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〔患者〕 54歳,男性.検診で便潜血反応陽性を指摘され,近医にて全大腸内視鏡検査を施行.S状結腸に病変を指摘され,4か所生検を施行(いずれもGroup 3,生検部位は不明).精査加療目的に当センターを受診した.来院時の身体所見,検査成績ともに異常を認めなかった.
〔大腸内視鏡所見〕 通常観察では,S状結腸に結節,顆粒を伴わないごくわずかに隆起した病変として認識された(Fig. 1a).色調は周囲と変わらず,辺縁には易出血を認めた.色素を撒布することにより病変の範囲が明瞭となり,辺縁には側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor;以下LST)非顆粒型の特徴の1つである花弁様はみだし構造が観察された(Fig. 1b).その対側に向かってひだ集中様所見を認め,この所見は伸展した状態でも観察された.通常観察のみでは生検の影響かsm浸潤によるものかの判断は困難であった.辺縁の花弁様形態を呈する部分の拡大観察像は,正常腺管と管状腺管の混在したⅢL-2型pit patternであった(Fig. 1c).病変の中央には周囲の編み目状の色素の溜まりとは異なる表面平滑な領域を認め,その拡大観察像は,密度の高い不整なⅢL型pit pattern,すなわちⅤA型pit patternであった(Fig. 1d).中央のⅤA型から連続してⅤN型(無構造)を呈する領域が存在し(Fig. 1e),その部分がひだ集中様所見の集中点と一致することから,sm浸潤によってひだの集中を来しているものと判断した.以上よりLST非顆粒型のsm深部浸潤癌と判断した.念のためnon-lifting sign陽性を確認した後,S状結腸切除術を施行した.
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