助産雑誌 62巻12号 (2008年12月発行)

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特集　あらためて出生前診断を勉強してみませんか

扉 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1109

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近年，女性の出産年齢の高年齢化がすすみ，出生前診断を受けるか受けざるべきかと，悩む妊婦が増えていると聞きます。また，助産外来などで妊娠初期から妊婦のケアや相談にあたる助産師は，出生前診断によってもたらされる結果の対応に，困難を感じることが少なくないようです。特集では，出生前診断の正しい知識を理解したうえで，当事者への対応と助産師の役割を考えます。

出生前診断の基礎知識ノート寺内　公一 , 久保田　俊郎 , 小笹　由香 , 吉田　雅幸 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1110-1114

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妊娠前半期に行なわれる，主な出生前検査である，絨毛・羊水検査，母体血性マーカー検査について解説していただきます。

超音波検査のNTとは何か種村　光代 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1116-1123

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妊婦初期から行なわれる超音波検査は多くの情報をもたらします。超音波検査のNT検査とは何かや，なぜ，超音波検査のNT検査が悩ましいのかを解説していただきます。

［実録］遺伝カウンセリングの実際小笹　由香 , 窪田　智子 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1124-1133

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東京医科歯科大学附属病院・遺伝子診療外来のスタッフの小笹由香さんは，さまざまな遺伝カウンセリングに応じています。今回はそのなかでも，高齢妊娠での相談として，窪田智子さんを妊婦と設定させていただき，遺伝カウンセリングの実際を再現していただきました。

遺伝カウンセリングを受けて窪田　智子 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1134-1136

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実録―遺伝カウンセリングの実際では，筆者が妊婦役になりカウンセリングを受けていただいたが，その感想も妊婦役になりきって述べていただいた。

遺伝子診療外来での関わりから見えてきた助産ケア小笹　由香 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1137-1141

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助産師として遺伝カウンセリングに関わっている筆者は，分娩時の助産ケアと遺伝子診療外来でのカウンセリングの実践には共通点があるという。それはどのような場面においても，山登りを一緒に歩むシェルパのように，没入しない，抱え込まない，対象者の選択を支持することを忘れずに，いのちに向き合うことだという。

出生前検査に関する決定のプロセスを女性と共有すること―助産ケアの可能性辻　恵子 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1142-1147

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助産師として，出生前検査を考慮する女性のケアにかかわるなかで感じている決定のプロセスにかかわることの重要性と，対話を基盤とするケアのもつ可能性について述べていただいた。

出生前診断―基礎教育から継続教育へ中込　さと子 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1150-1155

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助産師は，遺伝相談や遺伝カウンセリングの専門職ではないが，出生前診断に関して悩む夫婦にケアやサポートを担ってきた。ここでは，出生前診断に対応できる助産師の求められる能力について述べていただいた。

クローズアップ

―杏林大学医学部付属病院―危険予知意識・能力強化のための1分間トレーニング高崎　由佳理 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1158-1162

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杏林大学医学部付属病院看護部では，2005年より危険予知トレーニングへの取り組みが行なわれている。なかでも産科病棟では，産科領域に特徴的な危険に対して感受性をより一層高めるべく，2007年4月から，危険予知意識・能力強化のための「1分間トレーニング」を開始した。

連載　密着フォト・ルポ　助産師のいる風景

ねりじょはうす Luna 船元　康子 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1103-1105

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地域に根ざして，じっくりと女性や子どもにかかわる「ねりじょはうす Luna」の皆さん。

助産師1人ひとりの能力を生かしながら，当施設の活動はより一層広がっていく。

連載　チャレンジ！自立と責任・11

―杏林大学医学部付属病院（東京都・三鷹市）―バースセンター始動！総合周産期母子医療センターの新しい役割河合　蘭 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1170-1176

