連載 ほんとうに確かなことから考える 妊娠・出産・子育てのはなし・13
発達障害への介入
森 臨太郎
1
,
森 享子
2
1国立成育医療研究センター研究所政策科学研究部
2子ども 心と育ちのクリニック
pp.764-770
発行日 2016年9月25日
Published Date 2016/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200595
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今回のテーマ
子どものメンタルヘルスに関する第2弾として,今回は発達障害を取り上げる。文部科学省が2012年に発表した調査では,知的発達に遅れはないものの学習面または行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は6.5%と報告された。30人クラスとすると,クラスに2人前後いることになる。これらの児童生徒のなかには,発達障害の可能性がある児童生徒も含まれていると考えられ,適切な理解と支援が望まれている。
発達障害とは,先天的に脳の発達が通常と異なるために,比較的幼少期からその特性がみられることが多い。脳機能のどの領域が影響を受けているかによって,異なる特性が現れ,それらの特徴によっていくつかの種類に分類されている。代表的な例では,自閉症スペクトラム,注意欠如・多動性障害(ADHD),学習障害などが挙げられる。特性は個人差が極めて大きく,また成長とともにその多様性も増す。著明な研究者が発達障害だったという話題は,多くの人が耳にしたことがあろう。このように第一線で活躍し歴史を変えるような偉業を成し遂げた先人もいれば,身辺自立が難しく支援を受けながら生活している人もいる。
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