助産雑誌 74巻4号 (2020年4月)

特集 妊娠糖尿病 妊娠期から始める女性の健康支援

  • 文献概要を表示

近年,妊娠糖尿病妊婦が増加しています。妊娠糖尿病の既往女性のその後の2型糖尿病発症は,そうでなかった女性の7.43倍と高率です。しかしながら,妊娠糖尿病女性への支援は,いまだ十分なものとは言えません。妊娠期から糖代謝異常のリスクに対して適切な支援を行うことは,女性の一生涯の健康を支援する上でも重要です。そうした中,2020年4月,妊娠中のみを対象としていた「在宅妊娠糖尿病患者指導管理料」が産後に拡大されることになりました。助産師が関わる領域での保険収載として,これは大きな出来事と言えるでしょう。

本特集では,ケースを用いて妊娠糖尿病妊婦に何が起こっているのかを解説すると共に,周産期の糖代謝異常についての基礎知識,および糖尿病の最新知見を改めて押さえて,妊産褥婦それぞれの個別性を捉えた,母児双方へのより良い支援を考えます。

  • 文献概要を表示

母体の糖代謝異常は胎児の成育に大きく関わることから,血糖管理が非常に重要です。さらに,その影響は妊娠期間中だけでなく産後にも及ぶものであり,産後の2型糖尿病発症予防には長期的な健康支援が欠かせません。本稿では,お母さんが元気でいるために助産師ができる支援を解説します。

  • 文献概要を表示

 2018年に「乳腺炎重症化予防ケア・指導料」が保険収載されたことは,助産師の世界に衝撃を与えました。助産業務の多くは自費診療の世界であり,この保険収載は画期的な出来事でした。さらに今春,そこにもう一つ,助産師が関われる項目が加わりました。2020年4月,妊娠中のみ対象となっていた「在宅妊娠糖尿病患者指導管理料」が産後に拡大されることになったのです(表1)1)。この収載は,日本母性看護学会看護政策検討委員会が日本助産学会,日本糖尿病教育・看護学会等と協働して申請していたもので,活動の成果としてわれわれもうれしい限りです。指導に当たる専門職が助産師に限定されているわけではありませんが,産後12週までの時期が対象であり,ぜひ助産師外来で対応してほしいと思っています。

 そこで本稿では,今回診療報酬として獲得したこの項目の内容とそこから考えられる助産師外来での関わりについて解説します。

  • 文献概要を表示

胎児の成育状態に大きく影響するという点で,糖代謝異常の治療戦略の中でも,妊娠糖尿病の血糖管理は非妊娠時と比べその様相が大きく異なります。血糖管理を行う上で知っておきたいのが,妊娠期に母体に生じる内分泌・代謝系の変化です。本稿では糖代謝を中心に,その変化の特徴を解説します。

  • 文献概要を表示

妊娠糖尿病女性に対して,助産師はどのような関わりを行うとよいのでしょうか。母児の生活環境と状態を踏まえた支援や,内科医,産科医との連携について,事例を基に解説します。

  • 文献概要を表示

妊娠糖尿病を発症した妊産婦(GDM妊産婦)には,多くの支援が必要です。本稿では妊娠初期・中期・後期および産後における,GDM妊産婦の心理とその支援をまとめました。

  • 文献概要を表示

海外と日本の研究では,母乳哺育によってGDM既往女性の2型糖尿病の発症を減少できるという結果が出ています。本稿では,現在継続中の日本の国立病院機構11施設による多施設共同研究から明らかになった母乳哺育の効果を,データを示しながら解説します。

  • 文献概要を表示

東京医療保健大学と品川区とが連携し,2016年6月より「品川区産後ケア事業」が開始されました。その後,訪問型のサービスや,電話相談窓口を開設し,さらにサービスの対象を経産婦に広げ,現在も提供されています。こうした連携が今後,いろいろな自治体で広がっていき,産後のうつで苦しむお母さんをより一層助けられるようになることを願います。

  • 文献概要を表示

虐待で年間約80人の子どもの命が奪われている

 子どもが虐待によって命を落とすニュースが後を絶ちません。児童相談所虐待対応件数は,年々増加し直近では約16万件となっています(図)。虐待をなくしたいという思いから通告件数が増えているとも言われていますが,児童相談所や警察の方の話を聞くと,「虐待自体,決して減っているという印象はない」と,ほとんどの方がおっしゃいます。

