胃と腸 36巻2号 (2001年2月)

今月の主題 Crohn病診断基準の問題点

序説

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 新しいCrohn病診断基準(案)が作成されたのは1995年であるが,本誌で取り上げられたのは1996年3月であるから5年ぶりの再登場ということになる.更にその前の基準提案が今から25年前であったことを考えると,今回は随分早い時期に再考されたことになる.すっかり忘れてしまっていたが,前回(1996)の特集のときにも筆者が序説を書いている.その中で“将来,不都合な点が見つかれば更に改訂すればよいと思っている”と述べている.したがって今回の企画も,何か不都合な点があるか否かを検証するのが目的であると解釈してよいだろう.

 前回の序説でも述べたごとく,Crohn病の診断能力はこの30年の間に飛躍的に進歩・発展した.かつてはごく一部の専門家のみが知っていた病気が,潰瘍性大腸炎ほどではないが,今や一般の臨床家でも容易に診断可能なcommon diseaseになったと言える.この間の厚生省特定疾患難病調査研究班の存在と,不備ながらも診断基準が存在したことの意義は大きく,Crohn病に対する診断能向上を啓蒙してくれたと思う.ほとんどゼロに近い情報と知識をもとに,欧米のそれを参考にして作成されたのが最初の診断基準だとすれば,その後20年間のわが国における情報と知識の蓄積に基づいて作成されたのが,1995年提案の第2の診断基準であるから,その内容と質には自ずと差があるのは当然であろう.しかし,もしかすると,果たした役割は最初の不備な診断基準のほうが大きかったのではないかと思う.皆がCrohn病について無知な時代には,たとえ不備であっても診断基準は灯台の灯のごとき役割を果たしたに違いないが,Crohn病がまれな疾患でなくなった最近では,Crohn病の世の中が明るくなったようなもので,灯台の灯は明るく輝いては見えないと思われるからである.

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要旨 Crohn病(CD)の適切な診断基準を検討するために,欧米の診断基準が記載されている文献8編を調べその問題点を指摘し,本邦の診断基準(案)の問題点にも考察を加えた.その要点は以下のとおりであった.(1)欧米の診断基準はその多くが,①臨床症状,②X線,内視鏡所見,③手術時肉眼所見,④病理組織所見より成り立っていた.(2)自験単純性潰瘍10例を欧米の診断基準に当てはめてみると全例がCD確診例となった.その原因は欧米の診断学の基準に非特異的な臨床症状が取り上げられていること,CDに特徴的な縦走潰瘍などのX線,内視鏡所見が取り上げられていないことなどであった.逆にアフタ様潰瘍のみから成るCDの多くは欧米の基準を満足しなかった.(3)本邦の診断基準(案)のうちアフタのみのCDの診断基準(案)は除外規定を設けて再考されるべきである.また,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫についての病態が再検討されねばならない.またindeterminate colitisの実態を明らかにするには直腸に連続性びまん性病変を有するCDの病態を検討する必要がある.(4)欧米と異なり,X線,内視鏡検査が普遍的に行われている本邦では,形態診断のレベルを上げることが正確な診断基準の確立につながると考えられる.

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要旨 Crohn病(CD)の診断基準改訂案の問題点を明らかにするために,当科初診時に一連の検査で確診がつかなかったCD10例の臨床像の検討を行った.その内訳は,臨床的にCDを疑わずに小腸検査が施行されなかった3例,前医での潰瘍性大腸炎の診断を鵜呑みにして深部大腸~小腸の検索が不十分だった4例,消化管にアフタ・小潰瘍を有し,原因不明熱あるいは肛門部病変を認めるものの非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めない3例であった.難治性痔瘢などの肛門部病変はCDに高率に合併する最も特徴的な病態の1つで,初発症状としても多くみられるため,診断基準への復活を検討してもよいと思われた.特に初期病変のみのCDの早期診断に寄与する可能性が示唆された.

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要旨 Crohn病が疑われたが,確定診断が困難であったアフタ性大腸炎症例の臨床経過を検討し,現在のCrohn病診断基準における問題点を探った.Crohn病診断基準の副所見を有する疑診例では7例中5例,副所見を持たない慢性アフタ性大腸炎例では8例中1例がその後の経過観察によりCrohn病の確診を得られており,現行の診断基準の有用性が確認された.確定診断の根拠として非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の検出によるものが多数を占めていたが,生検個数あたりの肉芽腫検出率は連続切片を作製しても必ずしも高くなかった.また,Crohn病確定診断が得られた5症例のうち4例は何らかの肛門症状の既往を持ち,2例では経過中に再び肛門病変の出現を認めた.初期病変から成るCrohn病の確定診断には,肉芽腫検出率を向上させる工夫や他の補助診断法の開発,診断基準の項目として肛門病変の再検討が必要と考えられた.

