 腫瘤，結節，粟粒影について教えてください．負門　克典 45巻1号 , 2024年12月 , pp.22-23

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● 結節とは，境界明瞭で通常，類円形の透過性低下域を示す．

● 径30mmより大きな充実性結節を腫瘤，平均径6mm未満の結節を微小結節と呼び，平均径6mm～径30mm以下の境界明瞭な円形に近いものを狭義の結節とする．

● 径1～2mm以下で，粒の大きさがほぼ均一で両肺に広く分布するものを，粟粒影とする．

1 胸部画像診断の基礎　2）用語　Q6. 肺嚢胞，ブラ，空洞について教えてください．負門　克典 45巻1号 , 2024年12月 , pp.24-25

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● 肺嚢胞は，薄く整な壁を有する空気含有構造を指す．

● ブラは，嚢胞の中でも主に肺尖部胸膜直下にあるもので，自然気胸の原因となるものに対して使用される．

● 空洞は，既存肺充実性病変の内部が抜けたガスおよび/または液体含有構造で，壁は厚く，しばしば不整である．

2 腫瘤性病変　1）肺結節　Q1. 肺結節の質的診断について，鑑別のポイントを教えてください．佐藤　嘉尚 45巻1号 , 2024年12月 , pp.26-28

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● 大きな結節，造影される結節，辺縁不整な結節は悪性の可能性が高い．

● 境界明瞭，結節内の石灰化，脂肪の存在は良性を示唆する．

● 悪性腫瘍では経時的に増大し，良性病変では縮小あるいは変化しないことが多い．

2 腫瘤性病変　1）肺結節　Q2. すりガラス型結節をみたら，どうすればいいですか？佐藤　嘉尚 45巻1号 , 2024年12月 , pp.29-31

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● すりガラス型結節（GGN）は置換型腺癌の可能性が高い．

● 炎症との鑑別に，3か月程度でCTを再検して縮小・消失の有無を確認する．

● 全体径15mm以上や充実部が8mm以上では確定診断が推奨される．

2 腫瘤性病変　1）肺結節　Q3. 肺癌TNM分類について教えてください．小澤　良之 , 竹中　大祐 , 大野　良治 45巻1号 , 2024年12月 , pp.32-34

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● T因子診断では腫瘍の大きさと広がりを評価する．腫瘍径は腫瘍をすりガラス型，部分充実型，充実型の3型に分類し，部分充実型では病変全体径，充実成分径の両者を測定して，その組み合わせで判定する．

● T因子診断の浸潤評価には，MPR像を含めたCTやMRI評価が有用である．

● N因子，M因子は国際対がん連合（UICC）のTNM分類第9版においてN2，M1cが細分化される予定である．

2 腫瘤性病変　2）肺門部肺癌　Q4. 肺門部肺癌の画像所見について教えてください．小澤　良之 , 竹中　大祐 , 大野　良治 45巻1号 , 2024年12月 , pp.35-37

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● 同一肺区域や肺葉で繰り返す肺炎や無気肺の原因として肺門部肺癌があり，気管支壁の肥厚，狭小化の評価が重要である．

● 発生部位から隣接する肺動静脈や縦隔構造に浸潤しやすく，その浸潤範囲の評価は治療戦略上，重要である．

2 腫瘤性病変　3）縦隔腫瘤　Q5. 縦隔区分について教えてください．中園　貴彦 45巻1号 , 2024年12月 , pp.38-41

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● 従来から古典的縦隔区分やFelsonの縦隔区分が使用されている．

● JARTとITMIGはCT横断像を基準にした縦隔区分を提唱した．

● 縦隔病変の局在部位と，充実性か嚢胞性かで鑑別を絞ることができる．

2 腫瘤性病変　3）縦隔腫瘤　Q6. 前縦隔によくできる病変はどのようなものがありますか？中園　貴彦 45巻1号 , 2024年12月 , pp.42-44

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● 前縦隔に好発する充実性病変は，胸腺上皮性腫瘍，胸腺過形成，リンパ腫，胚細胞腫瘍などである．

