総合診療 30巻4号 (2020年4月)

特集 大便強ドリル—便秘・下痢・腹痛・消化器疾患に強くなる41問!

中野 弘康 , 山中 克郎
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プライマリ・ケアの現場で“消化器”関連の問題を抱えている患者さんはとても多いです。“便秘”、“下痢”、“腹痛”などのよくある症候に対する対応は十分ですか? “便秘”患者にセンノシドやピコスルファートを漫然と処方していませんか? 感染性腸炎で“下痢”を訴えてきた患者に抗菌薬を処方していませんか? 健診で肝障害を指摘された患者にどう向き合いますか?

本特集では、消化器疾患を診るプライマリ・ケア最前線のドクターが身につけておくべき、“消化器領域の必須知識”の習得を目指します! そしてコンセプトは、多忙を極める現場で臨床医に役立つクリニカル・パールがたくさん盛り込まれていること、本誌を開けば、消化器疾患で悩み・困っている患者を助けられるヒントがたくさん詰まっていることです。

消化器内科(腫瘍内科も含む)、消化器外科、救急、プライマリ・ケアの第一線で活躍中の若手医師の先生方に、良質かつ基本的な問題を、テスト形式で計41問作成していただきました。平均正解率は50%を目指します。「大便強ドリル」を解くことで、消化器疾患に対する興味が自然と沸き、読者の皆さんの日常診療のレベルの向上につながれば幸いです。

それではテストを始めましょう!

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Q01 42歳、男性。喫煙者で飲酒もほぼ毎日である。健康診断は受けておらず、これまでほとんど病院を受診したことがない。1カ月前から下腹部痛を伴う下痢と37℃台の微熱が続いていた。下痢はこれまでにもしばしば続くことがあったため様子をみていたが、1週間前から夜には38℃台の発熱が見られるようになり、3日前から下痢に混じって粘血便もみられるようになったため、内科外来を受診した。外来で施行した便潜血検査も陽性で、大腸内視鏡検査を行ったところ、直腸に多発するタコいぼ状の潰瘍が観察された。また、腹痛の精査のため受診時に施行した腹部単純CTで、肝右葉に辺縁がやや不正な巨大腫瘤が認められた。

潰瘍の病理生検結果を待つ間、最も診断に寄与する検査はどれか? 1つ選べ

ⓐ 血清アメーバ抗体

ⓑ 便の一般細菌培養

ⓒ CEA(がん胎児性抗原)

ⓓ インターフェロンガンマ遊離検査

解答はp.426☞

(出題:十菱大介・岡本 耕)

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問題「Q1〜Q41解答」

復習用INDEX

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消化器症状を訴えて、プライマリ・ケア医を訪れる患者さんはとても多いです。“下痢”、“便秘”、“血便・黒色便”、“腹痛”、“食欲不振”などのコモンな症状から、「健診を受けたらたまたま肝障害を指摘されました」「ピロリっていわれたけど、除菌はどうしたらよいの?」「最近便秘と腹痛で会社に行けません!」「天ぷら食べた後からおなかが痛い」等々まで、その訴えはさまざまです。

 これらすべてに対応することは困難でも、日々フロントラインで患者さんの悩みに真正面から向き合っておられる先生方に向けて、「“消化器領域の知識を整理できる問題集”を作ることができないか」そんなことを漠然と考えていました。

【臨床小説】後悔しない医者|あの日できなかった決断・第1話【新連載】

患者に触らない医者 國松 淳和
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はじめに

 患者に慕われる側面もあるが、どこか陰のある内科医・黒野。彼の診療は独特で、患者に直接触れようとしない。黒野の隠された能力とは何か? 黒野には何が見えているのか? 運命は変えられるのだろうか…。そして、黒野の運命は——。

 黒野の診療から、私たちは何を見出せるだろうか。1〜3話読み切り形式の創作ストーリーで臨床を学ぶ、「臨床小説」をお届けします。

Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー!医学と日常の狭間で|患者さんからの素朴な質問にどう答える?・1【新連載】

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患者さんからのふとした質問に答えられないことはないでしょうか? 素朴な疑問ほど回答が難しいものはないですが、新たな気づきをもたらす良問も多いのではないでしょうか? 本連載では素朴な疑問に、文献的根拠を提示しながらお答えします!

