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若手医師・医学生を中心に、「UML(United Medical Leaders)」が広がりをみせている。2017年2月の東京開催を皮切りに、大阪・札幌・名古屋・盛岡・仙台と全国各地で回数を重ね、すでに延べ500名以上が参加した。主催・運営は「つながる力で医療を支える」を経営理念とするAntaa株式会社。2016年に、医師である中山俊氏らが創業した医療系ベンチャー企業だ。中山氏は整形外科医として現在も臨床に従事しながら、医師同士がいつでも気軽に相談し合えるオンラインサービス「Antaa QA」を提供、スライドシェアや講演の主催・配信、医療に特化したクラウドファンディングサイト運営など、さまざまな複数の取り組みを通じて、医師同士の“つながり”を支援し続けている。一方UMLは、それらのオンラインサービスとは対照的に、オフラインのリアルなつながりの場の提供を目的としている。ゲスト講師によるレクチャーとワークショップで構成し、テーマは「臨床研究」「海外診療」「在宅医療」など多岐にわたる。
2019年11月には京都市・みやこめっせで、「臨床を再考する—医療に潜むウソと本音」をテーマに開催(主幹:Antaa関西代表 徳田嘉仁氏〔近江八幡市立総合医療センター/滋賀家庭医療学センター〕)。島薗洋介氏(大阪大学、医療人類学者)、國松淳和氏(南多摩病院)をゲストに迎え、日々の臨床での何気ない疑問を再考した。島薗先生には、「病いの語りから治療のドラマへ」と題し、医療に対する患者さんの考え方や行動原理を、医療人類学的視点から紐解いていただいた。続いて、ロックな入場曲とともに國松先生が登場すると、『仮病の見抜きかた』(金原出版、2019)を執筆した経緯と臨床経験を交えて講演、「臨床医」として大切にすべきことを学んだ。ワークショップでは「ファクトフルネスゲーム」や「疾患当てジェスチャーゲーム」などをチーム対抗で行い、熱のある盛り上がりをみせた。この会場の一体感によって、初めて出会った相手とも、容易につながることができる。また、日常診療に戻っても「Antta QA」といったオンラインサービスを通して、互いの知見を共有し合い、勇気づけ合うことができる仲間と出会うことができるのだ。臨床医は時として孤独だが、ここには多くの“つながり”があなたを待っている。文責:Antaa東海支部副代表 石黒剛(いしぐろ在宅診療所)
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