● 前縦隔に好発する嚢胞性病変は，胸腺嚢胞，心膜嚢胞，成熟嚢胞性奇形腫などである．

2 腫瘤性病変　3）縦隔腫瘤　Q7. 中縦隔・後縦隔腫瘍によくできる病変にどのようなものがありますか？中園　貴彦 45巻1号 , 2024年12月 , pp.45-47

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● 中縦隔に好発する充実性病変は，リンパ節腫大や縦隔内甲状腺腫，嚢胞性病変は気管支原性嚢胞，食道重複嚢胞などである．

● 後縦隔に好発する充実性病変は，神経原性腫瘍，髄外造血，骨髄脂肪腫，嚢胞性病変は側方髄膜瘤，Müller 管嚢胞，神経腸管嚢胞などである．

3 感染症　Q1. 大葉性（肺胞性）肺炎と気管支肺炎の違いは何ですか？氏田　万寿夫 45巻1号 , 2024年12月 , pp.48-49

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● 大葉性（肺胞性）肺炎では，肺胞に到達した病変微生物による炎症性浮腫と粘性の低い滲出液が肺胞腔内に充満し，Kohn孔などの側副換気路を介し，肺区域を越えて拡大する．

● 気管支肺炎は，感染が呼吸細気管支レベルの末梢気道粘膜の傷害から始まり，周囲の肺胞腔内に炎症細胞浸潤や浮腫がみられるが，滲出液は乏しく粘性が高いため，病変は細気管支周囲を主体に区域性に広がる．

3 感染症　Q2. どのような所見をみたら結核を疑いますか？氏田　万寿夫 45巻1号 , 2024年12月 , pp.50-52

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● 二次結核症：単純X線写真では，肺尖や上肺野優位の粒状・結節状病変，斑状影や空洞がみられ，CTでは，区域性に分布する小葉中心性粒状・分枝状影や小結節が肉芽腫を反映してハイコントラストである．

● 一次結核症：リンパ節結核の頻度が最も高く，肺門・縦隔リンパ節，時に頸部リンパ節が腫大し，造影CTで腫大リンパ節の辺縁のみが，リング状に造影される．肺病変を認めないこともある．

3 感染症　Q3. 非結核性抗酸菌の画像所見について教えてください．氏田　万寿夫 45巻1号 , 2024年12月 , pp.53-55

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● 末梢肺の小結節と気管支拡張の混在が，中葉や舌区を中心に多区域にみられる［結節・気管支拡張型（NB型）］．

● 上葉優位の空洞や小結節がみられる［線維空洞型（FC型）］．

● 間質性肺炎や肺気腫など肺の構造改変が顕著な個体では，非典型的所見を示す．

3 感染症　Q4. 肺真菌症の画像所見について教えてください．國弘　佳枝 , 伊東　克能 , 田中　伸幸 45巻1号 , 2024年12月 , pp.56-58

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● 肺真菌症は結節，腫瘤を呈することが多く，空洞形成も認められる．

● 肺アスペルギルス症はその病態から，単純性肺アスペルギローマ，慢性進行性肺アスペルギルス症，侵襲性肺アスペルギルス症，アレルギー性気管支肺アスペルギルス症に分類され，それぞれに特徴的な画像所見がある．

● 経気道感染により発症するが，血行性散布を反映したランダム分布の結節，粒状影を来すことがある．

3 感染症　Q5. ニューモシスチス肺炎（PCP）とサイトメガロウイルス（CMV）肺炎の画像所見について教えてください．國弘　佳枝 , 伊東　克能 , 田中　伸幸 45巻1号 , 2024年12月 , pp.59-61

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● PCPとCMV肺炎は代表的な日和見感染症であり，いずれもびまん性すりガラス影を来すことが多く，しばしば鑑別が問題となる．

● AIDS患者におけるPCPでは空洞形成が高頻度である．

● CMV肺炎では粒状影，コンソリデーションの混在が特徴的である．

3 感染症　Q6. マイコプラズマ肺炎，新型コロナウイルス肺炎，インフルエンザウイルス肺炎の画像所見について教えてください．國弘　佳枝 , 伊東　克能 , 田中　伸幸 45巻1号 , 2024年12月 , pp.62-64