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要旨 臨床的にCrohn病と診断したが,新しいCrohn病診断基準で確診・疑診とされない症例は94例中5例であった.縦列傾向や上部消化管病変を認めず肉芽腫も検出されないアフタのみの症例が3例で,大腸に大型不整形潰瘍の多発がみられる症例が2例であった.前者では全例に肛門部病変がみられ栄養療法が著効した.今後このような症例の増加が予想されるためこれらを疑診となるようにすべきと考えられる.そのためには診断基準に肛門部病変を入れることが最もよいと思われた.現在のところ後者は文献的にほとんど報告がなくまれと思われるため,大腸に大型不整形潰瘍の多発を示すCrohn病が存在することを附記する程度でよいと考えられた.また,主要所見,副所見の問題点についても考察した.

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要旨 肛門科の立場から,Crohn病の診断に有用な,Crohn病に特異的な肛門病変がいかなるものであるかを述べ,次いでCrohn病診断基準(案)についての私見を述べた.①Crohn病に特異的な肛門病変は浮腫,腫脹の著明な多発するskin tag,排便時のとう痛の乏しい多発する創部の汚い裂肛,そして裂肛や潰瘍を原発口とする30歳未満の若年者にみられる複雑な瘢管走行をする多発する痔瘢で,以上の肛門病変は単独で存在するより混在して存在する点に特徴がある.②Crohn病の診断基準(案)で肛門病変は診断の基準に入れられていないが,Crohn病に特有な肛門病変は診断の基準において主要所見でなくとも副所見となりうる.また病型分類において,肛門病変は診断においてだけでなく治療の面からも重要な点であるため,新たに肛門型として付け加えられてよい.

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要旨 Crohn病254例の大腸および上部消化管のルーチン生検標本を用いて,本症の診断基準(改訂案)の主要所見に取り上げられている非乾酪性類上皮細胞肉芽腫(以下,肉芽腫と略)の検出(陽性)率を中心に,病理形態学的立場から検討した.肉芽腫陽性率は,初回生検では43.3%(大腸:33.9%,上部消化管:20.9%)であり,複数回生検を重ねると56.7%(大腸:42.1%,上部消化管:30.7%)と上昇した.また病変別には,大腸の活動期病変からの生検で最も陽性率(25.0%)が高かった.以上から,肉芽腫だけに依存する本症の生検診断には限界があることを指摘し,合わせてその診断率向上には類上皮細胞集団(cluster),組織球の小集簇巣,focally enhanced gastritisなど本症に特徴的組織所見を加味した診断基準が必要であると強調した.

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要旨 虫垂開口部の盲腸に敷石像(+炎症性ポリポーシス)を有する9例はいずれも腫瘍と術前診断されていたが,病理学的にはCrohn病(CD)確診6例,CD疑診3例であった.盲腸CDのほとんどは虫垂CDに続発するのではなく,虫垂・盲腸に同時発生した病変と推定された.肉芽腫性虫垂炎と診断された11例のうち,リンパ球集簇巣から成る全層性炎,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫,これらによる壁肥厚の所見から原発性虫垂CDと診断されたものが3例,一見,正常に見える虫垂に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が(多数)出現し,CDが疑われた2例,残りの6例は急性虫垂炎や虫垂の急性憩室炎に1~6個の肉芽腫が出現したものであった.原発性虫垂CDは小腸や大腸型CDと同様の特徴的組織像を呈しており,敷石像を呈する盲腸CDを合併することがわかった.

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要旨 31歳,男性が下痢,腹痛,体重減少を主訴に入院した.大腸内視鏡では回盲弁の全周性潰瘍による狭窄と回盲弁周囲の多発性潰瘍がみられ,一部の潰瘍の横並び配列から腸結核を考えたが,生検で肉芽腫は証明できなかった.注腸X線では盲腸の狭窄,回盲弁周囲の多発性潰瘍,回腸終末部の多発性潰瘍・びらんと狭窄,および口側回腸にも潰瘍がみられたが縦走潰瘍や敷石像と読影できなかった.結核菌が証明されずPPD皮内反応も陰性であった.中心静脈栄養のみで症状が改善しないためステロイド治療を開始したところ速やかに病状は改善した.本例は診断基準に適合しないCrohn病症例と考えられた.非典型例を減らす方向での診断基準の見直しが望まれる.