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　医師不足のなかでも，地域の医療を守っていかなければならない総合周産期母子医療センター。東京都三鷹市の杏林大学医学部付属病院(以下，当院)は，2008(平成20)年4月より，助産師主体の出産を提供するバースセンターを試験的に開設している。

　当院は15床もあるNICUを持ち，これは都内に9か所ある総合周産期母子医療センターのなかでも最大規模。しかも，23区とは全く違って病院が少ない多摩地域に位置し，東京の西半分全体から頼られている存在だ。東原英二院長は言う。

連載　飲んで大丈夫？やめて大丈夫？これだけは知っておきたい薬の知識・9

甲状腺疾患河口　聡美 , 玉川　初美 , 山内　愛 , 村島　温子 , 中島　研 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1178-1184

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　連載第9回は，甲状腺疾患について取り上げます。まずは，甲状腺機能異常について知識を整理しておきましょう。

　甲状腺ホルモンは基礎代謝の調整を行なっており，ほとんどの臓器に甲状腺ホルモンの受容体が分布しているため，甲状腺機能異常が起こると全身諸臓器に症状が現れます。このホルモンは，脳にある下垂体ホルモン(TSH)によって調節されており，甲状腺ホルモンの分泌が亢進されるとTSH値は低値になり，分泌が低下するとTSH値は高値になります。

連載　分娩経過曲線のヒミツ・12【最終回】

経産婦を対象とした自然分娩症例の分娩経過曲線の作成立岡　弓子 , 高橋　由紀 , 八木　友美 , 清水　三紀子 , 山下　恵 , 山口　江利子 , 大橋　幸美 , 伊藤　久美子 , 山口　香苗 , 内山　綾子 , 野田　みや子 , 小栗　季里子 , 川村　彩嘉 , 平井　里加 , 山田　安希子 , 吉崎　綾 , 藤田　まり子 , 鈴木　心佳子 , 仲井　千晶 , 山田　歩美 , 濱田　由美 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1185-1189

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　第10回・第11回では，新たに作成した初産婦の分娩経過曲線について紹介しました。フリードマン曲線とは異なる特徴に，「そうそう！　自然分娩だとこんなふうに経過する！」と実体験と合わせて感じていただけた方もいらっしゃるのではないでしょうか。この研究に取り組みたいと考えたとき，私には「フリードマン曲線が当たらないのはなぜだろう？　どうして当たらないのに，それをアセスメントの根拠にして薬剤が投与されるのだろう？」といった研究疑問がありました。そして研究協力者の方々と同じ志を抱き，この研究がはじまりました。

　半世紀以上も前に公表されたフリードマン曲線，それは産科学や助産学，母性看護学の領域にとってかけがえのない知見であり，その貢献は大きいものです。必要な曲線だからこそ，分娩経過曲線として存在し続け，いつの間にか予測曲線として認識されてきた経緯があるのでしょう。産婦さんにより分娩経過は異なりますが，予測曲線には，助産診断のアセスメントツールとしての意義があると思うのです。

　フリードマン曲線に代わる曲線を助産師が作り出す，そんな機会を与えてくださった方々や研究調査にご協力いただいた方々に深く感謝しています。いよいよ連載最終回，経産婦を対象とした分娩経過曲線についてご紹介していきましょう。

連載　バルナバクリニック発ぶつぶつ通信・57

微笑まなければ生きていけない冨田　江里子 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1192-1193

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生き抜くために微笑む子ども

　貧困で特に他人の世話にならなければ生きられなかった子たちは，いつでも微笑むくせがある。生き抜くために自然と身についた知恵なのだろう。しかし子どもらしく感情に任せて泣いたり，甘えたりできない子が本当に幸せなわけはない。

　今から3年前，里子で育てられているラックが診療所にやってきた。その変わり果てた姿に私は驚きの声をあげた。ラックは苦しいなか，微笑んでいた。

連載　りれー随筆・288

自宅と助産院，2つのお産を振り返って宮内　順子 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1194-1195

