胃と腸 30巻10号 (1995年9月)

今月の主題 微小胃癌

序説

微小胃癌―過去・現在・未来 岡崎 幸紀
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 時の流れは速い.微小胃癌が臨床診断の領域に登場して,四半世紀が過ぎた.歴史という観点に立てば,いまだわずかな時間という見方もある.しかし,五十路の半ばともなると,何か急がれるし,慌しく考えてしまう.微小胃癌の診断学はどれほど進歩したのかと.

 小さな癌の診断という,微小胃癌診断の前段階は,1966年の第4回日本消化器内視鏡学会秋季大会で始まっている.早期胃癌の概念が提唱されて,まだあまり時間を経ていないころである.シンポジウム「微細病変の診断および診断の限界」の中で,2cm以下の表面型早期胃癌が微細病変として検討されている.

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要旨 電子内視鏡検査で発見された微小胃癌31病変と見逃した12病変について,その臨床病理学的特徴と今後の対応について検討した.発見した微小胃癌の肉眼型は,Ⅱc(81%),Ⅱa(16%),Ⅱb(3%)の順であり,Ⅱbが他の報告に比して低率であった.最小のものは2mmの大きさであったが,3mmが一般的な診断限界と考えられた.また,見逃し例はⅡb(81%)が最も多かった.癌の組織構築をみると,未分化型癌の発見例は全層浸潤型であり中層浸潤型は見逃していた.分化型癌では,発見・未発見にかかわらず表層型と全層型浸潤がみられた.分化型癌には,色調や構造などを強調する画像処理が有用と考えられたが,中層浸潤型を呈する未分化型癌には,これらの画像処理も無効と考えられた.

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要旨 点または線状に陥凹した胃小窩単位の模様像を観察する拡大内視鏡観察の微小胃癌診断での有用性と限界について,診断困難であった微小・小胃癌4症例の拡大内視鏡所見を提示すると共に,内視鏡的粘膜切除術で治療された微小胃癌34病変と組織学的に診断された微小胃癌113病変を検討し考察を加えた.結論として,微小胃癌の拡大内視鏡観察では,腺管密度が高い大半の高分化管状腺癌においては有用であるが,構造異型に乏しい高~中分化型癌や腺管構造の異常を伴わない低分化腺癌,印環細胞癌の正確な診断は困難と思われた.すなわち,診断が容易な症例のみ発見しているのが,微小胃癌の拡大内視鏡を含む内視鏡診断の限界と考えた.

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要旨 微小胃癌65病変を対象とし,その診断過程を分析し,X線・内視鏡検査併用の立場から臨床診断の限界を検討した.対象全体(Ⅱbを含む)では,3mm以下と3mm超では術前診断率に有意差があったが,陥凹型に限ると有意差はなかった.陥凹型の診断限界は,その形状により異なり,Ⅱc-P型は小さくても比較的診断が容易であったが,Ⅱc-U型は大きくても診断が困難であった.検査法別にみると,内視鏡検査は3mm以下の病変に強かったが,色調差のない病変には弱かった.X線検査は3mm以下でも高低差のある病変には強かったが,大きくても高低差が少ない病変には弱かった.C領域および未分化型の微小癌は極めて少なく,5mmの壁は破られていなかった.

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要旨 良性びらんの個々の病変を用いて,微小・小胃癌と比較検討した.微小・小胃癌の初回診断でびらんと診断した頻度は微小胃癌20.5%,小胃癌14.3%であった.びらんの初回診断でⅡcあるいはⅡc疑いとした頻度は8.9%であった.X線検査におけるびらんと微小胃癌の鑑別点で有意差の認められた所見は,陥凹境界の形態,棘状ニッシェの有無,辺縁隆起部の粘膜性状の3項目であった.X線検査で癌が推定され,びらんとの鑑別に有用な所見は,陥凹境界の不整像,棘状ニッシェ,粗大顆粒状の辺縁隆起を認める病変であった.内視鏡検査における微小胃癌とびらんとの鑑別点は,びらん活動期では陥凹境界の形態,棘状のはみ出しの有無,辺縁隆起部の粘膜性状,色調の4項目に,びらん修復期では辺縁隆起部の粘膜性状の1項目に有意差を認めた.びらん修復期の6病変は微小胃癌との鑑別が困難であった.内視鏡検査における鑑別点で癌が推定され,びらんとの鑑別に有用な所見は,陥凹境界の不整像,辺縁隆起部の粘膜性状が平滑浮腫状でなく粗大顆粒状,棘状のはみ出しを認め,色調では強発赤を呈し,白苔の程度が軽い病変であった.

