胃と腸 1巻4号 (1966年7月)

今月の主題 胃潰瘍〔1〕

綜説

胃カメラ診断の問題点 芦沢 真六
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 現在の胃カメラの診断で最も問題となるところは,

 (1)どこまで盲点をなくしうるか.

 (2)発見しうる小病変の限界は.

の二つであろう.

 盲点がまったくなくなり,小さな病変もどんどん見つかるようになれば,胃疾患の診断は当然さらに正確度をますことになる.以上の二つを解決するために従来われわれが行なってきた試みについて述べることにする.

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1.はじめに

 胃潰瘍は再発しやすいものであり,それが胃潰瘍の特徴である,といわれています.では,胃潰瘍の再発はどれくらいあるのか.これについては数多くの報告があって,3年以内の再発率としては30~90%という幅のある数字をみることができます.

 一方,いちど瘢痕治癒した潰瘍が,ふたたび潰瘍化してくることがあるだろうか,また,再燃を再発としてあつかわれたことはないだろうか,という疑問があります.このことは,潰瘍は再発しやすい,といわれてきたことと同じように前から指摘されています.

 かたや,再発は胃潰瘍の特徴であるとし,かたや,はたしてそうだろうか,という相反する立揚があるのです.

 私たちは,この問題をときあかすポイトンの一つは“潰瘍の治癒判定をどうするか”にある,と考えています.

 治癒判定があやふやであれば,治癒していなかった潰瘍の増悪,つまり再燃を再発としてあつかうことになります.再燃と再発とをはっきり区別していなければ,再発率としてあげられている数字は事実を意味していないことになります.また,再発しやすいことは胃潰瘍の特徴である,といいきれなくなります.

 本文の第1のねらいは,X線診断上胃潰瘍の治癒判定をどうするか,にあります.第2のねらいは,胃潰瘍の再発という問題の検討です.

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患者:宮○巳○助,47歳,男性

主訴:空腹時の心窩部痛

現病歴:約4カ月前より空腹時に心窩部痛が出現した

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1.はじめに

 胃疾患の診断技術の発達と共に,胃癌の早期症例に多く遭遇するようになってきた.早期癌の肉眼分類の上からは,表面陥凹型(Ⅱc)および表面隆起型(Ⅱa)の診断は,比較的容易となってきたが,表面平坦型(Ⅱb)というべき症例は現在の所まれである.

 私共が最近経験した早期4多発胃癌は,4個所に早期癌が別々にあって,2個はⅡa+Ⅱcであったが,他の2個は,詳細な組織検査により初めて発見されたⅡbであった.

 この早期4多発胃癌について,臨床および病理組織所見を報告する.

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症例

患者:村○つ○ 68歳 ♀ 日雇労務者

初診:昭和40年10月8日,手術 同10月30日

主訴:つかえ感,膨満感および悪心

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患者:46歳.男.主訴:心窩部痛

X線診断:Ⅱc+Ⅲ

胃カメラ診断:Ⅱc

術後診断:Ⅱc(14ミリ×14ミリ),潰瘍瘢痕(Ul-Ⅱ).

昭和39年11月17日手術

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Ⅰ.緒言

 最近,消化管特に胃のレントゲン検査件数は益々増加の傾向にあり,またその透視撮影技術にも種々進歩改善がみられる.従来の粘膜造影法,圧迫法,充盈法,重複撮影法に加えて,最近では二重造影法が広く行なわれるようになって来ている.この二重造影法は粘膜の微細病変の検索には極めて有用な手技と考えられている.吾々は各種発泡剤を用いた二重造影法の適正使用法の実験を行った.今回は特に実験方法の吟味,発泡剤の大きさと添加水量による発泡速度との関係,消泡剤による影響を実験的並びに臨床的に検討した.

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ファイバースコープ(承前)

 崎田 石岡さんね,こっちはみつけているのです.芦沢さんのところでみつけているのですよ.ぼくは非常に感心したのですね.発見した胃癌の1割くらいちょっと上に…….

 石岡 芦沢さんはそういっているのですがわれわれの症例でも去年は上部胃癌は20例ですが,そのうち3例は,胃体上部の早期癌をみつけていますよ.

技術解説

胃カメラ(その3) 城所 仂
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 今回で胃カメラ技術講座も最終回になる.2回にわたりV型カメラによる撮影を述べてきた.今回はV型反転法について述べて後,最近の新しい胃カメラについて説明を加えることにする.

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3.透視撮影の実技

 (2)四大撮影法の実技(続)

 b.二重造影像の撮影について

 美しい二重造影像を撮影するためには,適量の空気が胃内に存在することが必要となる.適量とは何かといえば,病変を最も美しく表現できるような量ということなのである.もっともこういったのではただ逆をいっただけで一向に面白くない.

 ところが実際は,病変の凹凸がはなはだしい症例の場合は比較的大量の空気を,また凹凸の程度の軽い症例の場合は,比較的少量の空気を必要とするのであるから,こういういい方が成り立つのかもしれない,それにしても,「はなはだしい」とか「比較的」とか,やっぱり,あまり科学的表現ではないということもいえるようである.胃の大きさに個人差があるために,なかなか数量的に表現し難いのではあるが,この際あえて数字を出してみると,癌でいえばBorrmannの分類の適用され得るような大きなものは,一般的にそうであるが,特に隆起とか陥凹の程度が10mmを超えるようなものは,比較的大量の空気すなわち,大体300cc以上の空気を注入しても,また場合によっては注入した方が,美しい像が得られるのであるが,それより陥凹の程度の少ないものでは,より少ない量の空気量がよいというのである.実は,もっとこまかい数字で表現したいのはやまやまだが,ここであまりこまかい数字にこだわると,例外が多すぎる話になってしまったり,いい過ぎるようなことになる危険がある.それよりも,一人の患者について色々な量の空気で撮影してみることが手っとり早いのである.そういう経験を少しすると,誤差範囲があんまり広いのに気がついて,あんまり数字にこだわらなくなるものなのである.

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質問

Ⅲ型(陥凹型)の早期胃癌が得カメラで診断できる場合は,どういう所見に注意すべきでしょうか.

東大分院の城所博士に

編集後記 城所 仂
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 今年の梅雨は実によく降った.台風四号は夏に入る前から,はやばやと東京に史上第二番目とやらの大雨を降らせ,近畿地方や関東地方に豪雨の被害を残して洋上に去った.小河内ダムが乾上り東京が水ききんに陥ったのが,ついこの間と思っていたが,小河内が満水し対策が出来たと思ったら今度は豪雨の被害をうける.まことに皮肉なものである.

 一方では交通事故が既に新記録をつくっているとかで,人災も派手に襲来している.

基本情報

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胃と腸
1巻4号 (1966年7月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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