【エッセイ】アスクレピオスの杖—想い出の診療録・1【新連載】

壮絶な闘いの末に 山中 克郎
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今月から本連載がスタートしました!毎月替わる著者が、これまでの診療で心に残る患者さんとの出会いや、人生を変えた出来事を、エッセイにまとめてお届けします。

GM Group Dynamics・10

United Medical Leaders(UML) 石黒 剛
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若手医師・医学生を中心に、「UML(United Medical Leaders)」が広がりをみせている。2017年2月の東京開催を皮切りに、大阪・札幌・名古屋・盛岡・仙台と全国各地で回数を重ね、すでに延べ500名以上が参加した。主催・運営は「つながる力で医療を支える」を経営理念とするAntaa株式会社。2016年に、医師である中山俊氏らが創業した医療系ベンチャー企業だ。中山氏は整形外科医として現在も臨床に従事しながら、医師同士がいつでも気軽に相談し合えるオンラインサービス「Antaa QA」を提供、スライドシェアや講演の主催・配信、医療に特化したクラウドファンディングサイト運営など、さまざまな複数の取り組みを通じて、医師同士の“つながり”を支援し続けている。一方UMLは、それらのオンラインサービスとは対照的に、オフラインのリアルなつながりの場の提供を目的としている。ゲスト講師によるレクチャーとワークショップで構成し、テーマは「臨床研究」「海外診療」「在宅医療」など多岐にわたる。

 2019年11月には京都市・みやこめっせで、「臨床を再考する—医療に潜むウソと本音」をテーマに開催(主幹:Antaa関西代表 徳田嘉仁氏〔近江八幡市立総合医療センター/滋賀家庭医療学センター〕)。島薗洋介氏(大阪大学、医療人類学者)、國松淳和氏(南多摩病院)をゲストに迎え、日々の臨床での何気ない疑問を再考した。島薗先生には、「病いの語りから治療のドラマへ」と題し、医療に対する患者さんの考え方や行動原理を、医療人類学的視点から紐解いていただいた。続いて、ロックな入場曲とともに國松先生が登場すると、『仮病の見抜きかた』(金原出版、2019)を執筆した経緯と臨床経験を交えて講演、「臨床医」として大切にすべきことを学んだ。ワークショップでは「ファクトフルネスゲーム」や「疾患当てジェスチャーゲーム」などをチーム対抗で行い、熱のある盛り上がりをみせた。この会場の一体感によって、初めて出会った相手とも、容易につながることができる。また、日常診療に戻っても「Antta QA」といったオンラインサービスを通して、互いの知見を共有し合い、勇気づけ合うことができる仲間と出会うことができるのだ。臨床医は時として孤独だが、ここには多くの“つながり”があなたを待っている。文責:Antaa東海支部副代表 石黒剛(いしぐろ在宅診療所)

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病歴

患者:63歳、女性

主訴:胸部違和感

現病歴:入院5日前より倦怠感、悪寒戦慄が出現した。入院4日前から両膝関節の内側に疼痛を感じていた。入院3日前より胸部違和感が出現したため当院救急外来を受診したが、心電図や胸部CT検査で異常を認めず帰宅となった。その後も倦怠感や胸部違和感が持続するため、当院救急外来を受診した。

ROS陰性所見:咳、痰、嘔気、嘔吐、咽頭痛、下痢、労作時呼吸困難、発作性夜間呼吸困難、起坐呼吸、動悸、失神、体重減少、盗汗、胸焼け、呑酸

既往症:虫垂炎(子どもの頃に手術)