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要旨 外科的切除が可能で内視鏡的切除(ER)された未分化型胃癌9例9病変を対象とし,その成績と大きさについて臨床診断の実態を述べ,微小未分化型胃癌のERの問題点について報告した.ERした,ひだ集中のない1cm以下の陥凹型86病変のうち未分化型癌は10.5%(9/86)で,微小癌は4.7%(4/86)であった.肉眼型はすべてⅡC型,生検で未分化型癌と診断された.残胃小彎の1病変を除くと胃体中部より口側の病変はなかった.深達度は8病変がm,1病変がsmであった.8病変が一括切除,1病変が分割切除で,lyとvはすべて(一)であった.経過観察で遺残再発例はない.ER前のX線および内視鏡検査での大きさと切除標本上での癌の大きさを比較した.内視鏡でほぼ正確に診断され,誤差は最大2mmまでで,形態診断と大きく違う例はなかった.切除標本は癌の2倍程度の大きさが得られたが,小さい切除や分割切除の例がみられ,切除標本全体の大きさが問題と考えられた.以上から,癌の組織学的拡がりと切除できる標本の大きさからみて,5mm以下と臨床診断した微小癌であれば,未分化型癌におけるERの適応としてよいと考えられた.

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要旨 未分化型胃癌に対する内視鏡的粘膜切除(EMR)の適応限界を考察するため,外科切除例の未分化型早期胃癌(m癌552例,sm癌233例)を用いて,深達度など諸病理学的事項とリンパ節転移との関係を詳細に分析した.われわれ病理部では,4~8mmの間隔で切り出しを行っているが,m癌およびsm癌のリンパ節転移率はそれぞれ1.8%,21.9%であった.リンパ節転移のない条件は,m癌の場合,①肉眼型が隆起型あるいは平坦型ならば大きさは問わない,②肉眼型が陥凹型であれば,大きさ40mm以下.sm癌の場合,①sm浸潤の深さが200μmまでならば,リンパ管侵襲(ly),潰瘍病変(Ul)の有無は問わない,②sm浸潤の深さが200μmを超える場合は,ly,Ulが陰性であれば,浸潤の深さ900μmまで,あるいは大きさ20mm以下.したがって,従来から,未分化型癌に対する本治療法の適応範囲は,大きさ5mmまでのm癌とされていたが,もう少し拡げてよいと考える.実際的あるいは総合的立場からは,大きさ10mmまで,sm深達度200μmとするのが妥当であろう.

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要旨 本研究の目的は分化型微小胃癌の組織像の多様性を明確にし,同癌の組織診断基準を作ること,および組織学的鑑別診断をすることにある.このため,従来のヘマトキシリン・エオジン(H・E)染色所見のほかに,p53蛋白とKi-67免疫染色所見とを組み合わせて,再検を行った.対象は分化型微小胃癌183病変で,このうち101病変(高異型度癌55病変,低異型度癌46病変)に対しp53蛋白およびKi-67免疫染色を施行した.非腫瘍性病変では細胞の異型度に関係なく,p53陽性細胞は散在性に少数,増殖帯部分に限局して出現するのみで,p53陽性率/Ki-67陽性率の比は0.01~0.03であった.p53蛋白過剰発現(陽性細胞が巣状集簇性ないしびまん性に出現)は高異型度癌で63%に,低異型度癌で31%にみられた(両者間でp<0.001).この過剰発現は癌の細胞形質に無関係であった.p53蛋白過剰発現例ではp53陽性率/Ki-67陽性率の比(癌判定の1つのマーカー)が0.87~1.57で,p53陽性細胞が散在性に少数出現する非過剰発現例では0.02~0.06と,後者で有意に低かった.高・低異型度癌の両者とも,それぞれp53蛋白の過剰発現例と非過剰発現例との間で組織像やKi-67染色態度に差はみられなかった.したがって,筆者らの言う“低異型度分化型癌”は癌に相当すると考えられた.腺腫と診断した65病変中1例でのみ,ごく小部分にp53陽性細胞が集簇していた(p53陽性率/Ki-67陽性率=1.19).この例ではp53蛋白の過剰発現部と非過剰発現部との問に,H・E染色上の形態学的差はみられなかった(p53蛋白発現からみると癌に類似).低異型度癌と高異型度腺腫および非腫瘍性幼若上皮との鑑別は可能で,これにはH・E染色による病理組織学的特徴に,p53蛋白およびKi-67免疫染色を応用することが重要であった.