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● マイコプラズマ肺炎では娘枝領域の小葉中心性粒状影が特徴的である．

● 新型コロナウイルス肺炎では典型的には両肺野末梢優位の類円形，非区域性分布のすりガラス影が認められるが，現在では非特異的な所見も増加している．

● インフルエンザウイルス肺炎ではすりガラス影，小葉中心性粒状影が高頻度である．

4 びまん性肺疾患　Q1. 肺の間質って何ですか？間質性肺炎って何ですか？澄川　裕充 45巻1号 , 2024年12月 , pp.65-67

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● 間質とは実質を支える役割を果たす組織であり，肺胞隔壁の結合組織・小葉間隔壁や，気管支血管周囲間質，胸膜下間質などがそれに当たる．

● 間質性肺炎は肺胞隔壁の間質を主体とする病変であり，その代表的な疾患として，特発性肺線維症（IPF）や非特異性間質性肺炎（NSIP）などがある．

4 びまん性肺疾患　Q2. 特発性肺線維症（IPF）と進行性肺線維症（PPF）について教えてください．澄川　裕充 45巻1号 , 2024年12月 , pp.68-69

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● IPFは予後不良の原因不明な間質性肺炎で，放射線学的・病理組織学的にUIPパターンを特徴とする疾患である．

● PPFはIPF以外の間質性肺炎で，IPFと類似の線維化病変進行を特徴とする疾患群である．

4 びまん性肺疾患　Q3. 膠原病に伴う間質性肺疾患について教えてください．冨永　循哉 45巻1号 , 2024年12月 , pp.70-73

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● 特発性間質性肺炎に類似した病型を示す．

● 通常型間質性肺炎（UIP），非特異性間質性肺炎（NSIP），器質化肺炎（OP），びまん性肺胞傷害（DAD），リンパ球性間質性肺炎（LIP）が主な病型である．

● 膠原病によって，合併する間質性肺疾患の病型に特徴がある．

4 びまん性肺疾患　Q4. 過敏性肺炎の特徴について教えてください．山田　彩 , 太地　良佑 , 田中　利洋 , 西本　優子 45巻1号 , 2024年12月 , pp.74-76

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● 過敏性肺炎は，歴史的に急性・慢性（潜在性発症型と再燃症状軽減型）に分類されていたが，2020年のATS/JRS/ALAT国際ガイドラインにおいて，疾患の進行や予後を反映するとして，非線維性・線維性の分類が採用された．

● 非線維性過敏性肺炎のCT所見は，肺野病変（すりガラス影，モザイクパターン）と細気管支病変（境界不明瞭な小葉中心性粒状影，呼気CTでのair trapping）である．

● 線維性過敏性肺炎のCT所見は，線維化病変（牽引性気管支拡張を伴う網状影/すりガラス影，蜂巣肺）と細気管支病変（小葉中心性分岐・粒状影，低吸収小葉を伴うモザイクパターン，three density pattern，呼気CTでのair trapping）である．

● 非線維性・線維性いずれも，病変の分布も重要である．

4 びまん性肺疾患　Q5. 喫煙関連間質性疾患について教えてください．山田　彩 , 太地　良佑 , 田中　利洋 , 西本　優子 45巻1号 , 2024年12月 , pp.77-79

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● 喫煙関連間質性疾患には，2013年の特発性間質性肺炎の国際ガイドラインで示された喫煙関連間質性肺疾患［呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患（RB-ILD），剥離性間質性肺炎（DIP）］の他，肺Langerhans細胞組織球症（pLCH），気腫合併肺線維症（CPFE）などが含まれる．

● CPFEはCottinらによって提唱された疾患概念で，画像検査で“上肺野に気腫性変化，下肺野に線維性間質性病変がある”ものである．

4 びまん性肺疾患　Q6. 職業関連疾患：石綿関連の肺・胸膜病変について教えてください．加藤　勝也 45巻1号 , 2024年12月 , pp.80-83

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● 石綿に関連する胸膜病変には胸膜プラーク，胸膜中皮腫，良性石綿胸水，びまん性胸膜肥厚があり，肺病変には石綿肺，石綿肺癌，円形無気肺がある．このうち，胸膜プラーク，胸膜中皮腫は環境曝露のような低濃度曝露でも生じるが，その他は職業性曝露のような比較的高濃度曝露で生じ，特に石綿肺は，かなりの高濃度曝露がなければ生じない．