併存症:なし

常用薬:なし

生活:夫と2人暮らし。ADL(日常生活動作)は完全に自立している。

職業:事務職

喫煙:なし

飲酒:機会飲酒程度

素人漢方のススメ|感染症編・4

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 いよいよ今月号から各論に入ります。まずは、感冒を中心とした急性発熱性疾患です。主としてウイルス性疾患の解説になりますが、これこそが最も漢方らしい、また最も重要な疾患群となります。

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・40

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CASE

患者:81歳、女性。

主訴:右肩痛。

現病歴:来院当日、スーパーマーケットで買い物をし、会計を待っている際にふらつき転倒した。転倒後から右肩痛が出現し、当院救急搬送となった。

既往歴:子宮がん、腺腫様甲状腺腫、高血圧症、脂質異常症、2型糖尿病、白内障術後。

常用薬:イコサペント酸エチル600mg/日、テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩1錠/日、サロベール50mg/日、リナグリプチン5mg/朝、フロセミド30mg/日、シルニジピン10mg/日、ビソプロロールフマル酸塩5mg/日。

生活歴:ADL自立。飲酒・喫煙なし。

アレルギー:食事・薬剤ともになし。

“JOY”of the World!|ロールモデル百花繚乱・4

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 約10年にわたり診療所に勤務し、地域の一線で家庭医療の研修・実践に取り組んできた。その間に公衆衛生大学院でも学び、その後、大学教員となった。「静岡家庭医養成プログラム」(現・浜松医科大学医学部附属病院総合診療専門研修プログラム)の責任者として、家庭医・総合診療医の育成に携わって約6年になる(表1)。特にアカデミアへの転身は大きなキャリアチェンジで、立場が変わるごとに求められる役割や成果は少なからず変化してきた。しかし自分のなかでは、すべてが人生のミッションへとつながっている。一生をかけて取り組む「プロフェッション」を全うすることに、幼い頃から魅力を感じてきた。社会構造や医療をとりまく状況も大きく変化するなか、翻弄されることなく、これからも芯を保ちつつ柔軟に向き合っていきたい。

投稿 Correspondence

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TO THE EDITOR

 本誌2019年11月号特集内の掲載論文「突然の胸痛と嚥下障害」1)(以下、二川論文)につき、疑問を感じたので以下に詳述する。

 二川論文で提示された症例(以下、本症例)は、論文中では特発性食道粘膜下血腫と診断されているが、ここで留意すべきは内服薬としてアレンドロン酸35mg/週が投与されていることである。添付文書によれば、アレンドロン酸は「重要な基本的注意」として、「本剤は咽喉頭、食道等の粘膜に対し局所刺激症状を引き起こすおそれがある。特に適切に服用しない患者では、食道、口腔内に重度の副作用が発現する可能性があるので、服用法について患者を十分指導し、理解させること」とあり2)、本症例は特発性ではなく、アレンドロン酸の副作用により、食道粘膜下血腫をきたしたものと考えるほうが自然だと考える。

#総合診療

#今月の特集関連本❶

#今月の特集関連本❷

#医学書院の新刊

#今月の連載関連本

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 久しぶりに、若手医師へ自腹での購入をお勧めしたい本に出合えました。まさに感動です。本書は、“肛門部疾患のバイブル”と言えます。

 読者の必要とするものは何かを非常に丁寧に考え抜き、緻密な計画をもってつくられています。まさに、直腸肛門疾患に対する著者の長年の真摯な診療そのものが反映された本と言えます。

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目次

『総合診療』編集方針
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 1991年に創刊した弊誌は、2015年に『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。その後も高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされています。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、2017年にリニューアルをいたしました。本誌は、今後も下記の「編集方針」のもと、既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。

2018年1月  『総合診療』編集委員会

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基本情報

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総合診療
30巻4号 (2020年4月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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