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要旨 患者は14歳の男性(1976年来院)で,主訴は1975年よりの下痢,粘血便.1976年の注腸X線検査で直腸から下行結腸まで連続性,びまん性の浅い潰瘍性病変を認め,潰瘍性大腸炎(以下UC)と診断された.発症3年5か月後の画像検査で,S状結腸,下行結腸にびまん性の潰瘍性病変の中に縦走潰瘍などの縦軸要素の所見を認めた.約8年間内科治療を行ったが,難治性であったため12年8か月後に大腸亜全摘出術が施行され,その摘出標本の上行結腸にはびまん性病変,S状結腸,下行結腸には多発する縦走潰瘍とその瘢痕像がみられた.15年5か月後に下痢が出現し,検査で小腸にCrohn病(以下CD)に典型的な縦走潰瘍を認めた.2年後,出血のために小腸部分切除が施行され,摘出標本の肉眼所見,病理組織所見は,縦走潰瘍や全層性炎症などCDに典型的な所見だった.本症例は経過中に病変の形態が変化し,発症時のUCから非典型的なCDと診断が変更された.

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要旨 患者は26歳,男性.18歳時より軟便傾向が持続するため1997年10月に当院を受診.注腸造影および大腸内視鏡検査で,S状結腸から盲腸まで連続するびまん性の炎症所見を認め,びらん形成を伴っていた.生検組織では,陰窩炎および一部に陰窩膿瘍を認めた.しかし終末回腸には,多発する浅い不整形潰瘍がみられ,生検組織で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めた.その後,大腸の病変部には縦走潰瘍の出現を認めたが確定診断には至らず,分類困難腸炎として経過観察中である.肉眼所見および病理組織学的にも,潰瘍性大腸炎とCrohn病の特徴を合わせ持つ,まれな症例と考え報告する.

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要旨 患者は36歳,男性で腹部疝痛で来院し,イレウスの診断で入院した.小腸X線検査で回腸に2か所の狭窄を認め,この狭窄の間にも輪状潰瘍の変形を認めた.狭窄は短く,対称性で,始めに腸結核も疑った.しかし,肛門側の狭窄には片側性の所見もあり術前診断はCrohn病であった.切除標本では肛門側の狭窄部には縦走潰瘍とcobblestone像が認められた.そして,その口側の拡張した腸管の部位には輪状潰瘍が認められた.そして,最も口側の狭窄部には地図状潰瘍が認められた.病理組織学的にはCrohn病と診断されたが輪状潰瘍,地図状潰瘍,拡張した腸管部の萎縮瘢痕帯の所見は新しいCrohn病の診断基準に当てはまらない所見であった.

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要旨 患者は23歳,男性.17歳時,水様下痢・下血が出現し,大腸内視鏡検査(CF)で白点を伴う浮腫状の軽度発赤粘膜を直腸から盲腸までびまん性に認めた.潰瘍性大腸炎(UC),全大腸炎型と診断し,salazosulfapyridine(SASP),ステロイド投与にて緩解した.4年後に再燃し,その後はステロイド減量に伴い再燃を繰り返した.再燃後のCFでは,直腸からS状結腸に小びらんの多発を伴う連続性びまん性の発赤粗ぞう粘膜を認めたが,下行結腸から盲腸には病変を認めず,直腸・S状結腸炎型でUCが再燃したものと考えられた.しかし,回盲弁から終末回腸にかけて,小不整形潰瘍を伴い約2cmが狭窄し,更に健常粘膜を介して狭窄部より約10cm口側に3/4周性の不整形潰瘍を認めた.組織所見では,直腸からS状結腸はUC,終末回腸はCrohn病(CD)に合致するものであった.内視鏡的,病理学的に両疾患の合併も疑われる興味深い症例と考え報告した.

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 〔患者〕 54歳,男性.検診で便潜血反応陽性を指摘され,近医にて全大腸内視鏡検査を施行.S状結腸に病変を指摘され,4か所生検を施行(いずれもGroup 3,生検部位は不明).精査加療目的に当センターを受診した.来院時の身体所見,検査成績ともに異常を認めなかった.

 〔大腸内視鏡所見〕 通常観察では,S状結腸に結節,顆粒を伴わないごくわずかに隆起した病変として認識された(Fig.1a).色調は周囲と変わらず,辺縁には易出血を認めた.色素を撒布することにより病変の範囲が明瞭となり,辺縁には側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor;以下LST)非顆粒型の特徴の1つである花弁様はみだし構造が観察された(Fig.1b).その対側に向かってひだ集中様所見を認め,この所見は伸展した状態でも観察された.通常観察のみでは生検の影響かsm浸潤によるものかの判断は困難であった.辺縁の花弁様形態を呈する部分の拡大観察像は,正常腺管と管状腺管の混在したⅢL-2型pit patternであった(Fig.1c).病変の中央には周囲の編み目状の色素の溜まりとは異なる表面平滑な領域を認め,その拡大観察像は,密度の高い不整なⅢL型pit pattern,すなわちⅤA型pit patternであった(Fig.1d).中央のⅤA型から連続してⅤN型(無構造)を呈する領域が存在し(Fig.1e),その部分がひだ集中様所見の集中点と一致することから,sm浸潤によってひだの集中を来しているものと判断した.以上よりLST非顆粒型のsm深部浸潤癌と判断した.念のためnon-lifting sign陽性を確認した後,S状結腸切除術を施行した.