● 胸膜プラークは限局性で板状の胸膜肥厚であり，石綿曝露後，比較的早期から低濃度曝露でも生じる．石綿曝露以外では生じないため，石綿曝露の医学的指標として用いられ，特に石綿肺癌において重要な認定基準となる．

● 胸膜中皮腫と診断されれば，労災または石綿健康被害救済法（以下，救済法）のいずれかで必ず補償され，石綿肺癌は一定の所見を満たせば補償される．

4 びまん性肺疾患　Q7. 職業関連疾患：珪肺と溶接工肺について教えてください．加藤　勝也 45巻1号 , 2024年12月 , pp.84-86

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● 珪肺，溶接工肺ともに職業性じん肺であり，粉じん職歴の有無が重要である．じん肺法ではCTは参考にしてもよいが，PR分類の決定は単純X線写真に基づいて行うことに留意しておく必要がある．

● 珪肺は結晶性シリカ粉じんを吸入することで生じ，上肺優位に粒状影を認め，CTでは粒状影はリンパ路性に分布する．珪肺の診断は，粉じん職歴と縦隔リンパ節所見を合わせて行う．

● 溶接工肺は，溶接時に発生する酸化鉄ヒュームを吸入することによって生じ，びまん性に珪肺に比して淡い粒状影やすりガラス状の結節影を認める．CTではこれらの病変は小葉中心性に分布する．すりガラス影が主体の病変では，非線維化性の過敏性肺炎（夏型過敏性肺炎）様の所見を呈する．溶接工肺の診断は職歴と症状を合わせて行う．

4 びまん性肺疾患　Q8. リンパ路性間質って何ですか？　リンパ路病変の鑑別疾患には何がありますか？太地　良佑 45巻1号 , 2024年12月 , pp.87-90

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● リンパ路性間質とは，気管支肺動脈束，肺静脈，小葉間隔壁，胸膜など肺の屋台骨（フレームワーク）を形成する間質を指し，広義間質とも呼ばれる．内部にリンパ管ネットワークが発達している．

● リンパ路病変の鑑別疾患には，間質性肺水腫，サルコイドーシス，癌性リンパ管症，リンパ腫を含むリンパ増殖性疾患，珪肺などが含まれる．

4 びまん性肺疾患　Q9. 気道病変，COPD：肺気腫の種類を教えてください．画像所見と鑑別診断も教えてください．永谷　幸裕 45巻1号 , 2024年12月 , pp.91-93

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● 慢性閉塞性肺疾患（COPD）は，気腫型と気道病変優位型の2病型に分類される．

● 気腫型COPDは，小葉中心性肺気腫，汎小葉性肺気腫，傍隔壁性肺気腫に分類される．

● CTでは低吸収域（LAA）として描出され，気腫合併肺線維症や気管支喘息とCOPDのオーバーラップが重要．

4 びまん性肺疾患　Q10. 気道病変，COPD：気管支拡張症の定義と種類を教えてください．気管支拡張を来す疾患には何がありますか？永谷　幸裕 45巻1号 , 2024年12月 , pp.94-96

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● 気管支拡張症は，非可逆的・永続的な気管支内腔の拡張した状態である．

● 形態的に，円柱状（cylindrical），静脈瘤様（varicose），嚢胞状（cystic）に分類される．

● 感染，遺伝的疾患，免疫不全，アレルギー疾患，免疫反応，気管支閉塞機転など，様々な原因で生じる．

4 びまん性肺疾患　Q11. 代表的な血管炎の肺病変について教えてください．角　明子 , 藤本　公則 45巻1号 , 2024年12月 , pp.97-99

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● 顕微鏡的多発血管炎（MPA）は，間質性肺炎と肺胞出血を認める．

● 多発血管炎性肉芽腫症（GPA）と好酸球性多発血管炎性肉芽腫症（EGPA）は，肉芽腫による結節や腫瘤を認め，GPAは壊死性肉芽腫，EGPAは好酸球性肉芽腫，好酸球性気管支炎・細気管支炎，好酸球性肺炎がみられる．

