日本糖尿病教育・看護学会誌 15巻2号 (2011年9月)

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 本研究の目的は,開発中の糖尿病セルフケア能力測定ツール(以下,IDSCAと略す)の信頼性・妥当性を検討することである.セルフケア能力測定ツールの開発は,第1段階:メタデータ分析による糖尿病患者セルフケア能力の要素の抽出,第2段階:糖尿病患者セルフケア能力測定項目の作成,第3段階:専門家会議に基づくIDSCA(試案)の作成,第4段階:IDSCA(試案)の試用による内容妥当性と実用可能性の検討,第5段階:試用に基づくIDSCA(修正版)の信頼性・妥当性の検証の5段階で進めており,本研究は,その第5段階となる.

 368名の糖尿病患者に調査を行った結果,8要素77項目のIDSCA(修正版)は,因子分析により,第Ⅰ因子【自分らしく自己管理する力】12項目,第Ⅱ因子【自己管理の原動力】8項目,第Ⅲ因子【モニタリング力】6項目,第Ⅳ因子【応用・調整力】9項目,第Ⅴ因子【知識獲得力】7項目,第Ⅵ因子【サポート活用力】5項目,第Ⅶ因子【ストレス対処力】7項目,の合計7因子54項目に洗練した.この54項目のIDSCAのChronbachのα係数は0.936で内的整合性が保たれ,再検査信頼性係数は0.725で再現性が確認された.本庄氏の慢性病患者のセルフケア能力の質問紙との相関係数は全体で0.645となり収束的妥当性が支持されたが,基準関連妥当性の指標となる3ヵ月後のHbA1cとの相関係数は-0.145と小さな負の値に留まった.

 今後は,妥当性の確認を継続するとともに,看護援助の効果を測定するツールとして活用するために,看護援助前後のIDSCAの得点の変化についての検討が必要と言える.

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 本研究は,2型糖尿病とともにある人の連続性(Continuity)を明らかにすることを目的とし,外来通院中の5名を対象に面接調査を行い,その逐語内容を質的統合法(KJ法)により分析した.その結果,2型糖尿病と共にある人の連続性は,【変化が実感できないことによる現状把握の困難さ】,【身体状態の不確かさからくる将来を見据えることの不安定さ】,【人生上の出来事によって引き起こされた自己の再考】という現在-未来の不連続の中で,【楽しみの実感を通した望むあり方の志向】,【身体状態悪化の回避と健康の維持】,【生活調整とのすりあわせによる習慣の維持】といった形で連続性を保持し,この全体が【自己を超えた意識の広がり】へとつながっているということが明らかとなった.この結果より,2型糖尿病とともにある人が未来を見据え望むあり方に沿って生活調整出来ることを支援する際,連続性をともに見いだしていくことが重要であることが示唆された.

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 本研究の目的は,糖尿病患者の経験を尊重した食支援に向けた示唆を得るために,弁当箱法を活用した糖尿病患者の食生活の目安を明らかにすることである.研究参加への同意が得られた糖尿病患者21名に対して,2か月から12か月間,弁当箱法を活用して成人教育の考え方に基づく支援を行った.支援終了に至った13名(男性5名女性8名)の援助記録をデータとして,質的帰納的に分析を行った.その結果,弁当箱法を実施した患者の食生活の目安は【3:1:2の比率への納得の度合い】【弁当1食を“ちょうど良い”と感じること】【日々の暮らしで弁当箱法を行う自分と他者の至適距離感】【弁当箱法を行うことが自分の意向に適うこと】【弁当作りがいつもの食生活のスタイルにそぐうこと】【弁当の見た目からの満足感】が抽出された.本研究結果は,医療者が食生活を営む主体としての患者と患者の食生活の多様性への理解を深め,患者自身が食生活の目安を洗練させていく学習過程を促す個別支援の助けとなる.

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 本研究の目的は,弁当箱法を実施した患者の経験に焦点をあてた,患者の食生活の目安形成に関する学習を促す看護師の支援を明らかにすることである.研究参加への同意が得られた糖尿病患者21名に対して,2か月から12か月間,弁当箱法を活用して成人教育に基づく支援を行った.患者の学びや身体・食生活に良い変化がみられた13事例の支援内容を質的に分析し,【弁当箱法のルールから実際にやれる方法へ照合する】,【心身に負担のない弁当箱法の取り組み具合を探り認めて支持する】【弁当箱法のルールに照らした評価を伝達する】,【おいしい食事づくりに関心を寄せて対話する】,【弁当箱法を基軸として食生活全体の見方・工夫へと話題を広げる】,【弁当箱法の実践結果と身体の変化を照合する】の6つのカテゴリーを抽出した.看護師は,弁当箱法の実施を促し,様々な目安を用いて弁当箱法を実施した経験と食生活全体と糖尿病を結びつけることにより,食生活の見方や整える工夫についての患者の主体的学習を支援できると考えられた.

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 研究目的は,1型糖尿病患者のインスリン自己調節の実態とインスリン自己調節と負担感および血糖コントロールとの関連を明らかにすることである.