消化管病理基礎講座

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 髄様癌

 髄様癌(medullary carcinoma)は,現在の胃癌取扱い規約で低分化充実型腺癌(por1)として扱われている.腺管構造の形成は失われいるか極めて乏しく,細胞密度は高く間質成分は少ない.癌細胞はシート状に拡がるか大小癌胞巣の集合として発育・増殖し,充実性・膨張性発育をする(Fig.1).髄様癌の多くは分化型腺癌に由来し,低分化非充実型腺癌(por2)・印環細胞癌(sig)由来のものはまれである1).肉眼的には深掘れ傾向が強く,幅の薄い円形~卵円形の周堤を持つ2型か,表面に厚い白苔を伴った1型を呈する.リンパ球浸潤性髄様癌(medullary carcinoma with lymphoid stroma)も髄様癌として扱われているが,癌組織だけに注目すれば小~中癌胞巣が比較的散在性に拡がっている.しかし線維性間質を伴うことなく,リンパ球・形質細胞がびっしりと癌組織隙間を埋めている.この種の癌のみ例外的に癌組織とリンパ球・形質細胞を一括した組織像をもって髄様癌に分類されている.小細胞癌(内分泌細胞癌)や肝細胞様腺癌(AFP産生腺癌)も明らかな腺管構造を有することなく充実性発育を示すが,これらは生物学的悪性度が極めて高く予後不良であり,病理組織学的に単なる髄様癌とは区別されなくてはならない.

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欧文目次

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 関東病院においては,1997年以来,クリティカルパス(クリニカルパス)の導入を開始し,爾来,関係各位の研鑽により約100種類のクリティカルパスが作られて来ました.2000年11月4日より新病院開院に伴って,電子診療録およびpicture archiving and communication systems(PACS)を全面的に導入しましたが,2001年3月末までには,電子診療録にクリティカルパスを組み込む予定です.

 クリティカルパスは,本書の第1章に示されている通り,アメリカ合衆国においてdiagnosis related groups/prospective payment system(DRG/PPS)の導入に伴って,入院期間の短縮および医療費の削減を目的に導入されました.当院におきましても,日本におけるDRG/PPS導入を念頭に置いて検討を開始しましたが,クリティカルパスを実際に使い始めて,当初考えたのとは異なった次のようなうれしい効果がわかって来ました.

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 世に俊才,俊英と言われる人は少なからずいる.しかし,ひとつのことにこだわり,飽くことなく真理の探求に情熱を燃やし続けることは,単に才能に秀でているだけの人間には決して成就できない業である.そして,工藤の一連の仕事を見続けてきた筆者は,今,ある種の興奮と戦慄を覚えながら,自分の心を震憾させているものは,一体何なのか,を探りたいと念じながらこの小文を書き始めている.

 工藤が,この本の中で読者をその気にならせたいと思いつめていることが2つある.1つは,大腸腫瘍の“発育形態分類”であり,もう1つは,“pit pattern分類”である.

編集後記 樋渡 信夫
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 1995年にCrohn病診断基準が大改訂された.数年が経過し,今回はその問題点を取り上げ,将来のより良い診断基準作成の一助とすることを目標に企画された.

 日常臨床ではおおむね順調に運用されているようだが,その中で問題点として挙げられたのが,①肛門部病変の取り扱い,②補助診断法の有用性の評価,③“indeterminate colitis”の定義と取り扱い,である.岩垂論文で,Crohn病に特徴的な肛門部病変の提示と通常病変との鑑別点が挙げられている.臨床の立場の論文でも,肛門部病変を診断基準の項目に復活させるべきとの意見が述べられた.問題は,これら肛門部病変を見慣れていない内科医が,十分に鑑別できるかどうかだろう.少し時間が必要である.補助診断法としては,CD68の免疫組織染色によるマクロファージの微小集簇巣の有無や,胃の“竹の節様所見”が挙げられる.これらの所見の感度,特異度を評価しながら,診断基準としてどう取り入れ,他の所見と組み合わせていくかは,更に検討が必要である.“indeterminate colitis”に関しては,従来は主に重症の手術例で検討されてきたが,最近は非切除の経過観察例も増えてきた.共通の概念,定義はまだ確立されていない.一般的には潰瘍性大腸炎とCrohn病のそれぞれの診断基準をいずれも満たす症例とされているが,施設の診断レベルや主治医の考え方にも左右される.また,"潰瘍性大腸炎とCrohn病の合併例"とする表現の是非も検討されなければならない.今回はあまり問題とされなかったが,“敷石像”のバリエーションはどの程度の広がりがあり,どこまでが臨床的に確診としうる“敷石像”なのかについても,今後の重要な検討課題と考える.

基本情報

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胃と腸
36巻2号 (2001年2月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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