5 心血管疾患　Q1. 肺水腫の病態と画像所見について教えてください．土屋　奈々絵 45巻1号 , 2024年12月 , pp.100-101

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● 肺水腫は病態生理と対応させ，圧上昇型肺水腫，透過性亢進型肺水腫に分類するとわかりやすい．

● 圧上昇型肺水腫の画像所見は，間質性肺水腫から肺胞性肺水腫への移行がみられる点が特徴である．

● 透過性亢進型肺水腫では，DADを伴う場合はびまん性肺胞性陰影に経過とともに線維化所見が加わるが，DADを伴わない場合は間質性肺水腫が主体の陰影となり，線維化を残さない．

5 心血管疾患　Q2. 肺動脈血栓塞栓症の診断の基本を教えてください．土屋　奈々絵 45巻1号 , 2024年12月 , pp.102-103

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● 急性肺動脈血栓塞栓症の診断には造影CTの有用性が最も高く，肺動脈内の塞栓子の証明による確定診断，右心負荷の評価，深部静脈血栓の検索を行う．

● 慢性肺動脈血栓塞栓症では，造影CTの5つの特徴的な所見が診断確定に寄与する．

● 肺血流シンチグラフィが正常であれば，肺動脈血栓塞栓症を否定できる．

5 心血管疾患　Q3. 肺高血圧の画像所見を教えてください．久保　武 45巻1号 , 2024年12月 , pp.104-105

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● 肺高血圧には原因となる種々の病態があり，画像所見にも幅がある．

● 中枢肺動脈の拡大，末梢肺動脈の狭小化が認められる．

● 特発性肺動脈性肺高血圧症では，すりガラス影が小葉中心性に認められる．小葉間隔壁の肥厚も呈しうる．

すとらびすむす

朝日に匂ふ　山桜花高瀬　圭 45巻1号 , 2024年12月 , pp.5-5

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第84回日本医学放射線学会総会の会長を拝命し，2025年4月10日（木）～ 13日（日）の4日間，パシフィコ横浜にて，第81回日本放射線技術学会総会学術大会，第129回日本医学物理学会学術大会および国際医用画像総合展（ITEM2025）との合同で，JRC2025として開催します．

画像のなりたちに迫る ―Unveiling the Origins of Images―

肺結節のスピキュラ楠本　昌彦 45巻1号 , 2024年12月 , pp.6-7

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肺結節の診断に画像は重要な役割を果たす．存在診断はもとより，結節が良性か悪性かの質的診断を行う際にも，画像は重要な役割を果たす．

ここが知りたい！

画像診断2024年8月号特集「呼吸器のcommon diseaseにみる非典型的画像所見」宝関　明子 , 國弘　佳枝 , 江頭　玲子 45巻1号 , 2024年12月 , pp.110-113

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Q1 肺非結核性抗酸菌症の経過観察で，肺癌との鑑別に迷った際のマネジメントを教えてください．

Q2 肺非結核性抗酸菌症と結核の画像からの鑑別点を教えてください．

Q3 画像からウイルス性肺炎や真菌感染を除外し，細菌性肺炎（気管支肺炎や肺胞性肺炎）までの可能性は指摘していますが，そこから先の菌種の推定までレポートに記載されているでしょうか？

Q4 特発性肺線維症（IPF）は，予後を考慮すると，正しく診断・除外する意味がとても大きい疾患だと思います．一方で，肺癌の可能性があるような結節などに比べて，変化も緩徐で経過観察の仕方や判断が難しく感じます．非典型例のIPFの可能性がある場合，どのようにレポート記載されていますか？

Picked-up Knowledge from Foreign Journals

心血管系画像診断の最新文献update 加藤　真吾 45巻1号 , 2024年12月 , pp.114-116

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● 拡張型および不整脈誘発型左室心筋症の磁気共鳴画像による特徴と臨床転帰