 1型糖尿病患者100名を対象に自記式質問紙調査を実施した.インスリン自己調節の実施の有無で「自己調節群」と「非自己調節群」に分け,さらに自己調節群を「毎日調節群」と「適宜調節群」に分けた.「自己調節群」は89.0%で,年齢が有意に低かった.「毎日調節群」は47.2%,「適宜調節群」は52.8%であった.HbA1cは「毎日調節群」が有意に低かった.糖尿病に関する負担感を測定するPAID得点はいずれの群にも有意差はなかった.自己調節を行って良かったことは,「気持ちが楽になった」と80.7%が回答した.自己調節の習得方法は,「医師から指導をうけた」(80.4%)と「試行錯誤して経験を積んだ」(76.5%)が多かった.患者の「試行錯誤」を支援する看護師の援助の必要性が示唆された.

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 本研究は,糖尿病を持つ患者への看護を実践する上での困難の実態とその関連要因を明らかにすることにより日本糖尿病療養指導士の認定資格を有する看護師(以下,CDEN)の役割について示唆を得ることを目的とし,A大学病院に勤務する病棟看護師を対象に質問紙調査を実施した.回答の得られた436名(83.5%)の分析の結果,多くの看護師が糖尿病看護に関心や必要性を感じていたが,知識や実践において困難を抱え,また,実践に対する否定的な思いを抱えている現状が明らかとなった.これらの困難を対象者の特性の違いで検討した結果,知識や実践に対する困難は,卒後経過年数が短い人で高く,糖尿病専門病棟での勤務経験がある人で低かった.また,勤務病棟にCDENがいる人は,患者との目標共有や本音を引き出すことに難しさを感じ,実践に対する否定的な思いを持っていた.以上より,CDENの役割として,CDEN個々の活動に加えて,糖尿病を専門としない部署も含めた病院内全体を視野に入れた体制作りの必要性が示唆された.

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 本研究の目的は,描画を用いた語りから2型糖尿病高齢女性の食卓の変容について明らかにし,この方法を看護援助に用いるための示唆を得ることである.

 方法は,2型糖尿病歴30年の70歳代の女性から,「これまでの生活の中で営んできた食卓」について,描画の記入と語られた内容をデータとし,出来事の経過や時間に添って3場面に分け,語りのまとまりを中心的主張が一つだけ入るように要約し,類似で集約してテーマを抽出した.結果,食卓は「子どもの頃の食卓」「賄いの仕事を始めて糖尿病が診断されてからの食卓」「弟宅に同居した現在の食卓」の3つの場面に変容したが,その中で変わらず一貫したものとして,食事をつくることの価値が表れた.これは,食事におけるその人らしさを示すものとなり,描画を用いたナラティヴが表出を容易にしたと考えられた.並びに,食事療法を,食卓の営みから捉えることの重要性として看護援助への示唆を得た.

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 糖尿病看護認定看護師・慢性疾患看護専門看護師を対象に,所属施設で行われている2型糖尿病患者への教育プログラムに関する実態調査を実施した.93名(53.1%)の回答が得られ,糖尿病看護の平均経験年数は10.9(SD3.5)年であった.提供している糖尿病教育プログラムは1週間以上の入院プログラムの実施率が73名(78.5%)と最も高く,80%以上含まれる内容は病態に関する知識,薬物療法,合併症の予防と対処,食事療法,運動療法およびフットケアであった.心理・社会面への働きかけは必要があれば実施という回答の割合が高かった.プログラムが多様化・個別化し,集団教育と個別教育を組み合わせて実施することが一般的になっていた.看護師が個別的・継続的に介入し,連携がとれている施設では能動的な学習方式を採用する傾向がみられた.アセスメントツールを活用している割合は28名(30.1%),心理的適応や個人全体を評価する指標を用いてプログラムの評価をしている割合は10%-20%台と低く,学習方式の充実とともに今後の課題であると考えられた.

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 本研究は,外来と病棟を含めた病院全体の糖尿病療養指導体制を整える資料を得るために,病棟に勤務している看護師が,糖尿病患者の看護に対してどのような困難を抱えているかを明らかにしたいとアンケート調査した.

 糖尿病を合併している患者は,全体の18%で複数病棟に分散していた.そのうち,インスリン注射治療患者は55%,経口薬治療患者は30%,食事療法のみは15%だった.

 看護師の関わりは,全体の76%で,入職1年目より22%が多く関わっていた.そして,病棟看護師が抱える困難や問題は,【患者との関わりで感じる困難】と,【看護師が感じる体制上の問題】の2つに大別できた.そして,【患者との関わりで感じる困難】には,『患者に教えられないジレンマ』『指導しても理解を示してもらえない』『患者への不満』『インスリン注射指導時の困難さ』『血糖測定時の困難さ』『複雑な治療指示への対応の困難さ』があった.また,【看護師が感じる体制上の問題】では,『指導時間を十分に確保できない』『支援看護師との連携不足』『医師との連携不足』『勉強の機会の不足』に分類された.

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日本糖尿病教育・看護学会定款
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日本糖尿病教育・看護学会誌投稿規定
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編集委員(Editorial Board)
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編集後記
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基本情報

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日本糖尿病教育・看護学会誌
15巻2号 (2011年9月)
電子版ISSN:2432-3713 印刷版ISSN:1342-8497 日本糖尿病教育・看護学会

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