 厚生労働省は,虐待を受けて死亡した子ども(18歳未満)は2015年度84人,2016年度77人,2017年度65人と発表しています1)。毎年70〜80人の子どもが虐待によって命を落としていることが分かります。これは,虐待死として認識されている数です。

  • 文献概要を表示

 2019年10月27日,東京ウィメンズプラザ(東京都渋谷区)で第3回となる「全日本おっぱいサミット—広い宇宙に,ママひとり?」が開催され,育児支援関係者ほか,ママ・パパ,祖父母世代,医大生ら約70名が参加しました。実行委員の1人として,企画までの経緯と当日の様子をレポートします。

連載 ワタナベダイチが解説!両親学級アイスブレイク集 こんな時,どんなアイスブレイク?・1【新連載】

  • 文献概要を表示

はじめに

 読者の皆さん,こんにちは,渡辺大地です。全国で両親学級の講師を務めており,2016年7月号から2018年12月号まで『助産雑誌』で両親学級に関する連載をしていましたので,知っている方もいらっしゃるかもしれません。

 その後1年余りご無沙汰になりましたが,その間日本では,現役の大臣が育児休業(以下,育休)を取得したり,大臣も育休を取るべきかと議論になったり,男性公務員の育休取得を促す制度が検討され始めたりと,男性の育児参画に関するニュースがたびたび報道されました。

 子どもの保育園の送り迎えをしていても,ここ2〜3年で父親の送り迎えが一気に増えたなと感じます。以前は,朝の送りには父親を見掛けることがあっても,お迎え時は母親しか見ないことがほとんどでしたが,最近はお迎えに来る父親も少なくありません。過渡期とはこういうことなんだなあと実感します。男性の育休義務化を目指す議員連盟では,両親学級などの教育を含めた男性育休を提言しているそうです。出産や子育ての領域は今後ますます,父親抜きで語れないものになりそうですね。

 さて,皆さん,両親学級はいかがでしょうか? 父親にも受け入れられやすい学級になっていますか? 私の両親学級を見学された方からよく「男性講師という点でパパの食いつきが違いますよね」と言われます。拙著『ワタナベダイチ式! 両親学級のつくり方』にも書きましたが,私が男だから父親から理解されやすいというのは,ないものねだりのような気がします。

 私だって,出産経験があればもっと出産の話をリアルに語れるかもしれませんし,助産師資格を持っていれば医学的な話もできるかもしれません。ギターが弾ければ弾き語りもしたいですし,料理が得意なら離乳食教室で稼げるかもしれません。でも,私は私なので,ないものは諦めて,あるものを武器にするしかないんです。たまたま男に生まれたというだけのこと。父親から理解されやすいように見えるとしたら,それは,そのための努力や工夫をしているんです。

 その一つが,アイスブレイクです。両親学級の中で行うアイスブレイクは,私にとって受講者(女性も含め)との距離を縮める重要な役割を果たしています。皆さんはアイスブレイクを取り入れていますか? もしまだ学級にアイスブレイクを導入していなければ,ぜひチャレンジしていただきたいと思います。

 師長と先輩全員の合意を得ないと勝手なことはできない,と悩む方もいらっしゃいますか? では,学級に組み込む前に,まずはスタッフ間の勉強会や定例ミーティングにアイスブレイクを使ってみてはどうでしょうか? 今年(2020年)2月号の「この本,いかがですか?」のコーナーで書評を書かせていただいた『学生・新人看護師の目の色が変わる アイスブレイク30』がうってつけです。むしろ,この本を読んでいただければ,私のこれから始まる連載など不要かもしれません(笑)。

連載 続・いのちをつなぐひとたち・16【番外編】

あおぞら共和国
  • 文献概要を表示

子どもと家族にとっての本当の幸せを追い求めて

 2019年11月9〜10日,山梨県北杜市白州にて,認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク主催による「“あおぞら共和国”新生児講演会—レジェンドから学ぶ温故知新」が開催された(実行委員長=仁志田博司,副委員長=後藤彰子,事務局長=小口弘毅)。