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要旨 腸上皮化生の強い胃は,分化型胃癌の発生母地と言われている.しかし,腸上皮化生腺管から癌に至る過程は明らかではない.どのような化生腺管が癌になるのか,すなわち,分化型胃癌の前病変とはどのようなものかを探るために,腸上皮化生の強い胃にp53免疫染色を行い,非癌粘膜におけるp53陽性腺管を集めて組織学的に検討した.胃全体の粘膜のうち腸上皮化生粘膜が2/3以上を占める,全割された切除胃9例の全切片にp53免疫染色を行って,非癌粘膜におけるp53陽性箇所を38か所確認した.それらを組織学的に検討した結果,分布については一定の傾向はなく,またH・E染色標本上で同部位を見直したところ,必ずしも異型があるものばかりではなかった.また,H・E染色上異型があるとした箇所の多くは,胃型の腺管であった.今回検討した非癌粘膜におけるp53陽性腺管が前癌病変であるとは断定できないが,分化型胃癌の多くは,腸上皮化生腺管ではなく,化生粘膜の中に残存する胃型の腺管から発生している可能性が示唆された.

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要旨 幽門腺粘膜領域55例(噴門腺粘膜領域1例を含む),中間帯領域27例,胃底腺粘膜領域22例の比較的小さな早期癌計104例を対象に,病巣周囲粘膜領域を任意に選択し,X線二重造影による胃小区像からみた背景粘膜の質的診断について検討した.①顆粒の大きさ,粘膜萎縮あるいは腸上皮化生の程度,顆粒間の開大,顆粒の大きさと形の均一性の所見から総合的に判定することによって可能である.②これらの所見に,解剖学的な部位,性別や年齢などによる腺境界の移動を加味することによって,診断はより正確になる.③X線的に描出された比較的大きな胃小区像の表面には,更に微細に分画された顆粒状陰影や微小な点状陰影が認められ,粘膜萎縮の変化によって大顆粒から小顆粒への分画が生じることが推察された.

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 〔患者〕59歳,女性.1994年10月4日,食思不振を主訴に当院内科外来を受診した.軽度の貧血(Hb9.8g/dl)を認めたため消化管検査を依頼された.そのほか身体所見,血液生化学および血清学的に異常はなかった.

 〔食道X線所見〕中・下部食道にいびつな形態の隆起様陰影をびまん性に認めた.隆起は顆粒ないし小結節の集簇から成っており,中部食道ではまだらな分布であったが下部食道では不連続ながら縦走傾向を有していた.辺縁に毛羽立ち様所見は認められず,壁の伸展性も保たれていた(Fig.1).

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 〔患者〕45歳,男性,会社員.主訴:下痢,下血.現病歴:1995年1月から1日7~8行の下痢と下血が出現した.来院時,左下腹部に自発痛と圧痛があり,腸雑音の亢進を認めたが,肝脾は触知しなかった.直腸診では異常を認めなかった.血液検査では軽度の貧血のみで,炎症反応の亢進などは認めなかった.

 〔注腸X線所見〕直腸からS状結腸に,粘膜の不整像と淡いバリウム斑の多発(Fig.1a)を認めるが,びまん性の変化は乏しかった.横行結腸に中心陥凹を伴うたこいぼ様びらんを多発していた(Fig.1b).

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要旨 患者は57歳,女性.人間ドックの上部消化管造影検査および内視鏡検査で,胃角部前壁に陥凹性病変を指摘され,精査・加療のため当科へ入院となった.上部消化管造影検査では,胃角部前壁に粘膜集中を伴う比較的境界明瞭な浅い陥凹を認め,その辺縁に明らかな不整像は認めなかった.陥凹に連続して粗大顆粒状変化を呈する局面を認めたが,その範囲は判然としなかった.上部消化管内視鏡検査でも同様の所見であり,表層型胃悪性リンパ腫と診断した.生検で悪性リンパ腫と確診され,胃全摘術が施行された.病理組織学的に,深達度smのmucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫であった.脈管侵襲,リンパ節転移は認めなかった.

早期胃癌研究会

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1995年5月の早期胃癌研究会は5月15日(水),西俣寛人(南風病院)と松川正明(昭和大学附属豊洲病院消化器科)の司会で行われた.

 〔第1例〕55歳,男性.表層拡大型食道表在癌(O-Ⅱc)(症例提供;国立東静病院外科 尾関豊).検診で内視鏡検査を受け,食道に異常を指摘された.