● 心臓MRIの左右心室間の心拍出量差と臨床転帰の関連性：MESA研究

● 心臓CTの心筋細胞外液分画（CT-ECV）の臨床的有用性：システマティックレビューおよびメタ解析

Case of the Month

Case of January 矢嶋　諒 , 梅岡　成章 45巻1号 , 2024年12月 , pp.117-117

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20歳台，女性．主訴：腹痛．

The key to case of November 阿保　斉 45巻1号 , 2024年12月 , pp.118-120

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10歳台後半，女性．学校検診の胸部X線検査で異常を指摘され，当院内科を紹介受診となった．

読影レポートLesson

頭部編「硬膜肥厚」河原　愛子 , 勝部　敬 45巻1号 , 2024年12月 , pp.121-125

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脳・脊髄を覆う膜様構造物である髄膜は，古典的には硬膜・くも膜・軟膜という3層で構成される．

続General Radiology診断演習

背景疾患を探る林　勇気 45巻1号 , 2024年12月 , pp.126-128

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70歳台，男性．主訴：両下腿浮腫

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目次 45巻1号 , 2024年12月 , pp.2-4

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編集顧問・編集委員 45巻1号 , 2024年12月 , pp.8-8

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BOOK REVIEW 1 松木　充 45巻1号 , 2024年12月 , pp.107-107

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BOOK REVIEW 2 五島　聡 45巻1号 , 2024年12月 , pp.109-109

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Information 45巻1号 , 2024年12月 , pp.131-131

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写真一覧 45巻1号 , 2024年12月 , pp.132-133

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Back Numbers 45巻1号 , 2024年12月 , pp.134-134

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投稿規定 45巻1号 , 2024年12月 , pp.135-135

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奥付 45巻1号 , 2024年12月 , pp.136-136

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基本情報

画像診断
45巻1号
(2024年12月発行)

電子版ISSN：2432-1281 印刷版ISSN：0285-0524 Gakken

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第1位 1 胸部画像診断の基礎　1）解剖　Q1. CTにおける肺区域の読み方を教えてください．室田真希子,佐藤功画像診断 45巻 1号 pp. 11-13 (2024年12月25日) Gakken
第2位 3 感染症　Q6. マイコプラズマ肺炎，新型コロナウイルス肺炎，インフルエンザウイルス肺炎の画像所見について教えてください．國弘佳枝,伊東克能,田中伸幸画像診断 45巻 1号 pp. 62-64 (2024年12月25日) Gakken
第3位 1 胸部画像診断の基礎　2）用語　Q3. 浸潤影，コンソリデーション，すりガラス影について教えてください．　負門克典画像診断 45巻 1号 pp. 18-19 (2024年12月25日) Gakken
第4位 5 心血管疾患　Q1. 肺水腫の病態と画像所見について教えてください．土屋奈々絵画像診断 45巻 1号 pp. 100-101 (2024年12月25日) Gakken
第5位 1 胸部画像診断の基礎　2）用語　Q6. 肺嚢胞，ブラ，空洞について教えてください．負門克典画像診断 45巻 1号 pp. 24-25 (2024年12月25日) Gakken
第6位 3 感染症　Q5. ニューモシスチス肺炎（PCP）とサイトメガロウイルス（CMV）肺炎の画像所見について教えてください．國弘佳枝,伊東克能,田中伸幸画像診断 45巻 1号 pp. 59-61 (2024年12月25日) Gakken
第7位 3 感染症　Q4. 肺真菌症の画像所見について教えてください．國弘佳枝,伊東克能,田中伸幸画像診断 45巻 1号 pp. 56-58 (2024年12月25日) Gakken
第8位 1 胸部画像診断の基礎　2）用語　Q4. 網状影，牽引性気管支拡張，蜂巣肺について教えてください．負門克典画像診断 45巻 1号 pp. 20-21 (2024年12月25日) Gakken
第9位 4 びまん性肺疾患　Q1. 肺の間質って何ですか？間質性肺炎って何ですか？澄川裕充画像診断 45巻 1号 pp. 65-67 (2024年12月25日) Gakken
第10位 4 びまん性肺疾患　Q9. 気道病変，COPD：肺気腫の種類を教えてください．画像所見と鑑別診断も教えてください．永谷幸裕画像診断 45巻 1号 pp. 91-93 (2024年12月25日) Gakken

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