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自宅(実家)出産

　第一子の出産場所を自身の実家に決めたのは，神戸のある助産院で当直をしていた時，これこそ本来あるべき形だと感じられるお産に出会えたことが大きかったと思います。家族が見守るなかで静かに流れる時間，助産師のあたたかな声と雰囲気，痛みながらも幸せそうな笑顔の産婦。自由な体位で，内診もほとんどなく，医療介入も会陰保護さえない。「私もあんな自然なプロセスを大事にしたお産がしてみたい。産む母親の心身が健康であれば赤ちゃんは自分の力で出てくるのだ。健康であれば家でも産めるはず」そう思ったのです。

　しかし，途中で課題も出てきて，お腹の張りは休息と冷え対策，貧血は食事，逆子は体操やつぼ押しでなんとか改善されました。もともと健康であっても，正常から逸脱しないための努力が必要であることを痛感しました。毎日散歩を1～2時間行ない，お産に対する不安も少なく，心も身体もいい状態で迎えられたと思います。

連載　月便り・12【最終回】

月に生かされて志賀　勝 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1196-1197

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　連載してきた月便りも最終回を迎えました。この連載を通じてお伝えしたかったことをひとことでまとめると，月はとてもポジティヴな存在ということでしょうか。もし月がなかったとしたら，その地球環境では生命体はとても耐えられないという有名な科学者の話がありますが，これは必要条件としての月を捉えた重要な側面。しかし，これだけだったらネガティヴな発想に留まってしまうでしょう。月があることを生きる条件として生命体は生きてきたのですから，月のリズムに積極的に乗ろうとすることで生はより充実したものになり得る，というポジティヴな発想こそ，現代の私たちには特に必要だと思われてならないのです。

　社会は今ネガティヴな事象であふれかえっています。私たちの心身がそのネガティヴさに占められてしまったら，生命力や心は萎縮するばかり。月(や自然)に生かされている，という言い方は使い方によっては静態的で観想的な生命観にもなりかねないものですが，私の場合はもっぱらポジティヴな生命観。

この本、いかがですか？

助産師のためのフィジカルイグザミネーション水上　尚典 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1163

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「助産師にはもっと活躍して欲しい！」と私は常々思っている。

　英国で行なわれた研究を紹介する。研究目的は助産師が責任を持って妊娠分娩を管理した場合，妊娠予後はどうなるか？である。2,734名のローリスク妊婦が無作為に2対1の割合(1,819名と915名)で助産師管理群と医師管理群に分けられた。医師管理病棟と助産師管理病棟はわずかに15mしか離れてない状況での研究である。

　結果，50％の妊婦は妊娠中あるいは分娩中に医師管理群となった(異常出現のため)が，46％の妊婦は助産師管理のまま分娩が終了した。予後は当初振り分けられた1,819名(助産師管理群)と915名(医師管理群)の2群間で比較された。早産率，自然経腟分娩率，帝王切開率，吸引鉗子分娩率，周産期死亡率，NICU入室率のいずれにも2群間で差は認められず，分娩中の妊婦自由度は助産師管理群で高かった。

トピックス

「SIDS家族の会」近畿主催のセミナーを開催して田上　克男 62巻12号 , 2008年12月 , pp.1164-1165

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　平成20年8月10日，滋賀県大津市にて，赤ちゃんの生と死にかかわる専門職の方たちを対象に，SIDS家族の会近畿主催のセミナーが行なわれました。

　プログラムは，滋賀県保健所宇野保健師から「滋賀県の現状と取り組み」，母性内科医の木戸口医師から「寄り添う医療からみた時間と生命　そして絆」と題してお話があり，続いて「死産体験」「SIDS体験」の体験談を当会ビフレンダー2人が話し，その後ある喪失家族にかかわったケースを，滋賀医科大学病院の臼井助産師がお話しするというものでした。

基本情報

助産雑誌
62巻12号
(2008年12月発行)

電子版ISSN：1882-1421 印刷版ISSN：1347-8168 医学書院

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