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要旨 患者は58歳,男性.心窩部痛を主訴として来院.胃X線検査で,幽門前庭部に,中央にクラーテルを持つ立ち上がりの明瞭な腫瘤陰影を認めた.胃内視鏡検査では,この腫瘤の表面は周辺と同じ粘膜で覆われ,その中央には臍窩様の深い陥凹が見られた.このクラーテルの辺縁の一部に浅い不整形のびらん面を認め,その部を中心に生検標本を採取したが,癌の診断は得られなかった.胃癌と診断したが,平滑筋肉腫などの粘膜下腫瘍との鑑別がつかないまま,胃切除術を施行した.切除胃標本では,3.0×2.5cmの粘膜下腫瘍様の腫瘤を認め,その中央には深い陥凹があり,その辺縁の一部に浅い不整びらん面を認めた.切除胃の病理組織学的検索では,このびらん面のごく一部に癌が露出している所見が認められたのみで,腫瘍は周辺粘膜に覆われていた.また,深い陥凹底の表面は壊死物質で覆われていた.病理組織学的診断は固有筋層まで達した低分化型髄様腺癌であった.

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要旨 患者は57歳,男性.主訴は腹痛.腹部単純X線写真でniveauを認めたため,イレウスの診断で入院となる.保存的治療によりイレウス状態は改善したが,注腸造影上,上行結腸肝彎曲部近くにBorrmann I型の腫瘤陰影を認め,大腸癌を否定できないため,開腹手術により,同部を中心に前後約15cmの上行結腸横行結腸切除術を施行した.肉眼的には,漿膜面に約4cm径の小出血像を伴う白境界不鮮明な腫瘤を認めた.組織学的には,同腫瘤は漿膜下組織を中心として,筋層,粘膜下組織へ拡がる著明な好酸球性の炎症像から成り,組織標本の1つに径0.2mmの寄生虫断面を認めた.実体顕微鏡下で,ほぼ完全な虫体を取り出すことができ,ドロレス顎口虫第3後期幼虫と断定された.これまでに知られているドロレス顎口虫症のほとんどは皮膚爬行症として発症しており,大腸壁内迷入によりイレウスを引き起こきしたと考えられる症例は本報告が初めてである.

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欧文目次

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 今回で第20回を数える村上記念「胃と腸」賞の贈呈式が去る7月19日,エーザイ本社ホール(東京)で毎月開かれる早期胃癌研究会の席上を借りて行われた.本賞は毎年「胃と腸」誌に掲載された全論文の中から選ばれる最優秀論文に授与されるものであり,今回は「胃良・悪性境界病変(GroupⅢ病変)の長期経過からみた生検診断の問題点」(胃と腸29:153-168,1994)が選ばれた.

 当日司会の丸山雅一氏(癌研究会附属病院内科)の紹介で,受賞者を代表して渕上忠彦氏(松山赤十字病院消化器科)が登壇した.「胃と腸」編集委員会代表の八尾恒良氏(福岡大学筑紫病院消化器科)は,こうしたフォローアップスタディを可能ならしめたことについて,普段の検査に手を抜いていないこと,コメディカルを含めた全体のスタッフの協力によって患者がずっと来てくれること,資料の整理がきちんと行われていることを挙げて讃え,賞状と賞牌を渕一ヒ氏に手渡した.続いて医学書院社長金原優から賞金が贈られた.

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 この度,川井啓市先生,他の方々の編集,執筆による著書「胃 形態とその機能」第2版が上梓の運びとなった.第1版から役立つ参考書として利用させていただいたが,もう20年近く経ったので,改版されたらどうかなと思っていたところへの第2版の出版である.早速,拝読させていただいた.

 本書第2版にはいくつかの特徴がある.第1版では内容の一貫性を重視した結果,内容は優れていたが,執筆者が限られていた.しかし第2版では,著しく進歩したこの分野の知識を十分に盛りこむため,日本全国の各分野の第一人者の方々が執筆されている.その結果,胃の形態と機能に関する辞典にも等しい豊富で,かつ新しい内容が記載されている.次に「胃 形態とその機能」の表題に合致するように,第1版からの主旨を貫き,胃および胃に関連する十二指腸の形態と機能のみに焦点を絞り,胆道・膵に関連する十二指腸の形態と機能については割愛されているので,本書の目的が明らかで,大変理解しやすい.

