助産雑誌 70巻9号 (2016年9月)

特集 オキシトシンと妊娠・出産・育児の関係

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オキシトシンは,子宮収縮,射乳などに作用するホルモンとして知られていますが,近年,「愛情ホルモン」や「育児ホルモン」などと表現され,分娩時の助産ケアや育児期にも関係があると言われています。まだヒトに関してはエビデンスがしっかりと確立されているわけではありませんが,オキシトシン分泌を意識して妊産婦にアプローチすることの効果も報告されています。本特集では,オキシトシンと妊娠・出産・育児の“よい関係”を,現在わかっている範囲でまとめてみたいと思います。

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オキシトシンが妊娠・出産・育児にどのように関係しているのか,文献のレビューを中心におまとめいただきました。さらに,助産師が行なうべきオキシトシンを意識したケアとはどのようなものなのかについても解説していただきます。

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哺乳動物の分娩・射乳におけるオキシトシンの働きのメカニズムをまとめていただきました。加えて,近年明らかになりつつある社会行動,特に母性行動を促進するオキシトシンの作用についても解説していただきます。

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お産を進ませるには,産婦を不安にさせない,緊張感を与えない,心地よい温度を保つなど,オキシトシンの作用が深くかかわっています。その関係を,進化医学の視点から,わかりやすく考察・解説していただきました。

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子の行動学的な発達において,幼少期の母子間の関係性,特に母親から受ける母性行動の良し悪しは非常に重要です。母子間の関係性形成にかかわるオキシトシンの働きについて,動物行動学の観点から,現時点でわかっていることをご解説いただきました。

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オキシトシンは子宮収縮,射乳反射などの作用を司るホルモンであることは広く知られています。本稿では,育児期においても重要な働きをもつオキシトシンに注目し,愛着行動と母乳育児を中心に解説します。

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細菌学,免疫学,遺伝学からアプローチした映画「マイクロバース」ですが,出産時に合成オキシトシンが使われ過ぎることへの危惧にも言及しています。そして,その問題が世界規模で人類の将来に影響を与える可能性についても警鐘を鳴らしています。日本語字幕の作成者である筆者が,本作のメッセージをまとめました。

連載 私たちの仕事場・8

特別編

ファン助産院
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フリースタイル出産への取り組み

 今から28年前の1998年当時,日本の助産院はひとつの転機を迎えていた。「ラマーズ法」という決まった呼吸法を指導する時代から,もっと産婦に自分自身の身体から発せられる声を聞いてもらい,「何が楽なことか」は産婦自らに決めさせる「フリースタイル出産」への転換が始まりつつあったのだ。

 ファン助産院(東京都杉並区)は,かつて全国にさきがけてこの新しい方法に取り組んだ。

連載 宝物,教えてください・8

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 私の宝物は,昨年6月13日に逝去された進純郎先生(元聖路加国際大学臨床教授)が,助産師と女性のために残された2冊の本である。それは,先生の遺言状とも言える『助産力』と『子宮力』(ともに日本助産師会出版)だ。

 『助産力』では,あなたが助産師になったのは使命であり,運命なのだと言い切ってくださっている。産科医とは知の共有を。さらに助産師は,川面を渡る風のようにそっと,妊産婦に寄り添う役割があると。女性の産む力(子宮力)を邪魔しないように寄り添う存在であると。普段の助産ケアで迷うことがあるたびに,読み返して欲しい。

連載 『産み育てと助産の歴史』から見える未来・1【新連載】

お産は社会の窓 白井 千晶
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「出産の歴史」との出会いと変わらぬ思い

 「お産は社会の窓」。出産の歴史研究を始めて20年余りになりますが,当初から変わらない思いです。

 私が出産の歴史に出会ったのは大学4年生の時,友人に薦められて読んだ『ある近代産婆の物語』(西川麦子著,桂書房,1997)がきっかけでした。明治期に新しく定められた産婆資格を取得した産婆が,能登の地域社会を改革していくライフストーリーを描いた書籍です。1人の産婆の人生の軌跡からさまざまな生活や歴史がありありと浮かびあがり,「お産は社会の窓だ」と目から鱗が落ちる思いでした。

連載 NTT東日本関東病院CNSが支えた 助産師のチャレンジ・2

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チャレンジの概要

 約1年の準備期間の後に,NTT東日本関東病院(以下,当院)のマタニティヨガクラスが開設されたのは,2011年10月のことでした。妊娠中に行なう運動を通した新たなケア提供のために立ち上がったのは,産婦人科病棟に勤務し日本マタニティ・ヨーガ協会の講習を受けた有志の助産師5名(当時)です。日本マタニティフィットネス協会インストラクター歴10年超の母性看護専門看護師(以下,CNS)がアドバイザー役となり,チームを組みました。

 クラスは,妊娠15週以降で当院の妊婦健診を受けている正常経過の妊婦を対象とし,分娩に向けての心身の準備,仲間づくりを主な目的に,当院の助産師がインストラクターとなり月1回開催しています(料金は1回1000円)。2012〜2014年の平均受講者数はそれぞれ12.7〜15.6人/回でした。

連載 ワタナベダイチ式! 両親学級のつくり方・3

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はじめに

 今回は,両親学級を男女混合で行なう難しさと,参加者間での意見交換を有意義なものにするポイントについてお話ししたいと思います。そこでまず,下記の問いかけをご覧ください。

「父親にとって1人の時間は必要ですか?」

——両親学級に参加している父親からこのような質問が出たら,現場の皆さん方はどう答えますか?