 会場は難病のこども支援全国ネットワークが運営する「あおぞら共和国」というレスパイト施設で,ここにできて間もない交流ホール「小林登記念ホール」のこけら落としという意味も込められていた。難病や障害のある子どもと家族が気兼ねなく自然の中で遊び,薪(まき)の燃えるロッジで寝泊まりすることができるあおぞら共和国は,3000坪の敷地を有している。実行委員スタッフもチャリティウォークの実施などを通じて建設に尽力してきた。

連載 宝物,教えてください・50

  • 文献概要を表示

 出会いには,いろいろな出会いがあります。人との出会い,ものとの出会い……。私は,高校1年生の冬にこの本に出会いました。

 私の通っていた高校は文科系の大学に進学する人が多く,高校の図書館には医療関係の本はほとんどありませんでした。そのような中,私は図書館でこの本に出会い,助産師の道を選びました。この本には,看護師や保健師,助産師の一般的な仕事について詳しく書かれていました。そしてもう一つ,この本に書かれていたのは,開業助産師についてです。私は,助産師が開業できること,そして地域で根を張って働けることを知り,助産師の仕事の世界が広いことにとても魅力を感じました。

  • 文献概要を表示

はじめに

 日本周産期・新生児医学会は,1965年に創設された日本新生児学会と1983年に創設された日本周産期学会が2003年に合併してできたもので,2005年に初めての合同学会として第41回日本周産期・新生児医学会学術集会が開催された。以後,産科→小児科→産科→小児科→小児外科の順で会長を選出している。現在,会員数は産科領域,小児科領域およびその他(7割が小児外科医)がそれぞれ,5414人,3234人および767人である。

 第55回日本周産期・新生児医学会学術集会は,長野県立こども病院院長で新生児科医の中村友彦先生を会長に2019年7月13〜15日,長野県松本市で開催された。シンポジウム「新型出生前診断(NIPT)が優生思想に流れないために」(表)は学会2日目の14日に松本文化会館で行われた。本稿ではそのシンポジウムの概要をまとめる。

連載 未来の助産師を育てています わたしたちの教育現場・60

  • 文献概要を表示

沿革と「ケアのこころ」を持つ人材育成

 新潟青陵大学(以下,本学)は看護福祉心理学部として2000年4月に開学し,当初から学部の学科教育の選択課程として,定員15人での助産師教育を行っています。2015年,より「高度」な専門的職業人養成の教育型大学として,地域における「知の拠点」となるべく,看護学部と福祉心理学部を分離しました。

 本学の設置母体である新潟青陵学園の歴史は,1900年4月の先駆的な女子の実学教育を目指した裁縫伝習所開設まで遡ります。この伝習所開設には,「助産婦」の名称提唱者の1人でもあり,新潟の助産師教育に情熱を注いだ産婦人科医の高橋辰五郎も多大な貢献を果たしています。これらから,本学の看護専門職(助産師,看護師,保健師,養護教諭)教育は,歴史に導かれたものとも感じます。

連載 りれー随筆・423

歩んだ道と見えてきた世界 角 依美
  • 文献概要を表示

2人の子を出産して

 私が助産師という職業に魅了されたのは,助産学生の頃,兵庫県のマナ助産院でのお産に立ち会う機会を頂いたからだ。「赤ちゃん,こっちやで〜」。赤ちゃんを待つ,永原郁子先生の温かく安心感のある声。薄暗い部屋で,ママは家族に囲まれた穏やかな空気感の中で陣痛の波を乗り越える。あの空気感にあの声で導かれたら,赤ちゃんも安心して生まれてこられるだろう。

 助産院での出産風景は,私まで温かくて幸せな気持ちにさせてくれた。また,幼稚園での「いのちと性」の講演も見学し,助産師の仕事は分娩介助だけではないと知った。愛され一生懸命生まれてきた命,自分も相手も大切に想うことを発達段階に合わせて伝えられた。地域で女性や子どもたちに助産師を身近に感じてもらえるような,助産師になりたいと思っている。

--------------------

目次

バックナンバーのご案内

BOOKS

Information

次号予告・編集後記

基本情報

13478168.74.4.jpg
助産雑誌
74巻4号 (2020年4月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

前身誌

文献閲覧数ランキング(
9月7日~9月13日
)