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 私の所属する小児外科学会総会が,今日終わりました.横浜の新名所,パシフィコで行われた学会での発表は,マック全盛でした.昔は手書きあり,薬屋さんに頼んだ写植ありで,きれいなスライドを出してくる施設は限られたものでした.最近は違います.マック大はやりで,カラースライドオンパレードです.内容より,スライドの美しさに感心することもあります.なかでも,なんか若い人の発表のほうがきれいみたい.作り慣れてる感じ.昨年はウィンドウズの追撃もあり,いろいろありましたが,学会発表用スライドに関してはやはりマックに軍配が上がったようです.

 そこで,この本の登場となるわけです.まずは,普段,マックを使っていないけど,“これからの学会はマックだよね.マック買おう”って始めた方には最適です.“コンピュ一ターって苦手だよ.手で書いたほうが早い”とか,」“せいぜい使ってワープロだよな”とか,“説明書読まないと,恐くてクリックできないよ”なんて,すなわち,ファミコン世代の1つ前のおやじ世代に最適です.この本の第2章では,学会発表に使うPersuasion,Delta Graph,Photoshopなどのソフトの使い方がスライド作成に沿って解説されています.実際,スライドを作っていても,パターンで作っていますものね.この本の指示通りに2~3回作ればこっちのものです.実際のマックの画面と同じ絵の表示どおりに指示が出ています.

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腫瘍内にadenomaと癌が共存する場合の表現

質問 腫瘍内にadenomaと癌が共存する場合,その量的割合からadenoma in cancerあるいはcancer in adenomaなどと表現されています.最近,cancer with adenomaという言葉も散見されますが,この言葉はどのように用いるべきでしょうか.

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 Heticobacter pylori(以下HP)が胃癌の危険因子と言われているが,その発癌のメカニズムの詳細は明らかではない.

 この研究の目的は,HPの感染と胃液中のビタミンC(以下Vc)値との関連を調べ,HP除菌がVc値にいかなる変化を及ぼすかを検索することである.

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 Accumulation of p53 protein in normal, dysplastic, and neoPlastic Barrett's oesophagus:Krishnadath KK, et al (J Pathol 175:175-180,1995)

 Barrett食道を有する患者の腺癌合併率は,正常人の30~40倍と考えられている.Barrett食道の腺癌がdysplasiaから発生することは知られているが,いかなる時間経過を経て化生上皮からdysplasiaへ,更に,dysplasiaから腺癌に移行するかは不明である.したがって,Barrett食道の悪性化を客観的に予測することは臨床上有用で,これまでにdysplasiaの増殖能やDNAフローサイトメトリーでの検討がなされてきた.今回,著者らはこれらを明らかにする目的で,p53の発現性につき免疫組織化学的に検討した.

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 Rectal cancer after prolonged sulindac chemoprevention:Lynch TH, Thorson AG, Smyrk T(Cancer 75:936-938,1995)

 非ステロイド性消炎鎮痛剤であるsulindacは,家族性大腸腺腫症(FAP)患者の大腸腺腫の数および大きさを減少させる(N Engl J Med 328:1313,1993).大腸腺腫は大腸癌の発生母地であると考えられているため,これらの非ステロイド性消炎鎮痛剤が大腸癌の発生を抑制する可能性が期待されている.しかし,これらの薬剤の腫瘍増殖抑制作用のメカニズムの詳細は不明であり,腫瘍の発生・増殖を予防する薬剤のFAP患者治療における位置付けもいまだ確立されていない.

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 本教科書は,消化器病学の中では,最もユニークで新しいタイプの教科書である.

 本を開いてまず目につくのは,図表や絵が極めて多く,理解しやすい工夫がなされている点で,このことは画像以外の図表が少なかった従来の教科書とは大きく異なっている.

編集後記 西沢 護
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 診断の限界を追求するということは,診断学の基本的姿勢である.微小胃癌についての歴史は古いが,何が問題なのかは時代により異なっている.現在,微小胃癌を見つけ出すことの目的は何といっても内視鏡的粘膜切除(EMR)であろう.すべての癌を非観血的治療で済ませることは,誰もがそうありたいと願う理想である.

 特に分化型癌に対する適応基準はできているが,未分化型癌についてはまだ明確な基準が示されていない.微小であればあるほどEMRは容易になるが,見つけ出しや鑑別がそれだけ難しくなる.targetはその点に絞られるのは当然である.そのほか,多発の問題や,特に未分化型癌では,浸潤の範囲あるいは多中心性,癌細胞のばらつきなども常につきまとう重要な問題である.

基本情報

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胃と腸
30巻10号 (1995年9月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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