 おそらく模範解答としては,「父親にも1人の時間があっていいと思う。でも,母親にはほとんど1人の時間がないのだから,母親が1人になれる時間をつくってあげることも必要だね」という感じでしょうか。

 女性からの質問だったら,これで成立するかもしれません。ですが,この答えで納得してくれる男性は,おそらくほとんどいません。男の私が言うんだから間違いないです(笑)。

 模範解答なのになぜ納得できないのでしょうか。それは,模範解答なんて世の父親は端から知っているからです。ですから,その質問をしてくれるということは,模範解答ではなく,心から納得できる答えを知りたいんですよね。

連載 ほんとうに確かなことから考える 妊娠・出産・子育てのはなし・13

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今回のテーマ

 子どものメンタルヘルスに関する第2弾として,今回は発達障害を取り上げる。文部科学省が2012年に発表した調査では,知的発達に遅れはないものの学習面または行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は6.5%と報告された。30人クラスとすると,クラスに2人前後いることになる。これらの児童生徒のなかには,発達障害の可能性がある児童生徒も含まれていると考えられ,適切な理解と支援が望まれている。

 発達障害とは,先天的に脳の発達が通常と異なるために,比較的幼少期からその特性がみられることが多い。脳機能のどの領域が影響を受けているかによって,異なる特性が現れ,それらの特徴によっていくつかの種類に分類されている。代表的な例では,自閉症スペクトラム,注意欠如・多動性障害(ADHD),学習障害などが挙げられる。特性は個人差が極めて大きく,また成長とともにその多様性も増す。著明な研究者が発達障害だったという話題は,多くの人が耳にしたことがあろう。このように第一線で活躍し歴史を変えるような偉業を成し遂げた先人もいれば,身辺自立が難しく支援を受けながら生活している人もいる。

連載 助産研究をしよう 基本を押さえて臨床で活かす!・9

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 今回もデータ収集と分析の続きです。前回は,リサーチクエスチョンをさらに短いキーワード(概念)で表現することの意味や,妥当性と信頼性とは何かについて説明しました。今回は,質的・量的研究のデータ分析の法則や実際の手順のコツについてお話しします。

連載 未来の助産師を育てています わたしたちの教育現場・19

天使大学大学院 助産研究科
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はじめに

 天使大学は,キリスト教精神に基づくカトリック大学として,「愛をとおして真理へ」を建学の理念としています。その理念のもと,助産研究科は,キリスト教的人間観,価値観および世界観に基づき,豊かな人間性と卓越した知識と技能をあわせもつ高度な専門職業人である助産師および助産教育指導者を育成しています。

連載 りれー随筆・381

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小学5年生の長男が私に聞いてきた。

 「お母さん,赤ちゃんはどうしてできるの?」

 私は,きたきた,とうとうこの日がやってきたと思いつつ,半分ドキドキ,半分緊張を隠しながら,「それはね……」と切り出した。が,しかし。その次の言葉が出てこない! 結局私はこの時,長男に「どうして赤ちゃんができるのか」教えることができなかった。

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出産をした後の実母のケアのほか,特別養子縁組で新生児を迎える養親も産院を訪問します。

助産師とどのようなかかわりがあるのでしょうか。

全3回の予定でお送りしてきた特別養子縁組の現状も今号で最後です。

今回は産後ケアについてまとめました。

この本,いかがですか?

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深く広く生と死の傍らにいた先輩助産師の息遣いが聞こえる

 テレビドラマの出産シーン監修を請け負うようになって14年になり,かかわった作品も30を超えた。「平安時代のお産なんですが,何があったらそれらしいですかね」とか「昭和30年代と10年前と現在と,それぞれの時代のお産を象徴するようなセリフがほしいんですが,どんな言葉がいいですか」などという要求に応えるため,お産の歴史に関する本を何冊も読み込んできた。それらの本と比べても,本書に対しては「圧巻」という文字が浮かんでくる。なにしろ「近代化の200年」である。取り上げ婆から産婆,助産婦,助産師と,名称も職域もダイナミックに変化した激動の時代を,14名の多彩な執筆者が解説している。その面々とは歴史学研究者,社会学研究者,助産学研究者,ジャーナリストなど,学問的な背景も一様ではない。さまざまな角度から見つめられたにっぽんのお産が,そこにある。

 若い世代には,日本とアメリカが戦争をしていた事実にピンとこない人がいるという。日本史が選択科目で履修しなかったり,時間切れで近現代史はかけ足だったりすることが要因ではないだろうか。

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次号予告・編集後記

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助産雑誌
70巻9号 (2016年9月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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