感染と抗菌薬 23巻3号 (2020年9月)

特集 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)―闘いの最前線を知る

◉序文~COVID-19を正しく理解し,正しく備える~

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 2019年末に出現し,またたく間に世界的なパンデミックに発展した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,多数の死者を伴いながら流行中である。これに正しく備えるためには正しい理解が必要なのは言うまでもない。

◉新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の臨床症状

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Summary

 2019年12月に中国の武漢市で出現した新型コロナウイルスが世界中に拡がり,社会的に大きな関心を呼んでいる。この新たな感染症について,多くの知見が集まりつつある。しかし依然として,この感染症については不明な点が多い。そのため,科学・医学雑誌上での論文発表に加えて,ウェブサイト上では玉石混交の様々な情報が,日々目まぐるしく更新される状態が続いている。本稿では,主に論文報告されている知見に基づき,新型コロナウイルス感染症の臨床症状を中心に,これまでわかってきたことを概説する。

◉新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査

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 COVID-19のパンデミックは,検査体制に強烈に襲い掛かった。日常診療とはかけ離れた品質で検査を開始せざるを得ない状況であること,必要物品に海外流通の影響が出ること,いやおうなしに求められる検査結果の解釈力など,未だに整理できていない課題が多い。遺伝子検査の国内外事情や,PCR検査の具体的な流れやピットフォール,抗原検査の性能,情報整理上の課題など,現状を確認する。

◉新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗ウイルス薬―臨床試験の現状を知る

①ファビピラビル 渡辺 彰
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 ファビピラビルは,インフルエンザウイルスをはじめとする多くのRNAウイルスのRNAポリメラーゼ活性を阻害する薬剤であり,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因病原体であるSARS-CoV-2に対する抗ウイルス活性は,エボラウイルスに対する活性と同程度と報告されている。2020年7月現在,薬事承認を目指した臨床試験(治験)を含む計3本の臨床試験が進行中であるが,COVID-19患者の発生が2020年4月初めをピークとして減少してきたため症例の集積が遅れており,詳細な成績の報告はまだである。

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 抗SARS-CoV-2薬の中で有効性が多数症例で評価されている薬剤にヒドロキシクロロキン(HCQ)とレムデシビルがある。HCQの臨床効果を大規模で評価したRECOVERY試験では28日目の死亡率はHCQ群では25.7%であり対照群では23.5%と有効性は認められなかった。レムデシビルは核酸類似体であり広くRANウイルスの複製を阻害すると考えられている。ACTT-1試験では「回復までの時間の中央値」がレムデシビル群11日・プラセボ群15日で統計的有意差が認められ,初めて明確に抗ウイルス効果が認められた薬剤であった。しかし重症例での有効性はまだ不明確である。

◉新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染対策

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 COVID-19は市中で流行する。そして,感染者が病院に立ち入ったり,搬送されることによって院内感染も発生する。病院には脆弱な患者が多数入院しているため,院内感染によるダメージは大きい。したがって,市中感染対策と院内感染対策の両者を充実しなければならない。市中感染対策では「ユニバーサル・マスキング」「身体的距離の確保」「『3密』の回避」「手指衛生」「環境清掃」が重要であり,院内感染対策では標準予防策に加えて,飛沫予防策と接触予防策を実施するが,エアロゾル産生処置を行うときには空気予防策を併用する。

◉高リスク患者の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)―臨床経過・治療・予防まで

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Summary

 高齢者施設はCOVID-19のハイリスク者が多く,クラスターにもなりやすい。しかし,標準予防策が全く行えていないところも多い。流行が起こってしまうと単一の解決策はなく,現場で使用可能なリソースをふまえつつ,多職種で対応を検討するしかない。より重要なのは平時の標準予防策の徹底,特に手指衛生とおむつ交換時の接触予防策である。感染対策担当者は現場のレベルに合わせて指導をする必要がある。

②基礎疾患のある患者 山﨑 善隆
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Summary

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は新たな呼吸器感染症として世界に拡大している。若年者は無症状あるいは軽度者が多くみられる一方で,高齢者あるいは基礎疾患を有する人は重症化する人の割合が高い。胸部CTは多区域性のスリガラス陰影が特徴で,また無症状の患者でも限局的なスリガラス陰影が認められることがある。PCR検査で陽性と判明すると勧告入院となる。中等症から入院後7日目頃に呼吸状態が急速に悪化して重症化するため,酸素療法や侵襲的人工呼吸器管理となる。有効な医薬品やワクチンがまだない状況であるが,院内感染対策を十分に行い,中等症,重症患者に対応していかなければならない。

◉新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発の現状と展望

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Summary

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発は,世界中でこれまでにない速さで進んでいる。本稿では,COVID-19ワクチン製造のプラットフォームと主な開発国・企業,プラットフォーム別の特徴と課題,国内外で開発試験が行われている主な候補ワクチンの2020年7月現在の状況をまとめた。

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感染と抗菌薬
23巻3号 (2020年9月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1344-0969 ヴァン メディカル

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